メールマガジン No81~90

目次

★第81回 東京農業大学総合研究会 その2 ★

気象庁の発表では、いよいよ今週末には、関東地方も梅雨入りとなりそうです。
梅雨の時季に、頭を悩ますもののひとつに「カビ」があります。
喘息や鼻炎になる危険性もあるという「カビ」。対策をしっかり行なって、
じめじめした季節を少しでも快適に過ごしていきたいと思います。

今回は、『東京農業大学総合研究会 その2』をお届け致します。

『東京農業大学総合研究会
     「稲・コメ・ごはん部会」第7回セミナーに参加して その2』

前回に引き続き、東京農業大学総合研究会「稲・コメ・ごはん部会」セミナーの
講演についてです。

「ごはんの美味しさを決める遺伝子を見つける」
農研機構 次世代作物開発研究センター 堀 清純 博士

栽培されている米の品種は、現在数百種。品種育成(育種)10年に1品種。
数千、数万個体にひとつが、品種として認められるという狭き門である。

世界中で食べられている米の80%がインディカ種。
その特徴は、アミロースが多く、硬めで粘りが少ない。
地域による炊飯米の嗜好性がある。日本では、短い、太い米粒を好む。

米のデンプンは、アミロースとアミロペクチンの2種類あり、アミロースは、
デンプンが直鎖状につながっている。
アミロペクチンは、分枝状につながっているため、粘り気や弾力がある。

インディカ米は、アミロース30%、アミロペクチン70%で、
ジャポニカ米は、アミロース20%、アミロペクチン80%となっている。
アミロペクチンが多いと粘り気の多いコメになる。

たんぱく質については、含有率が低いコメは、食味が良いとされる。
たんぱく質は、表面付近に多く含まれるので、搗精率を上げるとたんぱく質は
少なくなるが、その分、粒が小さくなるため、大粒をおいしいとする評価から、
遠ざかる。

現代の日本では、コシヒカリが作付面積の37%を占めており、作付面積の上位
10品種は、全てコシヒカリの子供か孫の品種である。
また、コシヒカリは、1979年以降40年間日本一の生産量を誇っている。

美味しさの違いは、2つの要素から決まる。遺伝と生育環境である。
これは、おいしさに限らず、あらゆる違いは、この2つの要素によって決まる。

イネの染色体は、12本×2セットで約32,000個の遺伝子がある。
遺伝子から、おいしさを探ることとする。
コシヒカリは、日本人好みのごはんの美味しさを実現する遺伝子をもっており、
それが現代の美味しいとされる品種に受け継がれていると思われる。
その遺伝子を探る。

その方法として、美味しいコメの代表としては、コシヒカリ、
あまりおいしくないコメの代表として、日本晴(ニホンバレ)を交配して、
その子孫の米の食味官能検査を行った。

それと全ゲノムDNAマーカー遺伝子データを合わせた結果、第3染色体短腕に
炊飯米の食味を向上させる効果を持つ遺伝子(q0E3-1)を検出した。
この遺伝子以外を日本晴の遺伝子に置き換えた米、その他の成分は、日本晴だが、
食味が良い。その特徴は、炊飯した際に溶出物(おねば)出ている。
また、生育環境については、穂が出た後の気象条件がおいしさに影響する。

また、日本国内の150以上の品種群について、食味特性を評価して全ゲノム
DNAマーカー遺伝子を調査した結果、第3染色体短腕以外の染色体領域にも
炊飯米の食味を向上させる遺伝子座を検出できた。

一部の検出した遺伝子座は、コシヒカリ以外の品種が食味を向上させる効果を
示しており、更なる極良食味品種を開発するために利用可能であると考えられた。

コメの消費量は、1950年には、国民一人当たり120㎏/年だったのが、
2017年には、54㎏/年となっている。
中食や外食用のコメの需要も高まっている。これら業務用炊飯米に求められる
食味特性は、用途によって様々である。

弁当用では、冷めてもおいしさや食感が変化しない。おにぎり用では、機械
成形時の操作性を損なわない程度の粘りと米粒の形状保持、冷凍米飯では、
解凍後に食感が柔らかくなりすぎない。などが求められている。

今回検出した遺伝子座を組み合わせることによって、各業務用途に適した
炊飯米特性を実現できるのではないかと考えている。

この講演を聞いて、2つのことを考えました。
一つは、コメのおいしさ、ごはんのおいしさとは、なんなのだろう。という
ことと、コメのおいしさは、遺伝と育成環境のどちらがどのくらい影響が
あるのだろう。ということです。

特に、コメのおいしさは、生では食べられないので、ごはんに炊かないと当然
わからないし、炊き方も影響すると思います。それに、私は、ごはんのおいし
さは味覚(五味)で言い表しにくいと思っています。
あえて、ごはんの味を表現すると極薄い甘味でしょう。

それ以外には、歯ごたえとか、粘りとかのいわゆるテクスチャーで、おいしいか、
まずいかを判断しています。
講演の中でも、触れられていましたが、評価する人たちは、アトランダムに
選んだ人ではなく、キチンとテストを受けた厳選された人とのことなので、
そこでのブレは無いのでしょう。
ゴハンの味については、私なりにこれから考えたいと思います。

