メールマガジン No11~20

目次

★第11回 麹と糀              ★

 

メルマガのあらすじ

1 糀の語源
2 使い分けはあるのか?(辞書)
3 使い分けはあるか? (業者)

1  糀の語源

  麹は「糀」という漢字も現在でも使われることがあります。意味は両者
 とも 同じなのですが、一番の特徴は片(へん)に米が使われていること
 です。
 「語源海」によれば、蒸米の上に花が咲いたように(麹菌が)繁殖するこ
 とを表すとしています。
  日本では古くから麦よりも米が主に生産されていたので、麹を作るとき
 も米が中心だったようです。
  平安時代中期の辞書「和妙類聚抄」では麹について「本邦ノ製ハ米ノミ
 ニテ他物ヲ雑ヘズ」とされていて、米を使った麹造りが行われていること
 を示しています。
   
    
 2 使い分けはあるのか(辞書)

 「糀」は漢字の分類上、国字と呼ばれる日本国内で使作られたた漢字です。
 国語辞典や漢和辞典などでも麹と糀は意味上の区別はなくどちらを使っても
 も問題はありません。ただ、辞書では「麹」は意味が書かれているのに対し、、
 「糀」では「麹」と意味は同じとしていたり「麹」を参照せよとなってい
 ることが多く、「麹」と比べると説明が簡略化されていることが多いです。
 このような点から見れば「麹」のほうがより重要な漢字として扱われている
 といえそうです。
  
  漢字検定では「麹」は準一級、「糀」は一級の出題範囲となっていますの
 で、「麹」のほうがより使われていると思われます。

 3 使い分けはあるのか (業者)

  一方、酒造業者や味噌業者では使う麹の種類により両者を使い分けること
 があります。例えば、米麹を使う場合は「糀」麦麹を使う場合は「麹」のよ
 うに使いわけたりします。使う麹の種類により麹菌も違うものを使うので、
 両者の区別をする必要もあります。

  何回かにわたって「麹」を説明してきたわけですが、一つの漢字が現在の
 意味に至るまで意味や表示が変化し、現在に至る過程も諸説あり、日本独自
 に漢字を作ってきたということを説明してきました。漢字の使われてきた歴
 史の長さだけ漢字の変化の深さと面白さがあります。 
 
  参考文献:語源海   杉本つとむ 東京書籍
      全訳辞海  戸川芳郎  三省堂

  次回は違うテーマを予定しています。

★第12回 味噌汁の塩分について ★

メルマガのあらすじ

1 食塩の役割
2 味噌において塩の役割
3 味噌汁の塩分は?

1 食塩の役割

 食塩の役割は①味付け、②食欲増進、③塩漬け、塩蔵による食品保存、
④味噌、醤油、パンなど発酵食品製造があります。
味噌における塩の役割は発酵食品製造が中心です。

2 味噌において塩の役割

 
 味噌において塩の役割は雑菌を殺し、乳酸菌や酵母が増殖しやすい環境を作
ることにあります。菌は塩に弱いものが多いので、塩があることにより、雑菌
が繁殖しにくくなります。一方、味噌の熟成に必要な乳酸菌などは塩に強いと
いう特徴があります。ただし、乳酸菌などは塩に強いとはいうものの塩漬けの
ように大量の塩を使うと味噌の熟成に必要な菌が働かなくなってしまいます。
味噌の塩分が約12%ぐらいなのも雑菌の繁殖を抑えつつ、乳酸菌や酵母が働
きやすくなる塩分量として適切なのです。
 

3 味噌汁の塩分は?

