メールマガジン No31~40
★第31回 みそ製造技能士について ★
今年の花粉症も、ピークの季節になりました。
花粉症体質の方にとっては、辛い時期ですね。この季節が早く過ぎますように…。
今回は、「みそ製造技能士について」です。
皆様にとっては聞き慣れない資格かもしれませんが、厚生労働省の認定資格です。
分類的には、「技能士」という資格の「みそ製造」部門となります。
まず、「技能士」とは、簡単に言うと職人さんの能力を示す資格です。
だから、範囲は、建築関係、金属加工、木工、電気から、食品関係で言えば、パン
ハム・ソーセージ、練り製品などです。
最近は、ウェブデザインとか、フィナンシャルプランナーとか、横文字の職種も、
技能士を名乗れるようになりました。
それぞれの分野で、優れた技能を持っていることの証明になります。
「みそ製造技能士」試験については、1年おきに行われます。
1級と2級があり、学科と実技の両方の試験に合格すると、1級は厚生労働大臣、
2級は県知事の署名入りの賞状と技能士バッジが授与されます。
試験範囲は、2級は、米、麦、豆味噌のうちの一つについて、1級は、3つ全てと
なっています。
受験資格は、実務経験が必要なので、味噌メーカー勤務者でないと、難しいと思い
ます。
試験は、学科試験が〇×と択一の50問です。内容は、味噌の種類に始まって配合や
塩分の計算、原料処理、品質管理、表示の方法まで、味噌全般にわたっています。
実技試験は、味噌の原料の判定や、麹の判定、味噌の判定と、これも味噌全般にわ
たっています。
2月に「みそ製造技能士」の試験が行われました。
全国では、1級2級それぞれ100名程受験したようです。弊社でも、数名が受験
しました。
会社によって考え方は違うと思いますが、弊社では、受験資格のある社員は、全員
受験することとなっております。
それは、直接製品に関わる担当者が、自分の持ち場だけではなく、味噌について様
々な工程やそれに伴う全般的な知識を持つことが、必ず製品にプラスになると思っ
ています。
それに、味噌屋に勤めていて、味噌についてよく知らないのでは、親戚の集まりに
行って恥を書くことになります。
合格者は、資格にふさわしい見識と仕事ぶりを見せてほしいですし、残念だった人
は、次回必ず合格するように、今から頑張って下さい。
★第32回 遺伝子組換え食物について ★
桜の木々にも、ちらほらと緑の葉が目つようになりましたが、
今年の入学式は、なんとか桜の花を背景に記念撮影が出来そうですね。
今回は、「遺伝子組換え食物について」です。
ここのところ、TPPがらみで農業分野の話題が、取り上げられています。
しかし、農業問題と言っても、メインは農協の解体であったり、関税の問題
であったりして、あまり大きな話題には、なっていません。
遺伝子組換え作物(以下GMO作物)に対して、日本は、輸入は許可するが
栽培は認めないという、中途半端な対応となっています。
中国やEUでも、栽培承認の流れが来ているようです。GMO作物は、文字
通り、本来持っている遺伝子を変更した作物です。
そのため、どこをどのように変えたかが、交配による変更に比べて、わかり
やすいことになります。それゆえ、特許関係の申請及び承認が、受けやすく
なります。知的所有権です。
日本では、7品目のGMO作物が承認されています。しかし、世界の趨勢と
しては、綿花、菜種、トウモロコシ、大豆の4品目で、生産量の全てを占め
ているようです。
さらに、遺伝子組換えの成果としては、除草剤耐性と害虫防御の2種類がメ
インのようです。虫が食べて有害なのに、人が食べても無害なのは、どうい
うことかと思いますが、簡単に言うと哺乳類には、その毒に対する受容体が
ないので、効かないということのようです。
GMO作物について、問題だと思うことのひとつは、技術開発の面です。