★第82回 東京農業大学総合研究会 その3 ★

梅雨前線の停滞により九州地方で続く大雨に対し、気象庁が早めの警戒を
呼び掛ける記者会見を行ないました。東日本でも今日昼過ぎから明日にかけて
激しい雨が降り、大雨となる所がある見込みです。
ハザードマップや避難場所確認など、災害への早めの準備が大切です。

今回は、『東京農業大学総合研究会 その3』をお届け致します。

『東京農業大学総合研究会
     「稲・コメ・ごはん部会」第7回セミナーに参加して その3』

「一株の稲に、たくさんのコメを実らせるには?」
従来の品種改良からゲノム編集まで
農業・食品産業技術総合研究機構 小松晃

育種(品種改良)とは、遺伝子が書き換わる。
もしくは、書き換えることによって、栽培化されて来た。

突然変異とは、DNAがなにかの偶然で切れる。普通は、それは修復される。
しかし、非常に稀な確率(何十万分の一)で、遺伝子が抜け落ちたり、他の
配列が挿入されたりして、起きる現象のことである。

今までの品種改良は、自然突然変異によって人類にとって利用価値が高まった
ものを探し出し、有望な者同士を掛け合わせることにより、行われてきた。
続いて、ガンマ線や重イオンビーム等を照射することで、人為的自然突然変異
育種が行われてきた。

これらの技術は、非常に重要な育種のツールであるが、
①ランダムに変異が入るため、変異プールの中に狙った形質に対する変異が
含まれないことがある。
②ゲノムの複数個所に変異が入るため表現形の判断を難しくする。
③有望な変異を交配や戻し交配の繰り返しにより、ピラミディングする際に
必要でない近傍の遺伝子領域も一緒にもってきてしまう(リンゲージドラッグ)
等の弱点を併せ持っていた。
(ピラミディング 検索すると投資関係の用語が出て来ますが、ここでは、
品種を固定する、安定する意味のようです。)

2本鎖DNAを切るには、CaS9ヌクレアーゼと言う酵素を使って思い通りの
ところ(狙った塩基配列)を切れるようになった。

ゲノム編集は、その作物の遺伝子だけを使って、新しい品種をつくる。
遺伝子組み換えは、他の生物の遺伝子を利用する(新しい設計図を入れる。)

ゲノム編集は、目的の箇所にのみ変異を入れられることができ、そのため、
リンゲージドラッグの心配がなくなる。形質とその遺伝子情報がわかって
いないと利用できない。

講演を聞いて、以下のことを考えました。
まず、遺伝子組み換えでも、遺伝子情報がわかっていないと利用できないのは、
一緒だと思います。
ゲノム編集は、他の生物(植物、動物に限らず)の遺伝子配列を使わずに、
その作物の遺伝子だけを使っているので、様々なリスクが無くなるか、軽減
されるという論理のようです。
そのあたりまでが、素人としての私の理解力の限界でしょうか。

講演からずいぶん時間が経っていますが、まだ、ゲノム編集については、
まだ1冊の本を読みかけている程度の怠慢ぶりです。
ここまでの得た知識だと、本文中にあるCaS9ヌクレアーゼは、クリスパー・
キャス9と呼ばれていて、将来のノーベル賞間違いなしの発明のようです。

しかも、人間の遺伝子も含む、ありとあらゆる遺伝子に対して、切り貼り編集が
可能らしく、運用を誤るとトンデモナイことなりそうです。もう少し勉強します。

今回の3つの講演とも、勉強になりました。
お話を聞いて、ただ感心するだけでなく、自分なりに色々と疑問を持って、
素人なりに考えたり調べたりする気持ちが起きました。

また、遺伝子解析が目的ではなくてツールとなっていて、それを土台に研究を
進めることがトレンド(?)として、研究の現場で起きていることが、
わかりました。

たぶん、発表した講師が、3人も30歳代だったので、そこからの切り口を
従来のやり方に加えて、新しい分野を切り開いて行くのでしょう。

★第83回 熈代勝覧(きだいしょうらん) ★

5日は各地で猛烈な暑さとなり、最高気温が38度を超えたところもありました。
6日も東日本を中心に広く高気圧に覆われ、気温が上昇する見込みのようです。
本日 横浜の熱中症ランクは、「原則運動中止」です。
引き続き、こまめに水分を補給する、室内では冷房を適切に使う等 熱中症に
厳重な警戒が必要です。

今回は、『熈代勝覧(きだいしょうらん)』をお届け致します。

熈代勝覧(きだいしょうらん)について

 中国の建造物のような名前ですが、レプリカが、地下鉄銀座線三越前駅の
地下道に展示されている絵巻の名前です。

その意味は(「熈代勝覧」の日本橋 小澤弘 小林忠 小学館)によると
「輝ける御代の勝れたる大江戸の景観」をとくとご覧あれと言う意味だそうです。

この絵巻は、文化2年(1805年)の江戸日本橋を描いた絵巻です。現在の
地名で言うと神田の今川橋から日本橋までの今の中央通りを描いた絵巻です。
作者は不明で、縦43.0㎝、横12m32.2cmの長大な絵巻で、地下道に展示されて
いるのは、拡大されたものです。

この絵巻は、1995年にドイツで発見されましたが、そのあたりの経緯は、
興味深い物がありますが、割愛します。
また、天の巻とあるので、通りの反対側を描いた地の巻も、同時期に描かれた
とは思いますが、存在は確認されていません。