 味噌汁は塩分が1%ぐらいです。塩分が低くなると雑菌の繁殖がすすみやす
くなります。さらに夏のように気温が高いとより雑菌が繁殖しやすくなります。
ですので味噌汁を作ったらできるだけ早めに飲むほうがいいわけです。もし一
度で飲み切れない量の味噌汁を作ったら冷蔵庫に入れておいて雑菌の増殖を抑
えたほうがいいでしょう。
 もし一旦雑菌が増え酸味がでてしまうと、沸騰させて雑菌を殺しても酸味は
残っているので、あまりおいしいとはいえません。

今回の話はこれで終わりです。次回は別の話題の予定です。

参考文献 新・みそ技術ハンドブック 全国味噌技術会

★第13回 酵素について(食品を中心に) ★

メルマガのあらすじ

1 酵素とは
2 人間の体の中で働く酵素
3 味噌作り働く酵素

1 酵素とは
 
 酵素とは生体で起こる化学反応の速度を速める機能をもっているタンパク質
です。酵素は微生物、植物、人間など、あらゆる生物の体の中で作られていま
す。
「酵素」として発見されたのは19世紀ぐらいですが、酵素という物質を知らな
くても、古くから発酵食品を作るときに利用してきました。

2 人間の体の中にある酵素

 酵素の分類は6種類あるのですが、人間の体の中で働く酵素は大きく分ける
と二つになります。
 一つは消化酵素で、もう一つを代謝酵素です。
消化酵素は食物を分解して吸収する酵素のことをいいます。消化酵素の多くは
食物を水との反応で分解するので加水分解酵素ともいいます。
酵素の働きで一番有名なのは消化酵素です。

 もう一つの代謝酵素は代謝をするときに働く酵素です。代謝とは、生物体が
エネルギー及び物質を外部から取り込み、体内で科学的に変化させ不要なもの
を外部に放出する反応の総称のことです。例えば、生物の活動に必要なエネル
ギーであるアデノシン三リン酸(ATP)を作るときに働く酵素が代謝酵素の
代表的な一つです。この酵素はATPを作るときに複数の分子をつなぐときに
働くので合成酵素ともいいます。

 発酵食品や、生野菜など食品に含まれている酵素を食物酵素とよびますが、
食物酵素を体内に取り込むと主に消化酵素として働くことになります。

3 味噌作りで働く酵素

 味噌を作るときに働く主な微生物は麹菌、乳酸菌、酵母ですが、それぞれの
菌により作られる酵素により味噌は発酵熟成します。

 麹菌により作られる酵素は30種類以上あるといわれますが、代表的な酵素
として、アミラーゼとプロテアーゼがあります。

 アミラーゼはデンプン(グルコースが結合している)を切り離す役割をして
います。
 プロテアーゼはタンパク質(アミノ酸が結合している)を切り離す役割をし
ています。
 アミラーゼとプロテアーゼは酵素の分類では先ほど述べた加水分解酵素に分
類されます。

 分解したグルコースを利用するのが乳酸菌と酵母の中で作られる酵素です。
 分解したグルコースは酸素のない状態で酵素の働きによりピルビン酸にな
った後、乳酸かアルコールを作ります。

 乳酸を作る酵素は乳酸菌から作り出され(乳酸発酵)、アルコールを作る酵
素は酵母から作り出され(アルコール発酵)ます。 
 
 
 乳酸があることで酵母が働く環境が整えられ、アルコールは味噌の香りにな
ります。またアミノ酸は味噌の味になります。
 
 このように酵素は、味噌の発酵、熟成するときに働いています。
 
 

今回の話は以上です。来月は別の話題について書く予定です。

 
参考文献 酵素の力 左右田 健次 岩波ジュニア新書
     新みそ技術ハンドブック 全国味噌技術会

 リピーター向け手作り味噌教室の案内メールを8月下旬に送る予定です。
 またリピーター向けの先行予約も8月下旬から開始する予定です。

 江戸甘味噌とゴールド日本を使ったおにぎりが、8月27日に神奈川県の
セブンイレブンで販売する予定です。

★第14回 大豆について(栄養編-必須アミノ酸) ★

9月に入りましたが、猛烈な暑さは収まりましたが、不安定な天気が続いて
います。3ヶ月予報によると9月、10月とも変わりやすい天気が続くようで
す。過ごしやすくなる季節にはまだ時間がかかりそうです。

 8月27日から神奈川県内のセブン-イレブンにて直巻きおむすぎ大葉味噌
(かねじょうみそ使用)が126円で販売しています。ゴールド日本と江戸甘
みそを使用したおにぎりです。期間限定ですので是非、お求めください。

