メールマガジン No21~30
★第21回 メイラード反応 ★
5月に入り気温が上がり、25℃以上の夏日の日もでてきました。体が寒いの
に慣れいているせいもあり、さほど気温が高くなくても熱中症になる場合もあり
ますので、適度な運動をすることで、汗をかき体内の熱が体の外へ放出され熱中
症になりにくくなるそうです。
メルマガのあらすじ
1 メイラード反応とは
2 味噌においてのメイラード反応
味噌は主に褐色物質が多数作られることで着色します。今回は褐色物質がどの
ように作られているかを説明します。
褐色物質はアミノ・カルボニル反応(糖化反応)により作られます。この反応
はアミノ酸をを構成するアミノ基(NH2)と糖を構成するカルボニル基(C=O)の
反応から始まる化学反応で、最終的にメラノイジンと呼ばれる、褐色物質を作り
出します。
この反応を発見した人はフランス人のルイ・カミーユ・メヤール(1878~1936)
で1912年に専門雑誌に発表しました。メヤールを英語読みにするとメイラード
になり、発見者の名前からメイラード反応とも呼ばれています。
ただメイラード反応は複雑で詳細が不明なところがあります。またメラノイジ
ンそのものの構造も解明されていません。
2味噌におけるメイラード反応
メイラード反応は、温度が高かったり、時間をかけるほど反応が起きやすくなり
ます。例えば江戸甘味噌の場合、熟成させるとき50℃で1週間くらい熟成させ
ます。また、辛口みそのうち赤みそでは熟成させるときは30℃~35℃くらい
で6か月以上かけて熟成させます。
一方、淡色系のように味噌の色をあまり赤くしたくない場合、大豆を煮て、水に溶
けだした成分を捨てることで、大豆に残る成分が多少減ることで、メイラード反応
に必要なアミノ酸も減ります。また熟成期間を短くすることで、反応を抑えできる
だけ色がつかないようにします。それでも夏場では淡色味噌でも常温に長期間置く
と着色するのはメイラード反応によるところが大きいです。
参考文献 基礎から学ぶ食品化学 成山堂書店
★第22回 食べる順番と味噌汁 ★
5月終盤から関東地方でも真夏日の日が続いたりと6月らしくない日が続いて
います。今週末くらいから雨の日が増えてくるようで、気温も平年並みになり
そうで、6月らしい季節になりそうです。
食事をするときどのように食べたらよいでしょうか。大きく分けると2つの
方法があります。また食べる順番を少し変えるだけで、健康に良い効果がある
といわれています。そして味噌汁はどのタイミングで飲むのがとよいのかにつ
いても説明します。
メルマガのあらすじ
1 三角食べ(回し食べ)
2 ばっかり食べ(片づけ食い)
3 食べる順番を変えると・・・
4 味噌汁を最初に飲むメリット
1 三角食べ(回し食べ)
ごはん、おかず、汁ものを順番に食べるという方法です。順番に食べることで、
口のなかで味の調節ができます。味が濃いおかずをごはんで調節したりできま
す。和食では味が濃いおかずがでるので自然とこの食べ方になりやすいです。
またまんべんなく食べるので、栄養面でも過不足なく食べられます。
ただ、この食べ方だと、ごはんやおかずを汁物で流し込むことにもなるので、
咀嚼が不十分になることもあります。
2 ばっかり食べ(片づけ食い)
一皿食べ終わってから次の皿の料理をたべる食べ方です。コース料理や懐石料理
など一皿づつでてくる食事は自然とこの食べ方になります。ただ、好きなものか
ら食べるとそれだけで満腹になり、それ以外の料理を食べることができずに必要
な栄養が摂れなくなる場合もあります。
3 食べる順番を変えると・・・
ばっかり食べの順番を工夫すると、食事療法やダイエットにも効果があります。
どのように変えるかというと、まず最初に野菜を食べ切ります。一口程度ではだ
めです。その後タンパク質が多く含まれた主菜を食べ、最後にご飯(炭水化物)
を食べるという方法です。さらに効果を上げるにはよく噛んで食べたほうがよい
です。
食物繊維を含む食品を最初に食べていれば、最後に炭水化物を食べるころには、
満腹に近い状態になっているので、結果的に炭水化物の摂る量が減ります。