アメリカとスイスがGMO作物のトップランナーとされていますが、全世界
が、そこで開発された種子で作物を作っています。その収入は莫大なものに
なるでしょう。それを研究開発にも使い、新たなGMO作物を創造していま
す。この循環は、日本の国益を考えると、あまり歓迎できるものではありま
せん。
技術開発では、儲けのあるところが大きく伸びることは間違いありません。
ここで国として明らかな遅れを取るのか、さらに優秀な技術者を他国に取ら
れてしまうことにもなります。
しかし、大きな見地から考えると、どこまでの成果がGMO作物から、もた
らせるのかが問題です。
人類が農耕を始めて1万年が経とうとしています。その間、交配による品種
改良は、絶え間なく行われてきました。
それを遺伝子組換え技術で、どこまで効率よく品種改良ができるのか。
これまでの成果を超えられるのか。
たとえば、収穫量の増大、気候に対する耐性や乾燥地での栽培など、今後の
農業に突きつけられた課題は、様々なものがあります。どれ一つをとっても
大きな問題です。
それが、遺伝子を組み替えただけで、克服できるようになるのか。
現状の遺伝子組換えの成果としては、農薬散布の手間が減るだけの成果しか
ありません。たったそれだけの成果を得るために、あえてGMO作物を栽培
する必要があるのかは、大きな疑問です。単なる知的所有権だけの話なら、
あえてそこに踏み込む必要はないと思います。
さらに、アメリカでは、遺伝子組換え作物を原料としていても、表示はあり
ません。これは、消費者の意向ではなく、たぶん関係業界の政治的なロビー
活動の結果だと思います。EUでは、GMO作物を原料にした食品は、全て
表示義務があります。
TPPがらみでは、表示の問題が出て来るはずです。 日本側の担当者も、
そこは重要なこととして、交渉にあたってほしいものです。
★第33回 みそソムリエ認定講座について ★
梅雨前のさわやかな季節、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今年のゴールデンウィークは、お天気に恵まれた連休になりましたね。
活動的に過ごされた方も多かったのではないでしょうか。
今回は、弊社もお手伝いしている「みそソムリエ認定講座」(以下、講座)に
ついてのお話をします。
講座は、一般社団法人東京味噌会館が、下部団体として「みそソムリエ認定協会」
を設立して、その協会が行っている事業です。(「みそソムリエ」の呼称登録も
してありますので、試験に合格しないと、名乗れません。)
認定協会の設立目的は、「講座を通じて、味噌の素晴らしさを理解して、それを
伝える人を育てること」です。
毎年秋に、講座を実施して、今年で第7回となり、過去6回で500人以上の
「みそソムリエ」が誕生しています。
講座の特徴としては、「ソムリエ」と言うからには、味噌やみそ汁のテイスティ
ングをしないと意味が無いとの思いから、全国の30種類以上の味噌と5種類の
みそ汁の味見を行っております。
講義を聴いたり、実演を見てもらうだけなら、一度に何百人居ても、なんら支障
がないのですが、実際の味見を行うとなる(しかも実技試験も関係します)と、
別の部屋を準備して、一度に出来るの人数も限られるし、そこの準備だけで毎回
とても大変です。
味噌に関する資格は、第一には、「味噌製造技能士」という資格があります。
これは、厚生労働省の資格で国の資格です。 ただこの資格は、実務経験(味噌
メーカーに勤務)がないと受験資格がないので、一般の方は受験できません。
それにこれは、味噌の製造に関する知識や技術を評価する資格です。
認定講座は、もう少し間口が広くて、味噌の製造や品質だけでなく、歴史や効用
などの文化面についても、知識が身につく様になっていますし、一日の講座では
話し切れないボリュームです。