 今回は味噌には欠かせない大豆について説明します。今回は大豆に含まれる
タンパク質のなかでも必須アミノ酸を中心に説明します。

メルマガのあらすじ

1 大豆の成分
2 「畑の肉」と呼ばれた理由
3 大豆と米の関係

1 大豆の成分
 
 大豆の成分は水分、タンパク質、脂質、炭水化物、灰分、カルシウム、りん、
食物繊維から成り立ってます。大豆の特徴はタンパク質と脂質が多いことが特徴
です。品種により違いがありますが、タンパク質は約35%、脂質は約20%含
まれています。

 大豆は栄養がいいといわれるのは、タンパク質を構成する必須アミノ酸が多く
含まれているからです。必須アミノ酸とは人間の体内では合成できないアミノ酸
で食物から摂取しなくてはならないもので、ロイシン、イソロイシン、リジン、
メチオニン、フェニルアラニン、ステオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチ
ジンの9種類あります。必須アミノ酸が不足すると疲れやすかったり、免疫が低
下し病気になりやすかったりします。

2 「畑の肉」と呼ばれた理由

 大豆は「畑の肉」とも呼ばれています。なぜ、呼ばれたかというと、肉と同じ
くらいタンパク質を多く含んでいるからです。洋食が普及するまでは、日本人は
肉の代わりに大豆を摂ることでタンパク質不足を防いでいました。
 
 なぜ日本では伝統的に肉を食べなかったかというと、仏教で肉をたべないとい
う戒律による影響があったと考えられています。
 
 また、土地の少ない日本では、家畜を育てるより生産性の高い稲作や畑作を優先
する必要性が高かった面もあります。江戸時代に入っても栄養状態が悪かったよう
ですので、生産性の高い稲作や畑作を優先する必要がありました。

3 大豆と米の組み合わせ。

 大豆は栄養価の高い食品ですが、必須アミの酸のうちメチオニンとシスチンが
やや不足しています。一方リジンが豊富です。
一方米は、メチオニンとシスチンが豊富ですが、リジンが不足しています。
 米と大豆を組み合わせた食事をすることで、タンパク質の補給についてバラン
スがよくなります。

 特に味噌は、味噌の麹菌の酵素によりたんぱく質は分解されているので、他の
食品より体内に吸収しやすいという特徴があります。
 さらに、味噌汁に具材を入れることで、タンパク質以外の栄養も摂取でき、バ
ランスのよい食事になります。

今回の話は以上です。来月は別の話題について書く予定です。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

参考文献 大豆-畑で生まれた健康タンパク 福場博保 女子栄養大学出版部
     新・みそ技術ハンドブック         全国味噌技術会

★第15回 乳酸菌 ★

 9月の後半から過ごしやすい日々が続いています。一方、昼と夜の気温差が
大きい日がありますので、体調を崩しやすいのでご注意ください。

メルマガのあらすじ

1 乳酸菌とは
2 乳酸菌の働き(発酵・熟成時)
3 乳酸菌を体の中に取り込むのは難しいですが・・・

1 乳酸菌とは

 乳酸菌とは代謝により乳酸を生成する微生物の総称です。乳酸菌は1種類の
菌のみを意味しているわけではありません。味噌では、食塩に強いテトラジェ
ノコッカス ハロフィルスという乳酸菌が主に使われていますが、他の発酵
食品では別の種類の乳酸菌が使われています。乳酸菌は現在250種以上の種類
が認められています。

2 乳酸菌の働き(発酵・熟成時)

 乳酸菌の働きは乳酸を作り出すことにあります。乳酸が増えると酸性が強まり
(低PH化)ます。これにより、雑菌が育ちにくくなります。雑菌を抑えるには
食塩の働きでも抑えることもできますが、味噌の場合は、乳酸菌の働きに加えて
食塩を加える事で雑菌を抑えています。