この絵巻に描かれているのは、当時の日本橋の繁栄ぶりです。
この絵巻で一番人が混雑しているのは、日本橋の魚河岸です。築地の前は、
日本橋の小田原町に魚河岸はありました。
有名な落語の演題「芝浜」の魚河岸は、ここの分所です。

次が、越後屋三井の呉服屋です。ご存知のように、今の三越の原型に当たります。
現在の地図に当てはめて見ると、その場所は日本橋三井タワーの位置で、
三越は、その後ワンブロック分日本橋に寄ったようです。
そのため、三越は、かつては、室町2丁目で、今は、室町1丁目です。
ちなみにその西隣は、日本銀行です。

余談になりますが、三井家は、伊勢商人なのになぜ、越後屋なのか疑問に思い、
調べました。さすがに三井だけあって、商人なのに苗字帯刀を許されて、
越後守(えちごのかみ)の称号を持っていたからのようです。

なぜ、このような三越前の地下道にある絵巻の話を申し上げているかと言うと、
その中に味噌屋が、描かれているからです。
「上赤味噌大安売り」のノボリの出ている太田屋は、今の三越のある室町1丁目に
描かれています。
しかし、どのような由来のお味噌屋さんだったかは、全く調べがつきません。

この時期の文献をあたっても、名前が出て来ません。この辺りは、度々火災に
あっており、この絵巻の設定されている文化2年の翌年には、文化の大火と
呼ばれる大火事があり、芝から神田、浅草までを焼くという大きな被害が
あったようなので、もしかすると、大火事の後、店を再建できなかったのかも
しれません。

その後の文政7年に大坂の版元中川芳山堂が刊行した葛飾北斎画・大田南畝
序文の「江戸買物独案内」には、この絵巻にある88店舗のうち四分の一ほどの
店しか載っていません。
  
この大田屋も、日本橋の魚河岸と越後屋三井の間と言う、江戸一番の繁華街で、
「上赤味噌大安売り」と看板を出しているところや、屋根の上に目立つように
味噌樽を置いてあることや、店構えが当時流行し始めの黒塗り土蔵であること
からして、高価な味噌を「大安売り」しているのだろうと思います。

また、文化2年(1805年)という時期を考えると、江戸甘味噌の原型が1700年頃
に形作られてから、100年後ということになりますので、ここで売られていた
上赤味噌も、その流れを汲む味噌ではないかと想像されます。

このように、現在、江戸甘味噌と呼ばれている味噌も、時代時代で、様々な
呼び名をされていました。

日本橋の近くに行かれる機会があったら、三越前駅の地下道にある
「熈代勝覧」を少し寄り道してご覧になっては、いかがでしょうか。
駅の地下道ですので、地下鉄が動いている時間帯は、見られます。
入場料、拝観料は、掛かりません。

★第84回 ゲノム編集について ★

神奈川県内では3日夜、東部を中心に雷を伴う非常に激しい雨が降った影響で
横浜駅の中央通路が一時浸水したり、道路の冠水や床上浸水もありました。
近所の畑には落雷もあり、雨が弱まるまではとても不安な時間を過ごしました。
あらためて、ハザードマップや避難場所の確認などを再度行いました。

今回は、『ゲノム編集について』をお届け致します。

ゲノム編集について

ゲノム編集とは何か 
「DNAのメス」クリスパーの衝撃 小林雅一 講談社現代文庫

ゲノム編集を問う 作物からヒトまで 石井哲也 岩波新書

ゲノム編集の光と闇 人類の未来に何をもたらすのか 青野由利 ちくま新書

ここのところ、科学関係の話題としては、AIが関心を集めて来ました。
ご存知のように、人は、将棋や囲碁では、もうAIには勝てないでしょう。
さらに、AIとロボットを組み合わせると、相当高度なことができるでしょう。

AIは、何が出来て、何が出来ないかの線引きが見えて来て、ざっくりですが、
行き先が見えて来たような感じを受けます。
もちろん、人間のほとんどの能力は、凌駕するとは思います。囲碁や将棋で、
人がAIに勝てるようにするには、ルールを変えて、途中でサイコロを振って、
出た目の数だけ休む。とかの不確定な要素をゲームに組込む必要があります。

それに続く話題を集めているのが、ゲノム編集だと思い、さらに東京農大で
行われたお米のセミナーで登壇された3名の研究者が全てゲノム編集に触れて
いたことに感化されて、入門書をまとめて読んでみました。

3冊の入門書の題名と副題を見る限りは、なにかとんでもないことが起きそう
ですが、確かに本を読むと題名がコケ脅しではなく、マッドサイエンティスト
(最近聞かなくなった呼び名)が、この技術を手に入れたら、何をしでかすか
わからないような気になってきます。

読んでいる最中から、頭に浮かんでいたのは、鵺(ヌエ)やキマラやフランケン
シュタインの怪物の事です。色んな物の部位を組み合わせた伝説上の怪物です。
また、「アルジャーノンに花束を」という何度かドラマ化された小説を合わせて
思い出しました。

読み終わった後は、底なし沼にゆっくりと沈んでいくようなスマートな滑らかな
感じの恐怖を覚えました。

ゲノム編集がここ数年話題となったのは、魔法の道具、クリスパー・キャス9を
使えば、DNA狙ったところの切断が思いのままに、しかも簡単で安価にできる
ようになったからです。

