メールマガジン No121~130
★第121回 無添加味噌の作り方 ★
昨日から降り続く冷たい雨で、関東では12月上旬並みの気温になりました。
今朝は、この寒さに耐えられず「暖房」をつけてしまったほどです。
連休明けには、気温が平年より高くなる所もあるようで、東京や大阪でも27℃
予報の出ている日があります。寒暖差で体調を崩さないようお気をつけ下さい。
今回は、『無添加味噌の作り方』をお届けします。
先月、無添加味噌の作り方の話をしますと予告して、あらかた、文章を書いて
チェックをしたら、2018年に同じような話を3回に渡って書いていました。
その当時と無添加味噌の作り方は、変化は無いようですが、それに対する社会
環境は、変わってきました。
そのニュアンスがお伝え出来れば、良いと思い、前回と重複する部分も残して
書きあげました。そのため、毎月のメルマガに比べて、若干、量が多いのは、
ご容赦下さい。
無添加だったら、何もしないで、そのままで良いのでは、と考えるかもしれま
せんが、これから、無添加味噌の作るためには、どのような方法があるのかを
申し上げます。
生味噌にアルコールを添加しない製法で、無添加味噌にする場合の条件は、
2つあります。
一つは、粒味噌のまま、充填することと、もう一つは、特殊な容器に充填する
ことです。
まず、なぜ、粒味噌のまま、充填するかと言うと、味噌は、混合撹拌すると
発酵熟成が終了した味噌でも、再発酵する可能性が高い性質を持っていること
に依ります。
従って、漉し味噌は、粒味噌に比べて粘度が高いので、再発酵によって発生し
た炭酸ガスが抜けにくくなり漉し味噌全体が膨らんでしまう現象が起きます。
続いて、特殊な容器ですが、これは、バルブ付きの容器(カップが大部分)
です。再発酵で出て来た炭酸ガスを容器の外へ逃がすバルブ付きです。
もちろん容器の外からの気体は、容器に入って来ないようにするバルブです。
カップに充填した味噌の上には、パーチメントと呼ばれる紙が敷いてあり、
その上に脱酸素剤が置いてあり、脱酸素剤がパーチメントにより直接味噌に
触れないようになっています。
さらに、直接バルブにも味噌が触れずにバルブが塞がりません。また、味噌が
膨れて上がって行っても、余裕があるようにカップの高さを通常のカップより
高くして、ヘッドスペースを稼ぎます。
この方法の欠点は、カップに充填されている味噌が、漉し味噌の場合は、味噌
全体が膨らんで、パーチメントを押し上げ、パーチメントがバルブをふさいで
しまいます。
そうなると、カップの中の炭酸ガスを外に抜け無くなって、容器がパンパンに
なってしまいます。
そのために、上記の2つの条件を満たす必要が、あります。
費用的なお話をすると、バルブ付きのトップシールと、通常より丈の高い
カップとそれに合わせた段ボール箱が必要になります。
添加するアルコールの費用は、無くなります。
この他の方法としては、味噌が再発酵しにくい条件である低温にする方法が
あります。
天然醸造の表示は、味噌の場合は条件を満たせば、可能です。その条件は、
味噌を加温しないことです。
冷却は、条件に入っていないので、工場を出たときから、チルドで流通をする
必要があります。
鶏卵ですら、常温流通で販売店まで、物流されます。古来から保存食品で
あった味噌が、冷蔵流通することが、地球にやさしいこと(SDG’s)なのかは
各々の判断に任せることです。
ただ、酵母の働きを抑えることを目的とするならば、酵母は微生物なので加熱
殺菌という方法があります。大体80℃くらいまで味噌を加熱すれば、酵母が
死滅し、さらに酵素も失活します。味噌を加熱殺菌することによって、密閉
容器に充填することが可能になります。
しかし、酵母も死滅して、酵素も失活した味噌を無添加味噌として表示する
ことは可能ですが、なにかスッキリきません。
もちろん、加熱をしているので、生味噌とは、表示できません。味噌を加熱
冷却する方法は、だし入り味噌に向けて開発された製法です。
だし入り味噌のだしは、酵母の栄養となるアミノ酸等が使われるので、酵母が
生きている場合だと、だしが酵母に食べられる(分解吸収される)ために、
その予防でだしをコーティングしています。
しかし、酵母を殺菌した、酵素を失活した味噌では、そのままだしを入れても
酵母と酵素が居ないので、だしが分解されずに味噌の中に残ります。もちろん
コーティングしているだしとしていないだしでは、価格が何倍も違います。
ちなみに、コーティングは、熱によって溶けますので、味噌汁にしたときには
だしの味が出て来ます。
メーカーによっては、だし入り味噌と無添加味噌が同じ行程で造られて、最後
に、だしを入れるか入れないかの違いになります。
業界団体へは、一部の方からは、無添加という表現を強調することが、正しい
ことなのかと言う意見も、寄せられているようです。
この後、もう少しこの話題については掘り下げますので、今月はこのくらいで
