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古い諺に「みそ汁一杯三里の力」というものがあります。
「朝飯で一杯のみそ汁を飲むと三里(約12`)を歩く力がわく」
というのですが、医学的にみると、次のように解釈できそうです。
三里もの道のりを歩けば、冬場でも汗をかき、体内の水分とナトリウムが失われます。
三里という表現は、農作業をはじめ、昔の重労働を象徴的にいったものでしょうが、そうした重労働で恐いのが、多量の汗を流すことによる脱水です。
私たちの体を構成している細胞は、水分と主にナトリウムとからなる細胞外液に囲まれていますが、脱水とは、その細胞外液が減ってしまう状態をさしています。
脱水状態に陥ったときは、水分補給だけではだめで、ナトリウムの補給が必要です。
私たちの体内では、水分はナトリウムなしでは、存在できないので、水分だけを補給しても、細胞外液が増えないのです。
「みそ汁一杯三里の力」はそのナトリウムを労働の前にあらかじめ補給しておくことで、脱水を防ぐ、食生活の知恵といえます。
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