 また低PH化にしたほうが酵母がより働きやすい環境になります。酵母が働きや
すい環境づくりも乳酸菌の働きとして重要です。

 味噌独自の乳酸菌の働きとして、乳酸が増えることにより塩辛味を感じなくな
ったりします(塩なれ)。また原料臭を抑えたり、味噌の着色を抑えたりする働
きがあります。

3 乳酸菌を体の中に取り込むことは難しいですが・・・

 外部から人間の体の中に乳酸菌を取り込むとほとんど取り込めません。
乳酸菌は60度以上になると生きていけないので、例えば熱い味噌汁で飲む場合、
生き残る乳酸菌は少ないです。

 さらに体の中に生きた乳酸菌を取り込んだとしても胃酸や胆汁により殺菌さ
れてしまい、腸にとどくまでに生き残れる乳酸菌はほとんどいません。

 とはいえ乳酸菌が腸内の届かなくても、体に取り込むことは無駄になるわけ
ではありません。生きた乳酸菌だけでなく、死んでしまった乳酸菌も乳酸菌の
細胞壁に腸内の有害物質や発がん性物質が付着し大便として排出されるからです。

 また死滅した乳酸菌は腸内環境を改善する善玉菌(腸内にいる乳酸菌やビフィ
ズス菌など)の栄養源になります。

 このように死滅したとしても乳酸菌を体内に取り込むことは健康を維持する
上で有益と言えます。

参考文献 農家が教える続・醗酵食の知恵       農分協編
     新・みそ技術ハンドブック         全国味噌技術会
 
 

 9月19日にNHKの首都圏ネットワークで「食べて探検・江戸甘みそ」という
タイトルで日本味噌もとりあげられました。評判が良いようで問い合わせの電話
やネットショップでも注文が多数ありました。

★第16回 種味噌 ★

10月は台風が本土に3個接近しました(日本全体では6つ)。10月の3
個は1955年の4個に次ぐ数で珍しいといえます。台風が過ぎ去ったあとは
天気は回復しましたが、昼と朝夕の気温差が大きくなりました。服装の調節な
どで体調を崩さないようにしたいところです。

 

メルマガのあらすじ

1 種味噌とは
2 種味噌の特徴
3 くらぐせについて

1 種味噌とは
 
 酵母や乳酸菌などの微生物は空気中や原料に付着しています。麹菌の酵
素の働きより発酵熟成し味噌はできます。しかし、これらの微生物だけで
は時間もかかり、味もまずまずの味です。良質な微生物の数が少ないから
です。

 そこで良質な菌が多い味噌を種味噌として加えることでより早く発酵熟
成し、良質な酵母の働きによりよい味の味噌になります。良質な酵母や乳
酸菌などの微生物が多く含まれている味噌を種味噌には選びます。
   

2 種味噌の特徴 

 種味噌のは、発酵熟成の初期の味噌を選びます。よい種味噌の特徴は良
質な酵母や乳酸菌などの菌数が多いことです。これらの微生物は発酵熟成
の初期の段階が多くなり、その後減少していきます。

 なぜなら発酵がすすむと乳酸の量が増えることで乳酸菌の数が減少する
からです。また酵母も熟成が進むにつれて減少するからです。さらに出荷
するときには酵母の働きを抑えるため、アルコールを味噌に添加したりし
ているからです。

 手作り味噌教室に使用している種味噌は発酵が初期の味噌です。かつ酵
母の菌数を抑えていない味噌を種味噌として使用しています。

 もし菌の多い種味噌が手に入らず、市販の味噌を種味噌として使用する
場合、アルコールを添加していない味噌のほうが良質な酵母が味噌の
中にいるのでまだよいと思います。
 しかし、熟成がすすんでいる味噌なので酵母や乳酸菌の菌数が少なく、
ベストな種味噌とは言えません。
 
3 くらぐせについて

 長年味噌を作っているみそ蔵やそこで使われる桶や樽には酵母や乳酸菌な
どの微生物が棲みついています。長年味噌を仕込むことで酵母の種類がみそ
蔵ごとに微妙に変化し、味や香りも蔵ごとに違う味や香りになります。蔵ご
とに独特の風味がでてくることを「くらぐせ」といいます。

参考文献 みそ文化誌 中央味噌研究所

★第17回 味噌汁の具 ★

横浜では11月は1mm以上雨の降った日は5日しかありませんでした。東京の
11月は今年一番少ない降雨量の月でした。これからも雨量が少なく乾燥する
季節になりますので、風邪を引きやすいので気をつけたいところです。