炭水化物(糖質)を摂りすぎると高血糖、脂質を摂りすぎると脂質異常症(コレ
ステロールや中性脂肪が多すぎること)になります。一方食物繊維には、糖質や
脂質を腸内で吸収するスピードを遅くし、余分なコレステロールの排泄を促す効
果があります。食物繊維の効果を生かすには炭水化物やタンパク質より先に食物
繊維を食べる必要があります。
また食物繊維にはインクレチンというホルモン分泌を促進します。インクレチン
は食欲を抑制したり、インスリン(血糖を下げるホルモン)の分泌を促したりす
る効果もあります。
食物繊維は野菜だけでなく、海藻類やきのこ類、豆類にも含まれていますのでこ
れらの食品を最初に食べることでも同じ効果が期待できます。
なお、ご飯だけが最後に残るというのはつらい人もいるので、タンパク質(主菜)
に関しては半分程度先に食べ、残りを炭水化物と一緒に食べても効果があります。
4 味噌汁を食事の最初に飲むメリット
味噌汁は、食物繊維を多く含む食品を具材に摂りやすい料理です。野菜、海藻類、
きのこ、豆類なんでも合います。また加熱するので生でたべるより多くの量を食
べることもできます。最初に具がたくさん入った味噌汁を食事の最初に飲むと、
先に食物繊維をとることができ、体にやさしい食べ方になります。
サラダなどの食物繊維を含む料理が味噌汁以外にない場合、特に先に食べたほう
がいいでしょう。
ただ、味噌汁を含む汁物は水分で食物を飲み込むことになり咀嚼が不十分になり
やすいので、よく噛むということを忘れずに食べるようにしたいものです。
参考文献 なぜ「食べる順番が」人をここまで健康にするのか
三笠書房 梶山静夫 今井佐恵子
★第23回 大豆イソフラボン ★
6月中旬から梅雨らしく雨の降る日が多くなっています。また天気も代りや
すく局地的な豪雨(ゲリラ豪雨)になったりする日もあったりしました。梅雨は
もうしばらく続きますので、蒸し暑い日が続きそうです。
大豆にはイソフラボンが含まれています。イソフラボンは健康維持に役立つ
機能があります。イソフラボンは非栄養素の一つ、フィトケミカルに分類され
ます。まずはフィトケミカルから説明していきます。
メルマガのあらすじ
1 フィトケミカル(ファイトケミカル)について
2 ポリフェノールの働き
3 イソフラボンの働き
4 大豆イソフラボンは摂りすぎに注意
1 フィトケミカル(ファイトケミカル)について
フィトケミカル(ファイトケミカル)とは植物由来の化学成分です。フィト
ケミカルは生命を維持するのに必要とされていない非栄養素ですが、健康増
進に役立つ機能があり注目されています。フィトケミカルは5種類に分類さ
れ、分類の一つにポリフェノールがあります。ポリフェノールは植物が光合成
で作る糖分の一部が変化した植物成分の総称です。
2 ポリフェノールの働き
人間の体内には活性酸素があり体外の細菌やウィルスを撃退します。活性
酸素は増えすぎると、正常な細胞を酸化させ、動脈硬化やがんの原因になりま
す。もともと人間には抗酸化能力があるのですが、年齢とともにこの働きが
落ちていきます。ポリフェノールは活性酸素を封じ込めて無害化し、酸化を
防ぐことが期待できます。
ポリフェノールは約5000種類あるとされ、その一つがイソフラボンです。
3 イソフラボンの働き
イソフラボンは更年期障害や骨粗しょう症を予防する働きがあると考えら
れています。更年期障害や骨粗しょう症は女性ホルモン(エストロゲン)
が減少することにより起きます。イソフラボンは、女性ホルモンと似た働き
をするので、イソフラボンを摂ることで女性ホルモンの不足をある程度補う
ことができ、更年期障害や骨粗しょう症を予防する効果が期待されています。
なお女性ホルモンはカルシウムの吸収を増やす働きがあるので、女性ホルモ
ンが減少すると骨量が減少し骨粗しょう症になるようです。
4 イソフラボンは摂りすぎに注意
サプリメントからイソフラボンを長期間継続的に摂取すると、女性ホルモン
だけが異常に多くなる結果、子宮内膜増殖症、月経周期の遅れ、生殖機能へ