もちろん、資格に関することですので、講座を受講しただけではなく、試験
(筆記、実技、小論文)に合格しないと「みそソムリエ」の資格は、受けられま
せん。
一日の講座の終わりに試験を行いますが、筆記試験の出題範囲が、講座で話した
ことだけではなく、事前に送られてくるテキスト全般なので、予習が必要です。
ただ、実技試験に関しては、今までの経験値が受講者それぞれで違いすぎるので、
講義の中で実物を前に細かく説明をしてから、試験となります。
今年の講座も、先日募集が開始されました。おかげさまで毎年キャンセル待ちが
出るほどのお申込を頂いている(去年は講座2ヶ月前満席)ようなので、ご興味
がありましたら、以下のHPにアクセスいただいて、内容を確認下さい。
今年は、10/16(金)10/17(土)のそれぞれ70名です。
★第34回 味噌作りでの失敗のさせ方 その1 ★
夏を迎える緑もますます濃くなってきました。
早い時期から真夏日続きの上に、そろそろ梅雨のじめじめした季節になります。
体調には充分ご留意されてお過ごし下さい。
今回は、「味噌作りでの失敗のさせ方」です。
5月の連休中、近所の小学校5年生担任の先生が来て、一年かけて味噌を教材に
取り上げるので、協力して欲しい。とのことでした。
先生のシナリオでは、一度、味噌を仕込んで、それがイマイチもしくは、失敗となり
みんなで力を合わせて再び挑戦をして、壁を乗り越える。というものでした。
そのシナリオに対して、「うちが、最初からご協力するとなると、初めて仕込んでも
失敗しないように教えますよ。」
「今の小学校5年生は、ネット検索が達者だから、興味を持ったら、かなりの精度で
的確な答えをだしてきますよ。」とも、お話をしました。
今になって考えると、前半部分は自信を持って言えますが、後半は、果たして自分が
小学校5年生だった時に、学校の授業に興味があるものが、あったのだろうか思い
返しました。
それは、さておき、味噌を仕込んで、それが失敗するケースは、どんな場合が考えら
れ るのでしょうか。
それには、おいしい味噌ができる条件の裏返しを考えることとします。
私は、おいしい味噌(米みそ)を仕込む場合、大きく5つの条件があると説明をしています。
① 大豆が良いもので、しっかり柔らかく火が通っている。
② 麹がきれいにできている。
③ 大豆、麹、食塩の配合が、正しく計量されている。
④ 原料が均一に混ざっている。
⑤ 発酵熟成が、良い環境で行われる。
以上の5点です。
この条件の一部を裏返して、イマイチの仕上がりにする。
しかし、味噌の仕込を見たことすらない先生にさせるとなると、大失敗なら何も考えずに
やらせればなりますが、微妙なところの加減ができないでしょう。逆に、5つの条件を厳守
させて、勝手に未熟なところが露呈して、イマイチから大失敗までバラエティに富んだ失敗
が、巻き起こる可能性に期待するには、ややこしい問題があります。
その問題は、「手前味噌」現象です。
そのバリエーションとしては、「うちのカレーが一番うまい」現象があります。
若干違いますが、心情的には近いものがあります。自分が手を掛けたものが良いもの
に見えることです。
イマイチの仕上がりとなった場合、自己診断で「成功」もしくは「大成功」になる可能性も
大いにあります。アマチュアが頑張って作った味噌にプロの視点でケチを付けるのは
論点が噛み合わないし、大人げないことです。
以前、みそソムリエの講座に、味噌を持参されて評価を求められた方がいらっしゃい
ました。その方には、「嘗めてみて、おいしい味噌です。ただ、味噌を売るとなると
コンスタントにこの状態の味噌を常に準備しておく必要があります。
そのために、どのような工程管理をするのかが、重要です。」と申し上げました。
おいしい味噌を作ることは、ゾーンが広いのでさほど難しくありません。狙い通りの味噌を