 

メルマガのあらすじ

1 味噌汁で好きな具ランキング
2 豆腐、油揚げについて
3 わかめについて
4 汁物について

1 味噌汁で好きな具ランキング
 
 1位 豆腐    33.9%
 2位 わかめ   24.1%
 3位 油揚げ   21.1%
 4位 長ネギ   17.2%
 5位 じゃがいも 16.0%
 6位 大根    13.6%
 7位 玉ねぎ    8.6%
8位 なめこ 8.5%
 9位 しじみ 4.6%
10位 さといも 4.0%
  
 味噌健康づくり委員会が調査した「味噌で好きな具ランキング」の結果
です。実際のアンケート結果では地域、性別、年代と細かに分かれていま
すが、ここでは、それらの総合した結果の上位10位まで掲載しました。
詳しくは以下のHPを参照してください。          
https://www.nihonmiso.com/tips/list_a/07.html

以下の文章で好きな具ランキングの上位3品(1位と3位は同じ大豆食品
なので実際は2つ)を説明をしようと思います。 

2 豆腐、油揚げについて

豆腐や油揚げは、味噌と同じく大豆を利用して作られています。大豆など
豆類に含まれる植物性タンパク質は、コレステロールもあまり多くなく、
健康的にタンパク質を摂取できます。

一方、肉類に代表される動物性タンパク質はタンパク質の摂取(特に必
須アミノ酸)では植物性タンパク質より優れています。ただコレステロー
ルも多く取ることになるため肥満の原因にもなります。

 動物性タンパク質と植物性タンパク質は同じくらいの量を摂取するのが
よいといわれています。植物性タンパク質の摂取の一つの方法として味噌
汁に豆腐や油揚げを入れて飲むのは有効な方法といえます。

 
 豆腐と油揚げの違いは油揚げは脂質が多いという違いがあります。油揚
げ1枚(30g)で脂質は6gから10gあるので、味噌汁を1日に数杯
飲むくらいであれば問題ないと思います。

 
3 わかめについて 

わかめは食物繊維が豊富です。食物繊維をとることで、便の量を増やしたり
排出しやすくなります。腸内環境改善には食物繊維のほかに、乳酸菌や水分
を摂ると改善します。味噌には乳酸発酵による乳酸菌が含まれています。
ただ、乳酸菌は高温の味噌汁にすると死滅しますが、死滅した乳酸菌も腸内
環境改善に役立ちます。
 味噌汁にわかめをいれて飲むことは腸内環境改善にとても良い組み合わせ
といえます。

 またわかめの成分には塩分を尿から排出するアルギン酸とカリウムがあり
ます。アルギン酸は食物繊維の一つで、腸内で塩分と結合し尿から排出され
ます。カリウムはミネラルの一つで、腎臓内での塩分の排出を助けます。

 特に現代の食生活は塩分は摂りすぎの傾向があるので、わかめを食べる
のは大切なことです。味噌汁にわかめを入れることは味噌汁の見た目だけ
でなく、栄養の面からもよいといえます。
 
4 汁物について
 
 汁物の役割というのは主菜や副菜で足りない栄養素や水分の補給があり
ます。味噌汁に豆腐やわかめを入れて飲むのはまさに主菜や副菜で摂れな
い(摂りにくい)栄養素を補うことができます。
 それ以外にも最初に汁物を飲むことで、箸を濡らしご飯が箸につきにく
くなったりします。
 また「三角食べ」という汁物→ごはん→おかず→汁物→・・・の順に食
べることで、食品の味の濃さや薄すさを口の中で調整できるたりします。
 
 味噌汁そのものにも高血圧予防などの効果がありますが、最大の特徴
は他の食品と組み合わせが豊富なことです。味噌汁の具のランキングが
様々な食品が並んでいることも組み合わせが豊富なことの表れといえ
ます。たくさんの具材を味噌汁に入れることで、栄養のバランスをよく
したり、食事に彩を加えたりすることができます。