の悪影響などが起きる可能性があるようです。また、イソフラボンには遺伝
子を正常に保つ機能を阻害し遺伝子の異常を生じさせることがあり、その結
果、遺伝子関与の白血病が起きる可能性もあるとしています。このため食品
安全委員会では妊婦や胎児、幼児はサプリメントとしてイソフラボンを摂取
することは推奨できないとしています。
一方、伝統的な大豆食品(味噌、豆腐、納豆など)では大豆の他の栄養素
(タンパク質、炭水化物など)も含まれていて、サプリメントと比べると
イソフラボンだけが過剰摂取になりにくい食品です。また長く食生活に定着
しているもののイソフラボンの摂取による悪影響はでていないこともあり、
食品安全委員会では伝統的な大豆食品を他の食品とともにバランスよく食べ
ればよいとしています。
イソフラボンを含む非栄養素は病気の予防など体に有効に働くものとして役
立つ効果があります。しかし、これらの効果は栄養素(糖質、タンパク質、
脂質、ビタミン、ミネラル)を満たしてこそ機能しますので、栄養バランス
を崩しやすいサプリメントはできるだけ避け、バランスよい食生活を送るこ
とで非栄養素の効果が発揮されます。
特に今回紹介したイソフラボンやポリフェノールは水溶性で、体に吸収されや
すく効果がでやすいのですが、長時間その効果は維持できません。継続的に食
べることで効果が期待できます。他の栄養素も摂れる伝統的な大豆食品を食べ
続けることで、健康を維持しやすくなると思います。
参考文献 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版
★第24回 ナトリウム ★
7月後半から梅雨も明け本格的な夏になっています。日本の夏は気温が
高く蒸し暑いことが特徴です。今年も30℃以上の真夏日だけでなく、35℃以
上の猛暑日の日もあり、熱中症になりやすい時期です。こまめな水分補給、
不用な外出を控えたりして熱中症を予防していきたいところです。
今回はナトリウムの話です。食塩(塩化ナトリウム)は塩素とナトリウ
ムが結合したもので、味噌を含む多くの食品に含まれています。
メルマガのあらすじ
1 ナトリウムとは
2 ナトリウムの特徴
3 味噌汁と食塩
参考 味噌を作るときの食塩の働き
1. ナトリウムとは
ナトリウムはミネラル(無機質、灰分(かいぶん))の一つです。人
間の体は水分、タンパク質、脂質、炭水化物、ミネラルの5種類から構
成されています。ミネラルは体内で作ることができず食物から摂る必要
があります。そのうち人間の生命維持に不可欠なミネラルを必須ミネラ
ルといい、16種類ありナトリウムもその一つです。
2.ナトリウムの特徴
ナトリウムは体内では血液や細胞内外の体液のバランスの維持(バラン
スが崩れると高血圧になる)、体液(血液など)のアルカリ性を維持、カ
ルシウムなどのほかのミネラルの吸収を助ける、神経の刺激伝達などがあ
り、ナトリウムは人間の体の維持にとって必要なものです。
現在の日本人の食生活では、食塩としてナトリウムを摂取するので、不足す
ることはまずありません。「日本人の食品摂取基準2010年版」によると現在
の1人あたり食塩の摂取量は成人男性11.5g、成人女性10.0gです(1日に
必要な食塩摂取量は1.5g)。
ただし、大量に汗をかいたりすると不足することがあります。不足する
とねまい、頭痛、食欲低下、脱水症状、食欲減退などを引き起こします。
特に夏のように汗をかきやすい時期は注意が必要です。
一方で摂りすぎると、高血圧、動脈硬化、腎臓病、生活習慣病を引き起こ
す原因になっています。「日本人の食品摂取基準2010年版」によると目標値と
して成人男性9g、成人女性は7.5g、高血圧患者は1日あたり6gとしてい
ます。国としては無理のない範囲で食塩の摂取を控えるようにしたほうがい
いと考えているようです。
3.味噌汁と食塩
味噌汁は一杯(150cc)あたり1.2~1.5gの食塩が含まれています。味噌の
塩分は辛口味噌で約12%ですが、味噌汁にすると水に溶けるので塩分濃度1%
前後になります。他の食品の食塩摂取量がラーメン8gから9g、牛丼が7.7
