神奈川県産味噌「津久井」

神奈川県の固有の大豆品種「津久井在来」を原料として使用した味噌です。
津久井在来大豆は糖度、タンパク質ともに多く、また熟成後の味噌の色調と組成も良い大豆です。
この大豆は全農主催の味噌原料の適性試験でも総合評価で最も高い評価を得ています。
2010年10月、「かながわブランド」に登録されました。
なお、原料に限りがあるため年に一度の限定生産の味噌です。
神奈川県産原料100%で仕込む、こだわりの限定味噌
地産地消への試み
弊社は、明治18年創業、昭和8年横浜市に工場設立以来、味噌の製造と販売を行なってまいりました。
新たな世紀を迎えるにあたり、「神奈川県で味噌をつくる私たちだからこそ、神奈川県産原料100%の味噌がつくれないだろうか」と考えたのが「津久井」味噌開発のきっかけです。
そんな折、神奈川県固有の在来大豆である「津久井在来」(来歴、栽培法)の存在を知りました。
この品種は味噌づくりに非常に適しており、全農主催の原料適性試験(『味噌の科学と技術』1981年1月号掲載)でも、糖質・たん白質がともに高く、熟成後の色調や組成に優れ、総合評価で最も高い評価を得ています。
しかし、神奈川県の大豆生産量は他県に比べて非常に少なく、その多くは枝豆として消費されており、味噌用大豆としての流通はほとんどありませんでした。
当時は津久井湖周辺を訪ね歩いたものの、収穫量はごくわずかで、弊社が味噌を仕込めるほどの量を確保することはできませんでした。
その後、津久井郡の市民団体「津久井在来大豆の会」を通じて大豆の提供を受け、さらに運良く平塚市の生産者との出会いもあり、長年にわたって供給いただくことができました。
色々と手を尽くし、津久井湖の周辺にも足を運びましたが、生産は今でも有志の方がされていることがわかりましたが、残念ながら、その当時は、弊社に分けていただけるほどの量は、収穫されていませんでした。
その後、津久井郡の市民団体「津久井在来大豆の会」を通じて、大豆を分けていただきました。
この生産者の方が2017年に生産を終了された後は、JA厚木・JAさがみをはじめ、相模原市・秦野市など神奈川県内の農家の皆さまと直接契約し、大豆の供給を受けています。
2005年当時、少しいただいた種を弊社の庭に蒔き、増やすことも試みましたが、如何せん素人の土いじりの域を出ませんでした。



ただし、津久井在来大豆は非常に希少で高価なため、仕込みは年間でも限られた回数と数量にとどまっています。
その分、より安定した品質と旨味をお届けできるよう、弊社ではこれまで培ってきた職人技を活かした独自の仕込・発酵熟成方法を採用しています。
まず、仕込みの配合を細かく調整した上で、温度の安定した地下蔵でじっくりと発酵させます。
その後、味噌の発酵状態を見極めながら、味噌桶ごと冷蔵庫へ移し、低温熟成を行います。
この製法により、季節や環境に左右されにくく、一年を通して味にばらつきのない安定した品質を保つことができます。
なお、発酵中も酵母や微生物は活動を続けるため、仕込み桶から掘り出す時期によって味噌の色は中間色から濃い赤色へと自然に変化します。
それに伴い、味もさっぱりとしたコクのある味から、やや酸味を含むしっかりとした味わいへと移り変わります。
麹に使用する米も、JA湘南と契約の上、神奈川県産米を100%使用。
品種は、当初の「キヌヒカリ」「里自慢」から、現在は「ハルミ」「里自慢」へと移行しています。
神奈川の土地と、つくり手の想いが詰まった味噌「津久井」。
数量限定の特別な味わいを、ぜひご賞味ください。
【参考資料】
・大豆「津久井在来」の来歴について 神奈川県農業技術センター普及指導部
・大豆「津久井在来」の栽培について 神奈川県農業技術センター普及指導部
・全農主催の味噌原料の適性試験 『味噌の科学と技術』(1981年1月号掲載)より抜粋。
製品情報

- 750gカップ入り 中間色~赤色の漉し味噌
- 原材料: 大豆(神奈川県産津久井在来種)、神奈川県産米、食塩、酒精
- 賞味期限: 6ヶ月