作ることは、なかなかの難事です。
少し詳しい人でも、どこをどう狙うのかすら、わからないと思います。味噌には、狙うところ
により条件が微妙に相反することがあります。
たとえば、色が白くて、熟成したもの。とか、低塩分で長期熟成とか。
この相反した事象でも、求めるハードルを下げれば、アマチュアにも充分克服可能です。
次回は、5つの条件、それぞれに対して、失敗もしくはイマイチな味噌になる方法を考え
ます。
★第35回 味噌作りでの失敗のさせかた その2 ★
プール開きの便りに、いよいよ夏到来を感じるこの頃です。
熱中症などにならないよう、体調管理はしっかりとしていきたいと思います。
今回は、前回に引き続き「味噌作りでの失敗のさせかた」その2です。
ざっと思いついた原因だけ上げますので、味噌を仕込まれる方は、
それがどういう結果につながるかを考えると、勉強になるでしょう。
(ここに挙げた問題をクリアしたとしても、うまく行くとは、限りません。)
大豆
・品種や、特に粒の大きさが揃っていない。
・浸漬時間が短い。
・蒸煮の程度が硬すぎる、柔らかすぎる。
・均一に蒸煮されていない。
麹
・精米度合いの低い米を使う。
・米の蒸しが弱くて芯がある。
・米を蒸しすぎて、ベタベタする。
・雑菌が繁殖する。
・麹菌が胞子を持つ。
・麹から異臭がする。
計量
・配合の設定がおかしい。
・秤がくるっている。
混合
・大豆の潰れ方が、大小ある。
・大豆、麹、食塩が、均一に混ざっていない。
発酵熟成
・直射日光が当たる。
・切り返しをしない。
・保管場所が、低温すぎる。
・重石が重すぎる、軽すぎる。
こうして列挙して見ると、前半の3つについては、大失敗(味噌にならない)
に終わりそうですが、後半の2つは、最悪な結果を招きそうな「均一に混合
されていない。」
でも、部分的には、まずまずの味噌が出来ている可能性があります。
先生には、以上の原因を見せて、どの失敗をさせるかを相談するとしましょう。
最後に、あえて個人的な意見を言わせていただくと、教師の側が失敗に誘導する
のは、フェアではないと思います。
(故意ではなく不作為だとの言い訳も成り立ちますが。)
なにか新しいことを始めるときは、事前の準備を周到にして、それでも何度やっ
ても思い通りに行かないのが、当たり前です。
それが、週刊ジャンプの連載のように、ちょっと(血のにじむような?)修行を
したからと言って、簡単に全く歯が立たなかった相手を倒せるようになるのを
わざわざ矮小化して、体験させてもどうかと思います。
私としては、味噌作りのシミュレーションを1からしてみるのも、勉強になりま
した。
★第36回 小学生に味噌の仕込みを教える ★
今年の夏もまた猛暑になりましたね。
東京都心では、7日連続で猛暑日となり、最長記録を更新してしまいました。
皆様、体調を崩されませんようお元気でお過ごしください。
今回は、「小学生に味噌の仕込みを教える」です。
前回までは、どうやったら味噌の仕込みに失敗するかを考えてきました。
しかし、それは、少し底意地の悪いやり方ではないかと、ずっと思ってきました。
ただ、他の選択肢が思いつかなかったので、それを選んで進めていました。
やっと、新たな方法を思いつきましたので、ここでご報告します。
そもそも今回の目的は、小学5年生に味噌の仕込みを体験させることによって、様々な
成長をしてもらうことです。
そのための手段として、1度失敗させるとか、仕込みの際に横に付いて教えたら失敗
させられないとか、ややこしいことを考えていました。
そこで、原点に返って、以下のような進め方を担任の先生に提案しました。
まず、みその仕込み方を生徒たちだけで調べる。
それをまとめたものを受け取り、こちらでチェックと訂正をする。
それにより、生徒たちが、何がわかっていて、何がわかっていないかが、把握できる。
それに基づいて、生徒に説明する。