gかけそば6.4gと比べると味噌汁は特に多い食品というわけではありません。
味噌汁の具材に海藻や豆類、きのこ、野菜などにカリウムが多く含まれてい
ます。カリウムはナトリウムを排出する働きがあります。また具材を多く入れ
れば汁が減りますので結果として塩分量は減少します。このように味噌汁を具
だくさんにするとナトリウムの吸収量を抑えることができます。
参考 味噌を作るときの食塩の働き
味噌に含まれる食塩というのは味の調整のほかにも、発酵熟成に必要な乳酸菌
や酵母が働きやすい環境づくり(味噌で使う乳酸菌や酵母は食塩がある環境のほ
うが働きやすい)塩に弱い雑菌を繁殖させないようにする働きがあります。食塩
は味噌を作るときに欠かせない原料の一つです。
身体に必要なミネラルの基礎知識 野口 哲典 ソフトバンククリエィテイブ
ビタミン・ミネラルの本 吉川 敏一 土屋書店
★第25回 カリウムとナトリウム ★
8月後半から関東地方では気温が低く、この時期にしては比較的過ごし
やすい日々が続きました。ただ9月に入るとまた30℃近くの上がる日
もでてきますので、過ごしやすい季節はもう少し先になりそうです。
今回はカリウムの話をします。カリウムはナトリウム(塩化ナトリウムとして
摂取することがほとんど)とともにミネラルに含まれます。特にカリウムとナ
トリウムの関係を中心に説明します。
メルマガのあらすじ
1 ナトリウムとカリウムの関係
2 カリウムと食品
3 味噌汁とカリウム
1 ナトリウムとカリウムの関係
ミネラルは人間の体内では生成できないので、体外から摂取する必要があり
ます。摂取したカリウムは人間の体内の細胞内に多く含まれていて、ナトリウ
ムは細胞外に大部分が存在しています。細胞内ではカリウム濃度が濃く、細胞
外ではナトリウム濃度が濃い状態を維持し続けることで細胞は正常な働きをし
ます。
ナトリウムを摂りすぎると細胞外だけでなく細胞内にもナトリウムが入ってき
ます。細胞膜は多くなったナトリウム(イオン)を細胞外に排出し、同時にカ
リウム(イオン)を細胞内に取り込む働きがあります。この働きによりナトリ
ウムやカリウムが多少多くても調節することができ、その結果細胞内でカリウ
ム濃度、細胞外でナトリウム濃度が濃い状態を維持し続けています。
また、この働きは神経の伝達にも関わっています。
さらに、腎臓では老廃物を効率的に排出するため、ナトリウムを一旦不要なも
のとして扱います。しかし人間の体に必要なものとしてナトリウムは再吸収さ
れ血液に戻ります。カリウムがあると腎臓ではナトリウムの再吸収を抑制し、
その結果としてナトリウムは尿として排出されます。
ナトリウムとカリウムは関係が深く、どちらも摂取する必要があります。ただ、
日本人はナトリウムが過剰になりやすい食生活になりがちです。細胞膜の働き
やカリウムの摂取によりナトリウムはある程度調整できます。しかし、尿とし
て排出できなかったナトリウムは腎臓で血液に再吸収されナトリウム濃度が
高くなります。ナトリウムの濃度を薄めようと血液の量が増大し血管に負担が
かかります。血管への負担が慢性化すると高血圧になるといわれています。
また、ナトリウムを尿から排出するときは、カリウムもナトリウムと同じ量を
尿から排出します。ナトリウムを過剰に摂取し、カリウム摂取が少ないと、カ
リウム不足を引き起こします。カリウムが不足すると高血圧以外にも、神経障
害、筋力低下、便秘などが起きやすくなります。このようにナトリウムとカリ
ウムはバランスよくとるほうがよく、できればカリウムを多めにとるほうが高
血圧予防には有効です。
なお、カリウム独自の働きは筋肉の収縮を調整したり、タンパク質やDNAの合
成などの働きもあります。
2 カリウムと食品
食塩摂取量が多い日本人は特に積極的にカリウムを摂る必要があります。「日本人
の食品摂取基準」によると1日当たり成人男子2500㎎、成人女子2000㎎を目安量と
しています。
カリウムを含む食品は幅広く野菜類、きのこ類、豆類、藻類、魚介類、種実類など
に多く含まれています。