 
参考文献 わかめ・ひじき  NHK出版  辻 啓介

★第18回 丹波黒大豆について ★

 手作り味噌教室が間もなくはじまります。今回も丹波黒大豆を使った味噌を
仕込む日があります。このメルマガでは丹波黒大豆について説明します。

今回、「手づくり味噌教室」にて使います黒大豆について説明をいたします。
この黒大豆は、品種としては「丹波黒」と言う品種です。この品種は、農林水
産省の資料によりますと、(農林水産省「国産大豆品種の事典」平成15年3月)
「古くから丹波地方で栽培されていた在来黒大豆で、世界一の極大粒です。大
粒にもかかわらず裂皮はあまりありません。種皮の表面に白い「ろう粉」を生
じるのが外観上の特徴です。

 煮豆にすると、見栄えがよく、柔らかく、舌触りが滑らかで風味が良いので、
最高の材料とされています。枝豆にしても煮豆と同様のおいしさが特徴です。
とあります。

 栄養面では、糖質の多いことが特徴です。これは、味噌用の大豆としては、た
いへん望ましい特徴です。味噌にすると、甘味とコクのある味噌になります。さ
らに、目を引く特徴としては、切断強度が低いことです。これは、一言で申しま
すと、潰しやすいということです。

 黒豆と言っても種皮が黒いだけで、内側(胚や子葉)は、薄黄色がかった白色で
す。その点は、青大豆と呼ばれる内側まで、グリーン色の大豆とは、違います。

 また、栽培上のデータとしましては、国産大豆のなかでも、最も晩成で花の咲
く時期も遅く、収穫時期も遅くなっています。さらに、枝が大きく張るので、植え
る間隔を広く取る必要があるそうです。

 皆様もポリフェノールの効能は御存知のこととは存じますので省略しますが、大豆
にはイソフラボンというポリフェノールが含まれており、さらに黒大豆には、ポリ
フェノールの一種であるアントシアニンが含まれております。このアントシアニン
は、この黒大豆の皮が黒くなっている部分に多く含まれています。また、アントシ
アニンは、ブルーベリーを始めとするベリー類やブドウなどにも、多く含まれてい
ます。

 最後に、お正月のお節料理には欠かせない黒豆の煮豆ですが、一年間元気にマメ
に働けるようにとの願いを込めて、食べるそうです。これが豆知識ですけれど。
 

★第19回 味噌の分類 ★

先週の後半あたりから、気温が上昇し過ごしやすくなってきました。ただ、
気温が上昇すると花粉がいっそう舞いやすくなります。花粉症の方は注意して
お過ごしください。

 

メルマガのあらすじ

1 分類1 麹の種類による分類
2 分類2 塩分と麹の割合による分類
3 分類3 発酵熟成方法(米味噌)
4 分類4 色の違い(米味噌)
5 参考  食品成分表における味噌の種類

 
       
味噌には全国各地に様々な味噌があります。色や味も地域ごとに特徴があります。
多様な味噌を分類しようとすると醤油のようにJAS規格で明確に定義された分類方
法をとることはできません。また、味噌の種類が豊富だからこそ複数の基準がない
と分類できないからです。

1 分類1 麹の種類による分類

 味噌は麹菌を繁殖させる穀物により分類されます。米に麹菌を繁殖させる味噌
が米味噌、麦(大麦、裸麦)に繁殖させる味噌が麦味噌、大豆に繁殖させる味噌
が豆味噌に分類されます。この3種類の味噌以外(例えば米味噌と豆味噌を合わ
せた場合など)は調合味噌に分類されます。

2 分類2 塩分と麹の割合による分類

味噌は食塩と麹の割合(麹歩合)により分類されます。麹の割合が多いほど、
塩分は少なくなり、麹の割合が少ないほど塩分が多くなります。麹の割合が多
い味噌(大豆10に対し麹が15~30)は甘味噌に分類され、塩分は約6%くらい
です。

麹の割合が少ない味噌(大豆10に対し麹が5~10)は辛口味噌に分類されます。
塩分は約12%です。甘味噌と辛口味噌の中間は甘口味噌に分類されます。

 食塩と麹の量がの関係は熟成方法と期間の違いとも関係します(後で説明しま
す)。

 
3 分類3 発酵熟成方法(米味噌) 