まずは、ゲノムとは何か。DNAと同じもので、遺伝子よりは広い範囲のものを
指すようです。細胞の核とミトコンドリアの中に存在します。
細胞の核にあるゲノムは、ほぼ半分、ミトコンドリアにあるゲノムは、
母親の物が劣性優性を問わずに必ず子供に承継されることです。

ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いは、ゲノム編集は、その生物が持っている
DNAだけを使って、それを切り捨てたりする方法で、遺伝子組み換えとは、
その生物とは、全く違う生物からDNAを持って来て、その生物につなぎ合わ
せる方法です。

したがって、ゲノム編集は、自然の中で起きる突然変異と同じと評価されて
います。さらに、遺伝子ドライブというトンデモナイ技術と言うか、操作が
出来るようになっています。基本、DNAは、父親から半分と母親から半分を
受け取ります。

しかし、この技術を使えば、特定のDNAを染色体の両方にコピーしてしまう
ことが出来ます。この操作された片親を持つ子供は、もう片親がどうであれ、
全てそのDNAを持って生まれてきます。

それは、コピーの原紙だけでなくコピー機をも、次世代に渡す操作です。
多様性を無くならせ、その種のそこの部分のDNAは、画一化された子孫と
なります。

一部の学者は、マラリアを伝染させる蚊をこの操作を使って不妊化させ、
絶滅させることを計画しているようです。

この話は、読んだ3冊全てに書いてありました。不妊の蚊を作って普通の蚊と
交尾させ、蚊を絶滅させる方法ですが、遺伝子ドライブをした蚊をもの凄い
数を準備しないとうまく行かないと思います。
なぜなら、不妊の蚊は、一代限りで死んでしまうので、子孫を増やすことが
出来ないからです。

でも、さらに考えると、不妊化するのはメスだけで、オスは不妊化しなければ、
子孫が増えます。人の血を吸って病気を広めるのはメスだけなので、オスは
繁殖して良いのでしょう。

しかし、狭い研究室で行う実験だから、効率よく遺伝子ドライブの蚊が増えて
行くので、広いところで同じことをしても、うまく行くか疑問は残ります。

しかし、不妊のオスの蚊を常に補充して行けば、理論的には絶滅するとは
思います。何千匹かの蚊を一度、放ったくらいでは、そんなにうまくは
行かないと思います。

それに、ジュラ紀(一億七千万年前)から存在して居る蚊が、そう簡単に
絶滅してしまうのか。もしそうだとしたら、これまで地球の起こした天変地異
よりも、痛烈なダメージをゲノム編集は、蚊に対して与えることになります。
(余談になりますが、映画のジェラシック・パークの冒頭は、琥珀の中に閉じ
込められた蚊から、恐竜の血液を抜き取って、培養するシーンです。)

豹とライオンの合いの子のレオポンや、ライオンと虎の合いの子のライガーは、
ゲノム編集などをせずに、生まれた交雑種ですが、体に先天的な疾患がある
ことが多く、短命で繁殖は出来ないとされています。
また、クローン羊のドリーも、羊の平均寿命の半分で死んだそうです。

このように、地球上の生物体系を変えてしまうことが、簡単に出来るように
思われます。ただ、地球の歴史から見ると、人類が誕生してから多くの大型の
哺乳類や鳥類を始めとするもの凄く多くの種類の動物が、人類が原因(乱獲や
環境の変化)で絶滅しているのは、周知の事実です。

しかし、個人的な感覚で申し上げますが、蚊だの蠅だのゴキブリだのは、
人類が存在しても、人類が滅亡しても、存在し続けるような気がします。
一生懸命手入れをしている花は、ちょっとしたことで枯れてしまうのに、
名前も知らない草が、毎週除草剤を撒いても、ジャングルのように繁茂する
のと、同じような感覚です。

今回は、このくらいで、次回に続きます。

★第85回 ゲノム編集について その2 ★

週末から三連休にかけて「猛烈な台風19号」が日本列島を直撃する予報です。
9月の台風15号よりも広範囲で大荒れとなる可能性もあり、家庭でも早めの
備えを呼びかけています。
下水管からの逆流を防ぐ「水嚢」や、強風への備えを、すぐに始めたいと思い
ます。

今回は、『ゲノム編集について その2』をお届け致します。

前回に引き続き、「ゲノム編集」の話です。

魔法の道具、クリスパー・キャス9を使えば、DNAの狙ったところの切断が
思いのままに、しかも簡単で安価にできるようになったことに、端を発する
「ゲノム編集」についての当を得ているのか、的を射ていないのかわからない
トンチンカンなお話を続けさせていただきます。

「ゲノム編集」の医療への応用は、どうなのでしょうか。
いわゆる遺伝子治療ですが、大きく2つあり、一旦体の外に細胞を取り出して
ゲノム編集をして体内に戻す方法と、体内で(たとえば、受精卵)で行う方法が
あるようです。

現状の技術では、DNAの狙ったところが相当の高確率で切れると言っても、
相当のレベルであって、100%完全に出来るわけではないようです。
確率のイメージとして、100回やって1回成功したら、出来ると言うことですし、
それが10回に1回成功したら、相当なレベルで出来るという感じなのです。

遺伝子組み換えでは。何千回、何万回に1回の成功確率なので、相当の高確率なの
でしょう。
それが、10回に9回成功しても、それ以外に手段があれば、そちらを選択するし、
それ以外に選択肢がないと言われても、10回に1回失敗すると言われる手術を
受けるには、それを成功しないと命がないとでも言われない限り、私は踏み切れ
ないですね。