ただ、カリウムは水に溶けやすいという性質があります。茹でた場合、平均する
と30%くらいカリウムが溶出します。生で食べるほうがカリウムの損失が少ないの
ですが、多くの量を食べるには茹でたり煮たほうがいい場合もあります。
日本人はカリウムを多く摂取したほうがいいといえますが、腎機能が低下している
人は注意が必要です。カリウムは尿から排出されますが、腎機能が低下すると尿か
らカリウムの排出がうまくできず、体内にカリウムが蓄積します。カリウムが蓄積
すると不整脈や心臓の停止などが起こりうるからです。
3 味噌汁とカリウム
味噌自体にはカリウムは100gあたり380㎎(淡色辛みそ)含まれています。わかめ
(素干し)は100gあたり5200㎎、干ししいたけ(乾)が2100㎎カリウムを含んでい
ます。カリウムは味噌そのものより具材から摂取するほうがが多く摂れます。
味噌汁は、カリウムを大量に含む具材をいれやすい料理です。さらにカリウムは水
分に溶けだしても、味噌汁そのものに溶けていますので、味噌汁を飲めば溶けだし
たカリウムをかなり摂取できます。カリウムの摂取という点では味噌汁は優れた料
理だといえます。
参考文献
身体に必要なミネラルの基礎知識 野口 哲典 ソフトバンククリエィテイブ
ビタミン・ミネラルの本 吉川 敏一 土屋書店
★第26回 糖質とエネルギー ★
日中は汗ばむ日が多いですが、朝晩はだいぶひんやりしてきてきました。来週
以降は日中も秋らしい日が増えてきて、過ごしやすい季節になりそうです。
米味噌では米麹を使っています。米は糖質(炭水化物)を7割ぐらい含む穀物
で、糖質はエネルギー源としての役割があります。今回は糖質について説明し
ます。
1.糖質とは
2.エネルギー源としての糖質
3.糖質とビタミンB1
1. 糖質とは
糖質は単糖類、少糖類、多糖類に分類されます。単糖類とはこれ以上分解され
ない最小単位の糖質です。代表的な単糖類はグルコース(ブドウ糖)で果物に
多く含まれています。
少糖類は単糖類が二から十個結合したものです。例えば砂糖はグルコースとフル
クトース(果糖)から構成される少糖類(二糖類)です。
多糖類とは単糖類が数十から数百個結合したもので、代表的なものがでんぷん
です。米に含まれる糖質は主にでんぷんとして存在しています。
2. エネルギー源としての糖質
糖質の働きは主要なエネルギー源になることです。糖質のほかにもタンパク質や
脂質もエネルギー源になります。ただ、タンパク質は基本的には筋肉や内臓、皮
膚、髪、血液などを構成するのに使われ、エネルギー源として使われるのは例外
的です。脂質は糖質と同じようにエネルギー源として使えること多いですが、
脳へのエネルギー源としては使えません。
糖質はエネルギー源としては一番有効な栄養素なのですが、糖質としての保存量
は限られており、保存量を超えると脂質として蓄えられます。一度脂質として蓄
えられたら糖質には戻れません。ですので糖質は定期的に摂取する必要がでてく
るのです。特に脳へのエネルギー源として糖質の摂取は重要です。
エネルギーは人間だけでなくあらゆる生物の生存にも必要です。味噌の発酵熟成
にあたって酵母はエネルギーを必要とします。酵母がエネルギーを大量に獲得す
るには酸素とグルコースが利用します。グルコースは麹菌の酵素が麹に含まれる
でんぷんを分解して作られます。酸素は重石を軽くしたり、切返し(天地返し)
をすることで手に入れます。
グルコースと酸素を使い、酵母は生存や増殖に必要なエネルギーを大量に獲得し
ます。エネルギーを獲得した酵母は味噌の香りやうま味を作り出す働きをします。
3. 糖質とビタミンB1
糖質をエネルギーに変換するときにビタミンB1が働くことでより効果的にエネル
ギーに変換できます。ビタミンB1が不足するとエネルギーに変換ができずエネル
ギー不足になり、疲れやすくなります。また現在ではあまり多くないですが、ビ
タミンB1不足は脚気を引き起こすとされています。
ビタミンB1は白米からはあまり摂れずに他の食品から摂る必要があります。ビタ
ミンB1を含む食品は肉類(特に豚肉)、豆類、緑黄色野菜です。ご飯を食べると