 辛口味噌は酵母や乳酸菌を中心に発酵熟成する味噌なので発酵型味噌に分類さ
れます。
 酵母や乳酸菌はある程度塩分があるほうが働きやすい環境になります。また熟
成期間が数か月以上あり、30℃から35℃で熟成するため、雑菌が繁殖しやすい環
境にあります。そこで塩分があると雑菌の繁殖を抑えることができます。
 
 発酵型味噌は熟成期間が長く、麹は少なく塩分が多いことが特徴の味噌です。
 
 一方甘味噌は主に麹菌の酵素の働きでデンプンを分解糖化し甘味をつくるので分
解型味噌あるいは糖化型味噌に分類されます。麹の量が多いほど、デンプンの量が
多くなり、味噌は甘くなります。

 分解型味噌は、50℃前後で数日間熟成すると味噌として完成します。熟成期間の
短さと、50℃という室温が雑菌の繁殖を抑えます。また酵素が働きやすい環境は50
℃前後です。ですので塩分は少なくても分解型味噌はできあがります。

4 分類4 色の違い(米味噌)

 甘味噌は赤と白に分類され、辛口味噌と甘口味噌は赤と淡色に分類されます。
 淡色とは薄い色やあっさりした色のことで文字にすると表現しにくい色ですが、
 淡色味噌の具体的な色の表現としては山吹色や黄金色です。白甘味噌はクリーム
 色として表現されます。

  淡色味噌という表現は白味噌という表現だけだと白甘味噌の印象が強いため、
 辛口味噌に対して、淡色味噌という表現を使い始めたようです。
 
  味噌が赤くなるのは、メイラード反応という糖とアミノ酸が反応し褐色物質を
 作る反応によります。辛口赤みそは着色を進める必要があり、淡色味噌では着色を
 抑える必要があります。大豆の処理でも違った処理をします。どちらも大豆を蒸し
 ますが、その前に水煮をするかどうかにより分かれます。

 
 淡色味噌を作るとき、大豆を水煮することで煮汁の中に大豆の成分の一部が溶け出し
 ます。煮汁を捨てると、溶けだした大豆の成分も一緒に無くなるので、メイラー
 ド反応に必要な糖やタンパク質も蒸しただけの大豆より少なくなり、熟成期間が長
 くても着色があまり進みにくい味噌になります。

 一方赤みそを作るときは蒸すだけで水煮をしないので、着色が進みやすい味噌になり
 ます。
  
 

 
5 参考 食品成分表における味噌の種類

 食品成分表の最新版「日本食品標準成分表2010」では味噌は調味料の中のみそ類に分
類されます。みそ類は米みそ、麦みそ、豆みそに分類され、米みそは細かく甘みそ、淡
色辛みそ、赤色辛みその3種類の成分が表示されています。麦みそと豆みそは細かな分
類はなくそれぞれ1種類ずつ成分表示されています。
 なお食品成分表は5種類の味噌のほか即席みそとして粉末タイプとペーストタイプ
の成分がそれぞれ表示されています。 

 
参考文献 新・みそ技術ハンドブック 全国味噌技術会
     みそ知り博士のQ&A50   社団法人 中央味噌研究所

★第20回 乳酸菌と腸内環境 ★

 横浜では先週末から桜が咲きはじめ、今週には満開になりました。今週いっ
ぱいくらいもちそうです。気温も上がり過ごしやすい季節になりましたが、気
温の差が日により大きくなるので体調管理に気を付けたいところです

 

メルマガのあらすじ

1 乳酸菌とは 
2 乳酸菌と腸内環境
3 腸内環境を改善するには?