会社に来てもらってやみくもに味噌の仕込み方を説明しても、どの程度のレベルの話を
したら良いのかもわからないので、生徒たちの理解度が向上するとは思えません。
自分たちで調べてまとめることは、生徒たちにとっては手間の掛かることですが、これも
勉強の一環です。
先日、まとめが届いたので、クラス全員に会社に来てもらって、1時間程度かけて味噌の
仕込みについてのお話をしました。
(いくらでもお話はできますが、小学生の忍耐がもたないでしょう。)
そこで、一番に強調したのは、味噌にはいろいろな種類があって、それぞれ仕込み方が
違うので、グループごとにどんな味噌を仕込みたいのか、決めることから、始めるということ
です。
これが、目的です。あとは、手段になります。
まとめを見るとさすがに「ネットには、なんでも出ています。」と思うほど、よく調べてあります。
ただ、様々な味噌の作り方が、こんがらがって書いてあったので、最初の話をしました。
さらに、どれだけの量を作るのかも、考えていなかったようなので、原料に対する出来上がり
重量の計算方法を教え、最初にそれを決めておかないと、容器からあふれたり、足らない
原料が出たりすることを話しました。
三番目に強調したのは、素人が麹を作るのは、どれだけ大変なのかです。
小学生は、菌について知識がないようだったので、麹については作り方をタイムスケジュールと
作業について詳しく説明しました。(2日間徹夜で面倒を見なければならないこと)
まとめを先にもらっていたので、こちらも説明のポイントが掴めましたし、生徒たちもなんの
予備知識も無しに話を聞くより、予備知識があったので、有意義な時間だったと思います。
このあと、今回の話しを思い出して、わからないところを聞きに来ると思いますが、それが
終われば、いよいよ生徒たちだけで、みその仕込みを行うことになります。
会社の人間は、見にも行くつもりは、ありませんが、原料や道具の協力は、生徒の要望に
合わせて、行います。
また、仕込みの場面ごとに書くチェックシートは、渡しておくつもりです。
そうしないと、あとでなにが起きたかが、出来上がった味噌を見ただけで、推理しにくいからです。
1時間ほどの話の後、生徒たちは、「これで、味噌が仕込める。」と自信満々でした。
さて、生徒の皆さんは、このあと味噌の仕込みが計画通り出来るでしょうか。
直接手を下さずに、フォローをするという目的(生徒の自主性を引き出す)をうまく果たせて、
満足です。
この進め方で生徒の皆さんが、味噌を仕込んでうまく行ったら、自分たちで調べて、うまく行った
のですから、それはそれで、良いことで喜ばしいことです。
また、イマイチな結果に終わったとしても、このあとに原因の究明に協力すれば、彼らの進歩を
バックアップできるので、責任は果たせます。
この先、仕込んだ味噌の出来上がりが、楽しみです。
★第37回 みそ汁とだし ★
8月中旬から9月上旬頃にかけて、広い範囲で曇りや雨の日が続きました。
今後2週間も、平年に比べ曇りや雨の日が多い見込みの様です。
秋晴れのさわやかな青空が続く日が待ち遠しいこの頃です。
今回は、「みそ汁とだし」についてです。
先日、「分けとく山」の野崎料理長のお話を聞く機会がありました。
というか、業界団体で積み立てをして、年に2・3回おいしいものを食べに
行く会があり、それで「分けとく山」へ行き、おいしい食事の後の帰り際に、
わざわざお話をいただきました。
「一汁三菜」の話に始まり、そこからの「だし」の話を聞きました。
最初にお断りしておきますが、録音を取ったわけでもなく内容の確認を取った
わけでもないので、ここからの話は、私の記憶とそれに妄想を盛って、適当な
結論を出したものなので、内容へのクレームは私にお願いします。
家庭では、みそ汁にだしを取る事はなかった。それは、そのまま具として食べ