きはビタミンB1を含む食品を同時にとると糖質から効率的にエネルギーを獲得す
ることができます。ただ、ビタミンB1は水に溶けやすいので、味噌汁などの汁物
にすると溶出したビタミンB1も摂取できます(大豆にもビタミンB1が含まれてい
ます)。
参考文献 しっかり学べる栄養学 ナツメ社 川端 輝江
★第27回 大豆の多様な栄養素(その1) ★
日中は過ごしやすい日々が続いていますが、朝晩は冷え込む日がでてきました。
気温差が大きいと体調を崩しやすいので気を付けてお過ごしください。
大豆は味噌には必ず含まれる穀物ですが、大豆は様々な栄養素を含み健康に役立
つ食品です。今回は大豆の様々な栄養素を説明しようと思います。
1. タンパク質
2. 動物性タンパク質と植物性タンパク質
3. 糖質
4. 脂質
1. タンパク質
タンパク質は体の筋肉や皮膚、血液を作り出したり、体内で働く酵素やホルモン
の原料になったりします。
大豆はタンパク質を約35%含む穀物です。タンパク質は多数のアミノ酸が結合
することで構成されています。自然界にあるアミノ酸は約500種類あり、人間
の生命の維持に必要なアミノ酸は20種類です。20種類のなかで人間の体内で
合成できないアミノ酸が9種類あります(これを必須アミノ酸といいます。)大
豆は必須アミノ酸をすべて含んでいます。
2. 動物性タンパク質と植物性タンパク質
動物性タンパク質は肉類、魚類、玉子に含まれるタンパク質です。植物性タンパク
質は穀類や野菜に含まれるタンパク質です。どちらもタンパク質を作るアミノ酸に
は違いがありません。ただ、動物性タンパク質は必須アミノ酸を全種類含む食品が
多いのに対し、植物性タンパク質は9種類の必須アミノ酸のどれかが不足している
ことが多いです。
大豆に含まれるたんぱく質は植物性タンパク質の一つです。大豆は植物性タンパク
質の中では必須アミノ酸をすべて含む珍しい穀物です。また大豆の脂質はコレステ
ロールをあまり増やさない特徴があります(動物性タンパク質が多く含まれる食品
はコレステロールが増えやすい食品が多い)。
大豆が「畑の肉」と呼ばれるのも、肉類に匹敵するタンパク質の供給源であるこ
とに由来しています。
3. 糖質
糖質は体内では主要なエネルギー源として利用されます。糖質は脂質と比べ分解
しやすく、エネルギーとして素早く利用できるという特徴があります。
大豆は糖質を約30%含んでいます。大豆の糖質は主にショ糖とオリゴ糖で構成さ
れています。ショ糖はブドウ糖と果糖に分解されエネルギー源として消費されま
す。
オリゴ糖は酵素で分解されにくく、エネルギーにはあまりなりません。しかし、
オリゴ糖はビフィズス菌(乳酸菌の一種で人間の腸内に多く存在し健康維持に役
立つ菌)の餌になります。オリゴ糖を摂取するとビフィズス菌が活躍しやすくな
り、腸内環境の改善に役立ちます。
4. 脂質
脂質は1gあたり9Kcalを発生させエネルギー源になります(糖質は1gあたり
4Kcalを発生させる)。また脂肪は体脂肪として体内に保存する場所が多数あり
貯蔵性に優れています(糖質は保存場所が限られる)。
さらに 脂質は脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助けます。このほかにも脂
質は細胞膜の主要な構成部分にもなります。
大豆には脂質が約20%含まれています。脂質は脂肪酸とグリセリン(アルコール
の一種)が結合して存在しています。分解された脂肪酸がエネルギー源になります。
大豆に含まれる脂肪酸はリノール酸が主に含まれています。リノール酸は人間の体
で作ることのできない必須脂肪酸の1つです。また、リノール酸には血液中のコレ
ステロールを除去する働きがあります。
大豆には栄養素として多様で優れた食品ですが、ビタミンやミネラルといった成分も
豊富です。ビタミンやミネラルについては次回説明します。
参考文献 大豆と機能と科学 小野 伴忠編 朝倉書店
★第28回 大豆の多様な栄養素(その2) ★
12月に入り本格的に寒くなってきました。忙しい時期ではありますが、体調