たとえば、ゲノム編集で髪の毛が金髪になる程度では、絶対やりません。
ただ、遺伝子が原因による病気が色々とあって、それが、遺伝子が原因なので、
生まれた時や子供の頃に発症したりするので、そのような組み合わせのゲノムは、
人道的になんとかして、編集が出来ないのだろうかと思います。

しかし、その組み合わせのゲノムが、その病気と相関関係はあっても因果関係が
あるとは言えるのでしょうか。そこをいじったことにより、別の病気が発病する
ようなことになったら、元も子もありません。

魔法の道具、クリスパー・キャス9を使って、DNAを切って、切り取られた
部分の能力を無くした場合、ノックアウトと呼ぶそうです。

DNAは、人類の場合、32億×2対の塩基の組合せで出来ています。
塩基が集まって、DNAの二重らせん構造になり、それが染色体になって、人類の
場合は23対です。

塩基の種類は、4種類しかありません。それの組合せでありとあらゆる生物を
暗号化しています。
その順番や組合せが変ると突然変異が起きることになります。
順番や組合せに変化が起きるとほとんどの生物は、基本的に死にます。

突然変異として、生き残って子孫を残せるのは、本当にほんのわずかというか、
奇跡的に少ない割合のようです。その例が、前号でお話したレオポンや、
クローン羊のドリーです。

このことを含めて、ゲノムとは、オーケストラで音楽を演奏することに近いの
ではと、思いました。様々な楽器の音階がゲノムで、それをノックアウトする
と、例えばバイオリンのミの音が出ないようにすると、楽曲によっては、その
音が楽譜に書いてなかったら問題無しだし、他の楽器の音で代用が出来たら、
音楽としては、成立します。

しかし、めったに楽譜に書いていない楽器の一つの音階が出ないようになって
いて、その音が楽譜に指定されていて、他の楽器で代用が効かないとなると、
オーケストラとしては、破綻します。そんな例えが、私が浮かんだ感触です。

今月も、取り止めのないまま、このくらいにさせていただきます。

★第86回 ゲノム編集について その3 ★

『立冬』の8日は、風が冷たく、最高気温は7日より12度以上低くなった所も
ありました。横浜では早い所で今週末からクリスマスイルミネーションが点灯
され始める所もあるようです。
寒さが増してくるこの季節、お風邪などお召しにならないようご自愛下さい。

今回は、『ゲノム編集について その3』をお届け致します。

新版 動的均衡 生命はなぜそこに宿るのか 福岡伸一 小学館新書
新版 動的均衡 生命は自由になれるのか(2)福岡伸一 小学館新書

この2冊を最初に上げた3冊に続けて読みました。内容的には、ゲノム編集と
いう一つのカテゴリーに絞ったものではなく、生物学全般に渡るものですが、
大きな視点で「生命」についてのエッセイです。

同じ著者の「生物と無生物のあいだ 講談社現代新書」を以前に読んだことが
あり、今まで大きなモヤモヤしたものが、小さくなったような気がしました。

この2冊で福岡氏が主張されているのは、生命の本質は「流れ」の中にあって、
一瞬を切り取って細かく分析しても、次の瞬間では別物になってしまうので、
木を見て森を見ずになってしまう。流れる川の水一滴を見るのではなく、
流れを見るべきである。ということでしょう。

まず、大きな流れで、生命について考えると、ビックバンで宇宙が始まって
140億年、地球が出来て46億年、原始の生命が発生したのが38±3億年前とされ
ています。それ以降、様々な障害に会いながらも、今日まで生命は絶えること
なく続いてきました。

ここで驚くのは、宇宙が出来てから地球が出来るまでに100億年かかっている
のに、地球が出来てから生命が発生するまで5~8億年しか掛かっていないこと
です。

意味通り果てし無く広い宇宙とその片隅のたった一つの惑星である地球の
表面で起きたことを比べることもないでしょうが、これは宇宙が始まってから、
105~108億年掛かって、地球では生命が発生したと考えた方が良いと思います。

鉄より元素記号の大きな元素は、超新星爆発によって作られたとされています。
全てのお膳立てが整ってから、5~8億年で生命が発生したということでしょう。

ここでも話が本題から逸れて益々取り止めが無くなりますので、その100億年の
歴史を持つ生命に対して、スタートしたのが10万年だか20万年だかそれすらも
分からないようなホモ・サピエンスが、あれこれ加工をしても、結果はたかが
知れているように思えました。

一言で「生命の神秘」として括れってしまえば、その通りですが、一歩ずつ
でも真理に近づく努力は、行うべきだと思います。

ガンについても、突然変異 = 進化と関わりがあるので、大きなところでの
解決は無理という考えも、よくわかりました。
しかし、エイズも直りはしないが、それが原因で死ぬ人がとても少なくなった
のも、多くの人たちの月並みな言い方ですが、多くの人の血の滲むような
研究の成果だと思います。

このような小さな成功体験を積み重ねて行けば、完全には無理かもしれませんが
一歩前進の成果が上げられると思います。

最初の3冊に加えて、福岡氏の著書を読んで思ったことは、以下のとおりです。
人のゲノムは、もの凄い長文の暗号文で、暗号文として全体はやっと見えて来た。
その解読については、始まったばかりで、試行錯誤を重ねている段階であり、
解読のツールの一つとして、クリスパーキャス9が発明された。