ていたからで、カツオ節なら、上げずにそのままにし、コンブなら細く切って
具の一つとしていた。
煮干や干しシイタケなどは、もちろん具材です。
なぜ「だしを取る」ようになったかと言えば、澄んだ汁を宴会料理として出す
必要が出てきたからだそうです。
宴会料理は、大量に作るために、作り置きになります。味噌汁は、少し置いて
おくと沈殿してしまいます。
それは、あまり見た目が良くないと考える人がいたことと、宴席なので、少し
特別な汁を出そうということで、「お澄まし」が出てきた。
というようなお話に記憶しています。
さて、ここからが、勝手に妄想を大きく広げるところですが、はたして具沢山
みそ汁にだしは必要なのでしょうか。
まず、味噌は、大豆のたん白質が分解されて、アミノ酸が豊富にあります。
アミノ酸には、様々な種類があって、グルタミン酸も味噌のアミノ酸の一つで
あり、コンブの旨味とされるものです。
さらに、具沢山のみそ汁では、具材からの味が出てきて、だしと呼んでもよい
と思います。
たとえば、アサリやシジミからは、コハク酸がだしになります。
なお、簡単に使える固形コンソメ(〇〇ブイヨン等)や顆粒風味調味料(かつ
お風味等)は、塩分が40%以上あります。
また、グルタミン酸も単独では酸味があるので、ナトリウムと結合させてグル
タミン酸ナトリウム または、グルタミン酸ソーダとなります。
近年、味噌からの食塩は、そのままの食塩に比べて体に与えるダメージが3割
少ないと業界を挙げてキャンペーンをおこなっておりますが、顆粒だしなどか
らの塩分のダメージは、わかりません。
あくまでも私見ですが、具沢山みそ汁にすれば、少なくとも顆粒だしは、
必要ない。と思います。
勿論、丁寧にだしをとって、2種類以上を合わせて、味の相乗効果が高まった
みそ汁は、とてもおいしいみそ汁には、間違いないと思います。
★第38回 秋の夜長にお勧めの本 ★
日増しに秋も深まり、朝夕は肌寒く感じます。
季節の変わり目ですので、お身体には十分ご留意ください。
今回は、「秋の夜長にお勧めの本」をお届けしたいと思います。
秋の夜長にお勧めの本
☆「男のパスタ道」 土屋 敦 著 日本経済新聞出版社
一冊丸々、スパゲッティ・ペペロンチーノの作り方を書いた本です。
著者の様々な実験結果が、書かれています。私は、唐辛子辛い(辛さにも、
コショウやわさび、ショウガ、山椒と色々あります)料理は、好きでは
ないので、唐辛子の選び方は、興味がありませんでした。
しかし、うどんとスパゲッティのコシの違いや、なぜ、スパゲッティを
茹でるときに塩を入れるのか。(ずっと、沸点を上げるためと思ってい
ました。)乾麺を生麺らしくさせる方法とか、ウンチクに使える話が、
一杯です。
繰り返しになりますが辛い物が嫌いなので、ペペロンチーノは作りませ
んが、スパゲッティは茹でてみたくなりました。
それから本の題名ですが、「パスタ」ではなく「スパゲッティ」もしくは
「ペペロンチーノ」とした方が、内容には合っていると思います。
「パスタ」は、範囲が広すぎて、この本のマニアックさには、小じゃれた
イメージの「パスタ」は、フィットしないように思います。
☆「食糧自給率の幻 誰のための農業政策なのか」 茂木 創 著 唯学書房
最近は、TPPがらみで話題になりますが、以前ほどは騒がれなくなった
食糧自給率。その仕組みと見方について、経済学の立場から分析した本です。
この本を読んで、食糧自給率が低いことが、国益を損なうことだとは、全く
思わなくなりました。
この本の欠点としては、単純に米と言っても一概には語れず、それぞれの
違いが理解できていないことです。しかし、現在のばら撒きをする行政も、
同じスタンスなので、同じ土俵ではこちらの理屈が優れていることになり
ます。
カロリー自給率などというトリック(穀物の自給率を高めたいということ