に気をつけてお過ごしください。
前回は大豆に含まれる糖質、タンパク質、脂質の説明をしました。今回は大豆
に多く含まれるビタミン類としてビタミンE、K、B1、B2について説明します。
1.ビタミンとは
2.ビタミンE
3.ビタミンK
4.ビタミンB1
5.ビタミンB2
6.大豆とビタミン(まとめ)
1. ビタミンとは
ビタミンは炭素原子を含む化合物です。ビタミンはエネルギー源となる糖質、
タンパク質、脂質の働きを助けたり、体の調子を整えたり、病気を予防する働
きがあります。ビタミンは、あぶら(脂)にとけやすい(脂溶性)ビタミンと
水に溶けやすい(水溶性)ビタミンに分類されます。今回説明するビタミンE
とKは脂溶性、ビタミンB1とB2は水溶性ビタミンに分類されます。
2.ビタミンE
ビタミンEは酸化を抑え細胞の老化を防ぐ働きがあります。また血液中にある脂
質(コレステロール)の酸化を防ぐ働きもあり、生活習慣病の予防にも役立ちま
す。さらに、ビタミンEは血行を促進し、血流をよくするので、冷え性や肩こり
腰痛の改善にも役立ちます。
ビタミンEは人間の体内では生成できないので、食品から摂取する必要がありま
す。ただ、日本人の食生活ではビタミンEは不足することは少ないようです。
3.ビタミンK
ビタミンKの働きには血液の凝固(液体が固体になること)作用があります。
人間が出血してもすぐに止まるのはこのためです。またビタミンKは骨の形成
を促す働きもあり、骨折の予防に役立ちます。
ビタミンKは食事の摂取のほか人間の体内でも生成されます。乳幼児以外は不足
することはまずありません。骨を丈夫に保つためには食品から摂取したほうが
よいといえるでしょう。
4.ビタミンB1
糖質をエネルギーに変えるときには酵素が必要です。ビタミンB1は酵素がしっか
りと機能するため(補酵素)に必要です。
ビタミンB1が不足すると糖質がエネルギーに変換できず、エネルギー不足になり
疲れやすくなります。また脳や神経への唯一のエネルギー源が糖質ですから、ビ
タミンB1が不足し糖質が変換できないと脳や神経へエネルギーが補充されません。
その結果、イライラしたり、記憶力の低下、食欲不振が起きます。そのほか糖質
がエネルギーに変換できないと脂肪として体内に残り肥満になりやすくもなりま
す。
またビタミンB1が不足すると足のむくみ、体のだるさ、動悸、息切れの症状が出
て、脚気の原因にもなります。
ビタミンB1も人間の体内では生成できず、食品から摂取する必要があります。
5.ビタミンB2
ビタミンB2は人間の体を構成する細胞を新しい細胞に入れ替える働き(新陳代謝)
を助ける働きがあります。また、糖質、タンパク質、脂質を分解してエネルギー
に変える酵素を助ける働きもあります。
さらに、ビタミンKと同様に体内の酸化を防止する働きもあります。
ビタミンB2も人間の体内では生成できず、食品から摂取する必要があります。
6.大豆とビタミン(まとめ)
脂溶性ビタミン(ビタミンE、K)は脂に溶けやすい性質があります。脂溶性ビタ
ミンは脂質と同時に摂ると脂溶性ビタミンの吸収を促進します。大豆は脂質を含む
食品ですので、脂溶性ビタミンを摂取する食品としては優れています。
ビタミンB群は水に溶けやすい性質があります。しかし、味噌汁は味噌や具材に含
まれるビタミンBが味噌汁に溶けだしても飲むことができるので優れた料理法です。
参考文献 大豆と機能と科学 小野 伴忠編 朝倉書店
栄養成分の事典 則岡 孝子監修 新星出版社
今年のメルマガの発行はこれで最後です。1年間ご購読ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。
★第29回 五穀豊穣を祈って ★
皆様、新年あけましておめでとうございます。
昨年は、ご愛読いただきましてありがとうございました。
今年も素晴らしい1年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。
新年にあたり、初詣に行かれた方も多いと思いますが、皆様は何をお願いしたのでし
ょうか?