それを使って解読作業が始まった。このツールは、これまでのツールに比べたら
画期的だが暗号解読について、どこまで出来るかは、わからない。

さらに、この暗号文は、膨大な情報を持っていることに加えて、どの順番でその
情報が出てくるのかがわからない。1冊の本を順番に読むのではなくトランプの
マークと同じ4種類の組合せしかありませんが、その数は32億個の組合せであり
それが部分部分で意味を持っている以外に、ここの幾つかの並びと他の幾つかの
並びが組み合わせて、別の意味を持つ。

ポーカーの役のように、ワンペア、スリーカード、フラッシュ等の決まり
きった役ではなく思いもよらない役を発動することも見破らなければならない。

先月のゲノムの説明では、オーケストラの楽器の1音に例えましたが、
少し理解を深めていくとそれよりもより複雑であることが、わかりました。
組合せによって、1音ではなく、メロディをも表現するイメージでしょうか。
と言うとんでもない複雑さを持っていることが、わかりました。

それでも、遺伝が原因の病気が、クリスパーキャス9が発明されたおかげで、
少しでも治療法が見つかることが、あれば良いと念じています。

福岡氏の本では、ゲノムについての理解が深まったことも、収穫でしたが、
本のテーマはそれだけではなく、生命そのものに対する考察です。
それは、また、来月にお話します。

★第87回 ゲノム編集について その4 ★

師走となりますと、何かと慌ただしい年の瀬でございます。
とうとう今年もカレンダーが最後の一枚となってしまいました。
明日7日 関東の気温は最高でも5℃前後で、予想よりも低くなれば、平野部
でも、みぞれや雪になる可能性はあるそうです。万全な寒さ対策が必要です。

今回は、『ゲノム編集について その4』をお届け致します。

ここ一連のメルマガは、ゲノム編集について、話が始まりましたが、それの
解説書を読んで、さらに興味が大きな分野に拡散して、以下の本の感想へと
進んできました。

新版 動的均衡 生命はなぜそこに宿るのか 福岡伸一 小学館新書
新版 動的均衡 生命は自由になれるのか(2)福岡伸一 小学館新書

この本のテーマは、生命の本質は「流れ」の中にあって、一瞬を切り取って
細かく分析しても、次の瞬間では別物になってしまう。
流れている水は、常に新しい水で同じ水は二度とない。
という考えだと思いました。

さらに、生命に対して、エントロピー増大の原則に逆らう行為をし続けるもの
だと、表現しています。それも、坂道を上る輪の図を使っての説明があり、
エントロピー増大に対する理解も深まりました。

今までの、エントロピーに対する私の理解は、沸騰したお湯は、置いておくと
ドンドン冷めていく。置いておいただけでは、再び沸騰することは無い。とか
1枚のビスケットがドンドン割れて行き、最後は粉々になってしまう。
なにをどうしても1枚のビスケットに戻ることは無い。さらに、宇宙は、
ドンドン広がって行き、なにもなくなってしまう。という理解でした。

福岡氏は、それを重力(坂を下る)というわかりやすい図にして説明しています。

この本を読んで、私が生命についてイメージしたのは、底に穴の開いたボートを
漕いで進むイメージです。オールを漕げば、排水も同時にされて、前にも進む。
漕ぐのをやめるとボートは、沈んでしまう。

また、地球温暖化と二酸化炭素の関係についても、因果関係、相関関係について
科学者らしい論理的な筋の通った意見を言われています。地球温暖化については
これだけ猛暑が続くとなにか手が無いかと思います。

これだけ台風の被害が大きくなるのも、気温上昇が原因だと思います。
ただ、二酸化炭素の削減が、その解答なのでしょうか。
さらに、化石燃料の消費削減がその解答なのでしょうか。
その根本的なところまで、考えるようになりました。

この本を読んで初めて知ったのですが、二酸化炭素は大気の0.037%しかない
ようです。それが、ここまでの温室効果をもたらすのでしょうか。たしかに、
空気中の二酸化炭素濃度上昇と気温上昇は、相関関係にはあると思います。
しかし、因果関係は、あるのでしょうか。

気温をエネルギーに変える装置が発明されれば、一石二鳥なのでしょうが、
それこそエントロピー増大の原則に逆らうことですから、不可能なことなの
でしょう。
原子力発電は、二酸化炭素の排出ゼロなのでしょうが、デリケートな話なので
もう少し勉強してから、発言します。

それでもなければ、光合成を行うプレートを発明してソーラー発電と組み合わ
せて、二酸化炭素を減らすようにするとか、イノベーションでの解決を進める
ことが、わかりやすい進み方だと思います。日本のような小さな国で、しかも
人口が減少していく国では、縮むという発想に傾きがちですが、世界の人口は
これからも増加していくことは、間違いないので、技術革新によって乗り切る
ことを考えるべきだと思います。

4回にも渡って、取り止めの無い事を書き連ねました。本の内容の紹介と言う
よりは、それに対して、どう空想したかを書いてしまいました。
それも、味噌とは関係ないところで。

次回からは、味噌に関することを書いて参りますので、よろしくご容赦下さい。

★第88回 江戸甘味噌の流れについて ★

皆様、新年あけましておめでとうございます。
昨年は、ご愛読いただきましてありがとうございました。
今年も、メルマガにお付き合い下さい。

さて、ここ数年を掛けて、一般社団法人東京味噌会館で取り組んできた
「江戸甘味噌の本」が何回目かの佳境を迎えました。
編集委員の一人として、今年こそは、出版に漕ぎつけたいと考えております。