 
1 乳酸菌とは     

 乳酸菌は糖類を発酵し、多量の乳酸を生成してエネルギーを獲得するグラム陽
性細菌の総称です。
 分類上は23種類程度に分類されます。棲息場所、最適温度、生成物質の違い
で細かく分類されています。例えば味噌が発酵するときに働く乳酸菌はテトラジ
ェノコッカス属のハロフィルスが中心です。
 
 味噌の中で働く乳酸菌は発酵の過程で乳酸を生成することで、低PH化し、酵母
が働く環境を整えたり、塩なれ(塩辛さをなくす働き)を促進したり、熟成時に
着色を抑制する働きをします。ただ、発酵が終わった時点で乳酸菌は自らの作り
出した乳酸によりほとんど生き残っていません。

 乳酸菌の一部には体内で働く乳酸菌もいます。発酵食品に棲息する乳酸菌と同
じ属性の名称だとしても、体内乳酸菌は、人間や動物の生存に直接かかわるので、
生息条件が複雑で発酵食品の乳酸菌とは違う乳酸菌と考えられています。
 

2 乳酸菌と腸内環境

 人間の腸内には 細菌が約100兆個が生息しています。細菌の多くは腸内に生息
しています。腸内に生息する細菌は大きく分けると3種類に分類されます。善玉
菌と悪玉菌、日和見菌の3種類です。

善玉菌は人体に有用な働きをする細菌の総称で代表的な細菌はビフィズス菌などの
腸内乳酸菌です。ビフィズス菌は乳酸だけでなく酢酸も作り出すので乳酸菌
とは別の菌に分類されますが、実用的には乳酸菌の一種として分類されます。

 善玉菌が働く環境では腸の動きが活発になり便通がよくなり、また悪玉菌の繁殖
を抑えます。

悪玉菌は病原菌や人体に有害な働きをする細菌の総称で、大腸菌やウェルシュ菌が
代表的です。

日和見菌は普段はおとなしいのですが、悪玉菌が増えると悪玉菌につられて悪さを
する菌です。嫌気性レンサ球菌が代表的です。

乳児の頃はビフィズス菌が多く善玉菌が多数を占めるのですが、大人になるに従い、
日和見菌、悪玉菌が増えていきます。一般的な成人では、善玉菌が1割~2割、悪
玉菌が2割~4割、日和見菌が5割~6割で腸内細菌が構成されています。

ただし、腸内環境は個人差が大きく食習慣、運動する習慣、ストレスの多さ、遺伝に
より腸内細菌の構成比は変わります。

悪玉菌が多くなると有害物質が作られます。有害物質は腸から吸収された後血液に含ま
れ全身に流れることで免疫力が低下してガンや認知症などの病気の原因になると言われ
ています。

3 腸内環境を改善するには?

 乳酸菌を体内に摂ることは腸内環境改善の一つと考えられますが、生きたまま腸内
に取り込みむことはとても難しいのです。食品に含まれる乳酸菌は加熱したりしてい
て、乳酸菌が生きたままいられるとは限らないからです。また、生き残った乳酸菌も
胃酸の働きにより酸に弱い乳酸菌はほとんど生きられません。
さらに腸内細菌は5日前後で入れ替わるとされていて、仮に腸内に乳酸菌が届いたと
しても腸内に住み続けるのは難しいと言われています。
 
 味噌の乳酸菌も、発酵熟成が終了した時点では、乳酸菌が自らの生成した乳酸により
ほとんど生き残っていないので、体内に摂りこむことは非常に難しいといえます。

 とはいえ乳酸菌を構成している成分が残っていて、それが腸内にいるビフィズス
菌など善玉菌のえさになり善玉菌が活躍したり増殖しやすくなります。

 だからこそ乳酸菌が含まれている食品をとると健康になると考えられているのです。

 ただし、成人すると善玉菌を増やすことは難しいです。加齢に伴い悪玉菌は増えや
すく、普段のタンパク質を多くとりすぎがちな食習慣も悪玉菌が増える原因になりま
す。だからこそ乳酸菌が含まれる発酵食品を継続的にとりつづけることで、善玉
菌の活躍する環境を整え、悪玉菌を増やさないように必要があるわけです。

 ヨーグルトを摂ることでもももちろんいいのですが、味噌汁は比較的飽きが来にく
い発酵食品です。また具材がどんな食材とも合わせやすいので、乳酸菌を継続的にと
る発酵食品として味噌汁は優れていると考えます。

参考文献 ヨーグルトに隠された乳酸菌の秘密 光岡知足 共同通信社

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