多くの人が、自分や家族の健康や仕事・学業のこと、恋愛・結婚をお願いされたこと
でしょう。
ここで、家内安全と並ぶ、以前はポピュラーだった願い事のひとつである五穀豊穣に
ついて、お話したいと思います。
まず、その意味としては、「五穀が豊かにみのる」ということです。
「豊穣」が「豊かにみのる」ということは、そのままの意味になりますが、「五穀」
がなにであるかは、古事記と日本書紀では、一部違っているのは、弊社の「12種雑穀
味噌」のHPにあるとおり、古事記では、稲、麦、粟、大豆、小豆であり、日本書紀で
は、稲、麦、粟、稗(ひえ)、豆となっています。
この違いは、大豆と小豆をまとめて、豆とするだけの違いであり、「五」という数字
にまとめる意味の方が大切ではないかと思います。
それは、「五」が、中国より由来した「陰陽五行」につながる数字だと思われるから
です。
以前に、お坊さんが行う地鎮祭に参加したことがありますが、そのときは、土地の四
方に掘った穴に、米麦に加えて、ゴマを地中に埋めていました。
だから、「五穀」については、細かく種類を特定することよりも、様々な主食となる
穀物をまとめて「五穀」とすると考えた方が、おおまかに正しいのではないかと思い
ます。
また、古事記や日本書紀が書かれた8世紀には、日本に様々な穀物が存在したことを
証明していることを意味すると思います。
話は少し横道にそれますが、最近は、農業については、TPPやそれにまつわる全農
改革のはなしばかりで、食料自給率について危機感を募らせる報道がほとんど出なく
なりました。
しかし、状況が改善したわけではなく、依然、農水省の統計(平成25年)では、カロ
リーベースで39%で横ばい、金額ベースで65%と2%ダウン(円安で輸入価格が
上がったため)となっています。
カロリーベースの自給率を上げようとしたら、単純なことを言えば、野菜のようなカ
ロリーの低い作物を作らずに、カロリーの高い穀物や豆類を生産する必要があります。
そうすれば、カロリーベースの自給率を上げることが出来ます。
ただ、それが食料面での自立に直結するとは、思えませんが、少なくとも、マイナス
にはならないでしょう。
私としては、農産物の力を借りて行っている仕事柄、初詣では「家内安全」に合わせ
て「五穀豊穣」をお願いしました。
★第30回 十干十二支の話 ★
立春とは名ばかりで、まだまだ寒い日が続きます。
明日は、関東の広い範囲で降雪の予報も出ています。
皆さま、体調崩されませんよう、お気をつけてお過ごし下さい。
今回は、「十干十二支の話」です。
先日、年上の友人と夫婦同士で食事をしたときに、「ついに今年、オレも還暦
だったんだよ。」と言う話を始め、その友人によると、旅館だか、料亭だかで、
「還暦コース」なるものがあり、それを予約すると、料理はもちろんのこと、
定番の赤いチャンチャンコから頭巾をはじめとする衣装一式が、付いているとの
ことでした。
ただ、赤尽くめは嫌だという人は、無理にその格好をしなくても、料金には変わ
りないそうです。
友人は、「もちろん一生に一度のことだから、料金内でフルオプションしたさ」
とのことでした。
還暦とは、60年に一度回ってくる干支(十干十二支)であることは、知ってい
ましたが、10の干(かん)と12の支を組み合わせたら、120通りだろうと
思っていました。
でも、少し調べてみるとそれぞれに陰と陽があり、陽と陽、陰と陰の組み合わせ
しか、しないので、60通りの組み合わせになるようです。
それから、ご存知の方も多いと思いますが、十干は、木、火、土、金、水が、元
になっています。
木の陽が甲(きのえ)、 木の陰が乙(きのと)。
火の陽が丙(ひのえ)、 火の陰が丁(ひのと)。
土の陽が戊(つちのえ)、土の陰が己(つちのと)。
金の陽が庚(かのえ)、 金の陰が辛(かのと)。
水の陽が壬(みずのえ)、水の陰が癸(みずのと)。
となり、陽が兄、陰が弟となっています。
これに十二支の陰陽(下記)をそれぞれ組み合わせるので、
陽-子、寅、辰、馬、申、戌
陰-丑、卯、巳、未、酉、亥
5 × 6 × 2 = 60通りになります。
ちなみに、平成27年は、乙未です。
弊社での旧暦に関する行事と言いますと、初午(立春の後の最初の午の日)に、
社内にあるお稲荷様の神棚に油揚げを供えて、商売繁盛を祈念して、拍手を打つ
ことです。(平成27年は、2月11日です。)
昔は、社内で酒が振舞われたそうですが、今は、そのようなことは、ありません。
(会社内は、禁酒なので)