過去に何度となく申し上げたことですが、現在「江戸甘味噌」と呼ばれている
赤色の甘味噌は、1650年あたりから1700年頃にかけて、発明された味噌です。
(このことすら、江戸甘味噌の本を制作しようと資料を集めて、初めて確証が
持てたことです。)

その当時の名称(どんな名前の味噌なのか)は、よくわかっておりません。
赤い色をした甘い(塩分の少ない)味噌が、文献に出てきたら、製法や配合、
地域的な要素を基準に、これは、江戸甘味噌につながる系統に属する味噌で
あると総合的に判断することになります。

たとえば、昨年、このメルマガにも書きました「熈代照覧」に描かれている
大田屋の「上赤味噌」は、製法や配合がわかりませんが、時代的、地域的に
考えて、江戸甘味噌に関連があるのではないかと思い、ご紹介しました。

そこで今回も、江戸甘味噌の歴史に少しでも関連のあるエピソードを申し
上げたいと、思います。

江戸中期から後期にかけて、太田南畝(おおた なんぽ)(1749年~1823年)と
言う文人がいました。
別名を蜀山人(しょくさんじん)、四方赤良(よものあから)とする幕府の
御家人でした。

蜀山人は、本人が大坂の銅座の役人として勤めていたところから、中国で
銅山を「蜀山」と呼んでいたことから、蜀山人と名乗ったとされています。
三国志の魏呉蜀の「蜀」のイメージだと思います。

もう一つの別名の四方赤良ですが、始終酔っぱらって赤い顔をしている、
赤ら顔をしているということが名前の由来ともされていますが、さらに
調べてみますと、別の由来が出て来ます。

それは、神田の和泉町(JR秋葉原駅の少し南のあたりです。)に
四方九兵衛商店(よも きゅうべえ)と言う有名な酒と味噌を売る店があり、
その通称が四方で、そこの赤味噌が良いとする由来です。
これは、「四方の赤」として広辞苑に書いてあります。

四方の味噌については、興津要 著の「江戸食べもの誌」に「笑長者」と
いう章があり、そこには、以下のように書かれています。
なお、「笑長者」は、1780年に刊行され、その当時の小噺を集めた読み物です。

味噌
「角力や、そのほか、ちからわざなど弱い者を味噌といひ、
また、強くて自慢するをも味噌といふ。あれは、どふいふ理屈であらふ」
「あれか、あれは、わけある事さ」
「どうしたわけだ」
「まづ味噌にも、だんだんあるのさ」
「そのだんだんのわけは」
「まづ弱いやつは、あれは田舎の玉味噌(味噌をまるめて乾燥させたもの)さ」
「そして、強いやつは」
「強いのは、四方の上白(四方発売の良質の赤味噌)さ」

興津要氏は、「四方の上白」を四方発売の良質の赤味噌と注釈しています。
興津要氏も鬼籍に入られているので、上白が、なぜ赤味噌なのか。
ご本人に確認しようがありませんし、ついでながら、古典落語の大家に、
この小噺のどこが面白いのかも、尋ねたいところです。
さらに、「田舎の玉味噌」対して、「味噌をまるめて乾燥させたもの」という
注釈を付けられていますが、これは、多分、みそ玉という味噌の作り方だと
思います。

その方法は、煮た大豆を搗いて、15~20cmのボール状に丸めて、みそ玉にして、
軒下にぶら下げて、そこに色々な微生物が付いたら、みそ玉を塩水に溶かして
仕込む味噌のことです。

それはともかくとして、なぜ赤味噌が上白とされたかは、その当時、味噌屋は
米の精米業をしていたので、精米度合いの高い米を上白と呼んでおり、
その米を使った味噌を上白と名付けていたのだと思います。

このようにコジツケとは言いませんが、様々な角度からの解釈をすることに
よって、なんとか江戸甘味噌への流れが、見えてくるのだと思います。

今年も、よろしくお願い致します。

★第89回 江戸時代の塩の成分について ★

毎年この時期になりますと「インフルエンザ」の流行時期ではありますが、
今年は更に「新型コロナウィルス対策」も、かなり重要になってきています。
咳エチケットや手洗い、うがい、アルコール消毒など、これまで以上に
感染症対策に努めたいと思います。

今回は、『江戸時代の塩の成分について』をお届け致します。

江戸時代の幾つかの文献には、味噌の配合が書かれています。
その単位は、一部には、貫(重量)での表示もありますが、ほとんどが斗や
升の容積での表記です。
しかし、現在では、配合は、kgやg(重量)での表記であり計算となっています。

そのため、現在の配合と比較するためには、江戸時代の表記を容積から重量に
変換して、味噌の麹歩合や塩分を計算する必要があります。そうしないと、
現在の配合と直接比較が出来なくなります。

たとえば、大豆10kgに対して米10kgであったら10歩麹ですが、大豆1升に対して
米1升であったら、これは10歩麹ではありません。大豆と米は、1升あたりの
重量が違うからです。(米の1升は、1.5kg。大豆の1升は、1.35kgです。)