が見え見え)を使うこと自体が浅はかな手口だと、思います。
国産品の普及を進めていくことに、自給率を絡ませることはそもそも間違
いであり、国産品の長所を勧めていくことが、シンプルかつ正しい方法で
あると思います。
☆「食の終焉」 ポール・ロバーツ 著 神保 哲生 訳 ダイヤモンド社
500ページを超える大著ですが、読む分にはそれほど小難しくない本です。
食に関して、消費者が安くて良い物を求め続けると、しっぺ返しが来る。
食に関わる業界の複雑な構造のベールを一枚一枚はがしながら、当たり前と
言えば、当たり前の結論に導いてくれます。もちろんその結論に至るまでに、
農業に関する問題、貿易に関する問題、遺伝子組換えの問題、食品加工に
関する問題等を解き明かしてくれます。
個人的なことで申し訳ないのですが、最近、読む力が弱くなって、途中で
保留になっている本が多くなっています。そんな私でも最後まで読みきれ
ましたので、素晴らしい本です。
★第39回 麹の作り方 ★
師走となりますと、何かと慌ただしい年の瀬です。
寒さも本格的になって参ります。体調管理に気をつけてお過ごし下さい。
今回は、「麹の作り方」についてです。
10月・11月、弊社では「秋の手作りみそ教室」が開催されています。
おかげ様で、リピーターを始め、数多くの方にお越しいただいております。
教室では、蒸煮した大豆を潰し、米麹と塩を混ぜ、潰した大豆とさらに混ぜ
合わせ、容器に仕込む。という体験をしてもらいます。
味噌の製造工程からすると、「味噌の仕込」を体験することになります。
あと、味噌の完成に向けては「発酵熟成」工程が残されており、それはお持ち
帰りいただき、各々自宅で完成させる方式です。
味噌の仕込みは、時間的にも2時間以内で出来て、量も4kg強と軽い作業です。
ただ、味噌の製造となると、仕込みも大切な工程ですが、それと同じくらい
重要な工程が、色々とあります。
その中で、特徴的な工程である麹作りについて説明をします。
弊社は、米味噌しか製造をしておりませんので、米麹の作り方になります。
まず、麹作りで大切なのは、質の良い米を使うことです。
米を洗い、浸漬を行います。水を切り、米を蒸します。この場合のポイントは、
米を炊くのではなく蒸すことです。もちろん、芯があるようなアルデンテでは、
麹菌が中心まで繁殖しません。
しかし、表面がべたつくようですと、米同士がくっついて、麹菌がそれぞれの
米の表面に噴霧しても、付きません。
イメージは、表面がベタベタしていない御赤飯です。
蒸しあがった米に風を当てて冷やします。冷えた米の表面に、麹菌を噴霧します。
そして、麹室に入れます。
昭和40年くらいまでは、麹は、麹蓋という、板の四方に枠が付いた容器に入れて、
それを麹室の中に何百枚と置き、麹作りをしました。
湿度の高い地下の穴倉のようなところで、製造をしていました。人がほぼ24時間
付きっきりで、面倒をみながら手入れをしていました。
場合によっては、酸欠になりました。麹菌が繁殖するために、水分が必要であり、
繁殖に従って麹自身が熱を持ち、その熱で自ら痛んでしまうために、状態を見な
がらの手入れが必要です。
しかし、その後、断熱材やセンサーの進化により、機械化が進み水分が足りなく
なれば、散水を行い、温度が上がれば、送風や冷却を行う麹室が出来ました。
設定さえしっかりしておけば、付きっ切りで徹夜で手入れをする必要はなくなり
ました。
もちろん、手間は楽になりましたが、麹作りに必要な時間が、短縮されたわけ
ではありません。
麹作りに必要な時間は、麹菌が繁殖する時間ですのでずっと変わりはありません。
しかし、麹作りに適した環境であれば、麹菌の繁殖は促進します。
したがって、良い環境で麹を作れば、よく繁殖するので必要な菌数は短い時間で
確保が出来ます。必要以上に麹菌が繁殖すると、胞子が出来ます。
