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みそもしょうゆも”畑の肉”といわれるほど栄養価が高く評価される大豆が主な原料ですが、四訂日本食品標準成分表(科学技術庁資源調査会編)をみると、しょうゆはケチャップやソースと同じ「調味料及び香辛料類」の項目に
属しているのに対し、みそは豆腐と同じ「豆類」の項目に属しています。
これは、含まれている大豆たんぱく質量の違いによるものです。
みそとしょうゆのそれぞれ100グラム当たりのタンパク質の総量はさほど変わりはありませんが、みそには豊富な大豆タンパク質が含まれているのに対し、しょうゆの場合、大豆タンパク質と小麦タンパク質の割合がほぼ半々となるため、豆類の項目に含まれていないというわけです。
しかし、同じ大豆製品でも、豆腐100グラムは比較的簡単に食べられますが、みそ100グラムはとても1回に食べられる量ではありません。摂取する量が他の大豆食品と比べて少ないみそに、同じような栄養効果が期待できるかという疑問が生じても不思議ではありません。
大豆タンパク質の特徴として、質的には非常に優れている半面、煮たり煎ったりする調理を行っても消化吸収がよくならないという難点があります。
しかし、大豆がみそになる場合、製造過程において、この大豆タンパク質が酵素によって加水分解され、約60%がアミノ酸に、また、炭水化物はブドウ糖化します。
このように、大豆は「発酵・熟成」することによって、少量でも効率良く大豆タンパク質が体内に吸収できるのです。
ちなみに、みそ汁1杯に使用するみそ(淡色辛みそ)12グラムで、大豆タンパク質1.5グラムをとることができます。
私たちが一日に摂取したい大豆タンパク質は、もめん豆腐ならば、1/3丁(105グラム)、絹ごし豆腐ならば、1/2丁(140グラム)必要ですが、みその場合は大さじ2杯と1/2(45グラム)で足ります。
これは、みそ汁にして3〜4杯分。
これで、一食ごとに必ずみそ汁のついた”一汁一菜”の献立がよいとされる理由がわかると思います。
また、ご飯とみそ汁の組み合わせは、みそには米のタンパク質には少ないリジン、スオレニンといったアミノ酸が多く含まれているため、の組み合わせでアミノ酸のバランスがよくなり、タンパク質がさらに効率良く摂取できることもわかっています。
さらに、タンパク質だけでなく、大豆に含まれているリノール酸(不飽和脂肪酸)やサポニンには、血圧やコレステロールを下げる働きがあることや、みその脂溶性物質には、がん予防に効果がみられることなどが次々に明らかになっています。
「みそ汁は医者殺し」「みそ汁は朝の毒消し」など昔の人の言葉にもあるように、みそは現在も栄養学ばかりか、医学的見地から見ても高い評価を受けているのです。
みそは、その製造法の性質上、塩分が多いことがよくいわれますが、みそ汁にしたときの塩分摂取量はさほど多いものではありません。
また、ナトリウムはカリウムと同時に摂取すると体外に排出されやすいため、カリウムを多く含む緑黄色野菜、芋類、海藻類をみそ汁の具に利用するのがよいわけです。
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