大豆や米の容積→重量の換算は、現在あるものと江戸時代のものが、殆ど
変わっていないので、現在の物を測定することにより、換算の係数を定めました。

また、麹は、菌種によって、容積→重量の換算が難しい。(長毛菌では重量が
軽く、短毛菌では重量が大きくなることと、麹の水分含有量により重量が変動
すること)
しかし、乳熊屋算用目録に容積→容積の換算係数(麹は、米の容積の1.4倍)が
あるので、それを援用することと、その換算の裏付けとして、実測値との比較を
して、数値の担保としています。(麹1升は、米1.5kg ÷ 1.4 = 1.07kg。)

弊社の実測値では、1.25kgですが、短毛菌であり、且つ、乾燥していること考慮
して、1.1kgが妥当な数値ではないかと、考えます。

以上のことから、味噌の原料の大豆、米および麹については、容積→重量の
換算は、可能となりました。

塩については、その水分含有量と塩化ナトリウムの成分率によって、
容積→重量の換算は、大きく数字が変ってきます。
そのことで、麹歩合については影響を受けませんが、味噌の塩分については、
大きく影響を受け、数値が上下することになります。

江戸時代の塩の成分について、色々と文献を当たって見ましたが、製塩方法や
各地の生産量にについて書かれている文献は、見つけることが出来ましたが、
化学的な分析値が明記されている文献は見つけることが出来ませんでした。

江戸時代の塩に関する文献(「近世日本の塩」廣山堯道・編著)によると、
北陸の一部地域を除いて、ほとんどの地域が瀬戸内の9ヵ国(播磨・備前・
備後・安芸・周防・長門・伊予・讃岐・阿波)で生産された塩で需要を
満たしていたようです。

また、別の文献では、9ヵ国に備中を加えて、「十州塩田」と呼ばれていた
との記述もあります。

瀬戸内海沿岸の製塩方法は、17世紀の初頭に入浜式塩田による製塩方法が
発明されてから、その製塩方法は、昭和27年に流下式塩田に切り替わるまで
続きました。その間は、塩の製造方法は、変わっていません。

そこで、原料(海水)と製法が同じなら、時代に関係なく、同じものが
出来るのではないか。入浜式塩田で作られた塩の成分は、いつの時代でも
同じであろう。と言う考えを持ちました。

今月は、ここまでにさせていただきます。
来月は、今月申し上げた考えを少し掘り下げます。

★第90回 江戸時代の塩の成分について その2 ★

先月から続く新型コロナウィルスの感染拡大防止を目的に、横浜市で実施している
小中学校・高校の一斉臨時休校が3月24日まで延長されました。
児童・生徒のみでの卒業式を行うところも多く、近所にはショックを受けている
お子さんも少なくない様でした。一日も早い終息を願うばかりです。

今回は、『江戸時代の塩の成分について その2』をお届け致します。

先月に引き続き、塩の成分についての推測です。

色々と検索をした結果、食塩の成分についての記載のある文献の一番古い文献は、
『大日本塩業全書』のようです。
この書物は、公益財団法人塩事業センターによって、電子化されていました。
以下は、塩事業センターのHPからの『大日本塩業全書』の解説の一部の引用です。

『大日本塩業全書』は、4編8冊によって構成されている。第一編は大蔵省主税局が
明治39年(1906)12月、第二編以降は専売局が明治40年12月(第二編)、明治41年
12月(第三編)、そして大正4年(1915)8月(第四編)に編集・刊行している。
編集期間中、国内に存在したほぼ全ての塩田について、全国の塩務局に所在する
本局や出張所が管轄ごとに提出したものをまとめたものである。

塩専売法は明治38年1月に制定され、6月より実施された。塩専売事業は大蔵省
主税局のもと同年3月には塩の製造・収納・売渡・輸出入・取締といった塩専売
事務を担うことを目的とした地方機関として塩務局を設置した。

緒言に「従来から我が国の農工業に関する書物や記録は多く残されているが、
塩業に関する記録書は皆無に近い」ということから作成されたとするが、専売制
という管理の下、調査報告が進められている。
全国を網羅して作成されている点に一産業史の全貌を把握できる極めて重要な
意義を見出すことができるだろう。

落合 功(青山学院大学経済学部教授、日本塩業研究会代表)

以上のように、大蔵省主税局(現在の財務省)の資料であり、資料としての
信頼性は、高いと思われます。

まず、江戸時代中期の江戸で使用されていた塩は、瀬戸内海の入浜式塩田で
作られた塩であることという一つ目の史実と、入浜式塩田は、昭和27年に流下式
塩田に切り替わるまで、続いたという二つ目の史実があります。
そこに、製法が同じなら、同じような品質の製品が出来るのではないかという
考えに基づき、導きだした推論が、江戸時代中期より昭和の初期まで、
塩の成分は、変わっていなかったのではないか。と言うことです。

一つ目の史実の裏付けとしては、先月上げた「近世日本の塩」廣山堯道・編著に
加えて、乳熊屋算用目録の嘉永3年(1850年)と安政5年(1858年)には、
赤穂塩として、明記してあることからも、瀬戸内海の塩を味噌製造に使っていた
ことは、ほぼ間違いないと思います。

したがって、赤穂を中心に瀬戸内海で製造された塩の成分を調べれば、江戸時代に
味噌の原料として使われていた塩の成分が、わかると言うことです。

とりあえず、区切りの良いところで、今月は、このくらいにさせていただきます。

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