それは、緑色もしくは黒色なので、害はありませんが、見た目がよくありません。
弊社の環境で麹を作るといわゆる「三日麹」であり、一日増やして「四日麹」に
すると、胞子が出てきて、見た目が悪くなり、味噌の色も悪くなります。
また、麹菌は、塩分にはとても弱く0.5%以上あると完全に死滅します。
だから、味噌の仕込の段階で、全て居なくなります。
なぜ麹を味噌の仕込に使うかと言うと、味噌に必要なのは、麹菌ではなく、
麹菌の作る酵素です。
麹菌は、米を栄養にして繁殖をします。ただ、米の主成分のデンプンを直接栄養に
することは、できません。そのため、酵素を作ってデンプンを分解してブドウ糖に
して吸収します。
その酵素が、大豆や米を分解して、味噌を発酵させることになります。
麹について、ざっくりと述べてまいりましたが、まだまだ全てをお話したわけでは
ないので、また、機会がありましたら、お話致します。
★第40回 麹の作り方 ★
皆様、新年あけましておめでとうございます。
昨年は、ご愛読いただきましてありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
今回は、「麹の作り方 その2」です。
前号で、ざっくりと「麹の作り方」を説明しました。
今号では、昔の麹の作り方を説明します。
まず、麹の原料となる米の炊き方です。
「米の浸漬」は、通常の炊飯と同じで、米を一定時間、水に漬けて、水を
切っておく作業です。
続いて、「米の蒸し」になります。これは、前回でも説明しましたとおり、
米の「炊き」ではなく、「蒸し」となります。
この作業の目的は、麹菌が増殖しやすい米の状態を作り出すことです。
そのために「米を蒸す」作業を行います。
米を蒸すために使う道具は、甑(コシキ)と呼ばれる道具です。
下でお湯を沸かし、その上で米を蒸す、セイロのようなものです。
この道具の使い方のポイントは、「抜け掛け」と呼ばれる米の投入方法です。
これは、まず沸騰したお湯の上に甑を置いて、甑自体を暖めます。
(そうしないと、甑に接していた米に結露が出来、良く蒸せなくなる。)
それから、米を平らにならすように入れます。
しばらくすると米が蒸されると、下から上がってきた蒸気が抜けます。
蒸気が抜けて出てきたところに周りの蒸されていない米を寄せて、蒸気に
米で蓋をする方法が、蒸気の「抜け」たところに、米を「掛け」る「抜け掛け」
です。これを繰り返すと全体に蒸気が上がってきます。
そうなったら、全体が蒸せた証拠ですので、追加の米を投入します。
そうやって、米を蒸して行きます。
麹作りに適した米の条件は、
①芯まで蒸せていること。
②表面が水分でぬるぬるしていないこと。
③外硬内軟でパラパラしていること。
④香味が良いこと。
の4点です。
続いて、蒸しあがった米を冷却します。これは、米の温度が高いと麹菌を
散布した際に、高温により、麹菌が死んでしまうからです。40℃以下ま
で、冷却します。
また、米一粒一粒がバラバラになるよう、ほぐすことも大切です。
麹菌をまんべんなく表面につけるためです。
米が冷えたら、麹の「種付け」を行います。
米を3cm程度の厚みにして、上から麹菌を振り掛けます。麹菌の重量は、
米の重量の1万分の1程度です。その後に、素早く入念に揉み込みます。
こうして、麹菌を揉み込みが済んだ米を「麹蓋」に載せて、「麹室」に
入れます。
麹室に入れる一連の作業を「引き込み」と呼びます。
「麹蓋」とは、45cm×30cm程度、深さ5cmの木製のトレイのような道具です。
これに1升ほどの米を入れて麹にしていきます。「麹室」は、麹蓋を並べて
置けるようになっている部屋で、保温が効き、湿度が高い状態(90%以上)が
維持できるようになっています。
この後、「麹室」に引き込んだ米が麹菌の増殖により、麹になって行きます。
これ以降の工程は、次号にて。