失礼します。
★第122回 無添加味噌の作り方 その2 ★
本日11月7日から「立冬」に入り、暦の上では本日より【冬】になります。
街では、年賀状販売開始のお知らせを目にし、今年一年も残り少ないことを
実感しました。
12月に「大掃除」で慌てないように、毎週末に簡単な所から、コツコツ掃除を
始めていこうと思います。
今回は、『無添加味噌の作り方 その2』をお届けします。
まず、先月の話の繰り返しになりますが、無添加=入っていない
入っていないことが、より優良であると示すと言うことになるのかと言う
疑問があります。
化学調味料無添加という表示のある商品や、保存料・着色料無添加の表示が
ある商品もあります。ジャンルを限定して表示しているのは、それ以外の
ジャンルでは、添加しているように思えます。
味噌の場合の無添加は、※別表1に記載されている添加物が、入って無いと
いうことです。味噌の場合、食品添加物は、エチルアルコールのみです。
※公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 指定添加物リスト
(規則別表第1)
これまで、添加物についての幾つかの書物を読んできました。それは、
最初は、「敵を知る」的な気持でもありました。
しかし、公的機関で添加物に関する基準に関わっている立場の方※の書いた
本を読んでみると、今までざっくりイメージしていたことが、データと事実で
方向転換を図らざるを得ないような感じになってきます。
※畝山 智香子氏 国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長。
もちろん、反論の余地はありますが、データと事実と言う土俵の上では、
説得されてしまいます。反論としては、なんとなく身体に悪いのではないかと
感じるものは、往々に身体に悪いことが、多い。と言う薄い経験則です。
もう一つは、添加物の中の化学合成された保存料や殺菌剤など(これも、
イメージとか妄想の世界の物質かもしれず、薬品を特定して、個々に安全性に
ついて、議論を進めることが、正しいことであることは、充分わかっている
ことです。)を10年20年ではなく、50年以上に渡って、微量とはいえ継続的に
摂取した場合の安全性(体内に累積された場合の危険性)については、誰も
わからない。と言う証明の出来ない懸念です。
ただ、添加物の毒性検査の方法を畝山氏の著作で読む限りは、体内に累積され
るとは、思えない。(体調が悪いと感じた量の100分の1の量)それに、薬品的
化学的食品添加物(ざっくりで申し訳ありません)が、使用されるようになっ
てからの方が、平均寿命が明らかに伸びている。
二つ目の疑念については、ワクチン接種と同じ考え方で、乗り越えるしかない
でしょう。副作用は、あるけれども、打たないことの方が、問題が圧倒的に
大きくなる。添加物を使うことにより、食品が明らかに毒性を持ち、沢山の
人の命を危険に晒すことより、あるかどうかわからない積年使用のリスクの
方を選択する。
どっちでも、リスクはあるので、少ない方のリスクを選ぶべきである。
それに、添加物のリスクは、ほとんどゼロに近い。と言うか、わかるような
リスクが、有れば、添加物として認められない。
したがって、添加物に関する問題は、気持ちの問題と長期的な使用に関する
問題に限定されることになり、長期的な使用に関する問題については、問題が
あるとは考えにくいです。
だから、残るは、気持ちの問題です。こればかり、なにをどうしても、どうし
ようもありません。
ただ、味噌に限って言えば、添加物は、酒精(エチルアルコール)なので、
聞いたことも無いような化合物とは訳が違うし、アルコールは加熱すれば80℃
で蒸発するので、身体に摂取される量も限られているし、長期的な使用に関す
る問題は、添加物の問題ではなく、もっと大きな社会的な問題(飲酒)として
存在しているために、影響はほとんどないと言えます。
さらに、気持ちの問題ですが、これも、味噌に入っているエチルアルコールに
ついては、飲酒問題に比べて、心理的影響が極めて少ないと考えます。
以上のことから、無添加味噌とその他の味噌の違いが、エチルアルコールの
有無しかないとしたら、「無添加」と言う耳触りの良さを得るためだけに、
トレードオフになるものが、大きいと思います。
今回のお話も、結局、以前にした無添加味噌のお話と結論が、同じとなって
しまいました。しかし、SDG’sに代表されるように、余計なエネルギーを使い
過ぎない、二酸化炭素の排出を出来るだけ減らそうと言う社会に向かう方向性
の中では、以前にも増して、無添加味噌を現状の流通形態に載せることは、
無理のあることだと思います。
★第123回 塩慣れについて ★
今朝は各地で冷え込んだ朝を迎え、東京では気温が3.6℃まで下がりました。
今季一番の冷え込みを更新し、前橋地方気象台からは、赤城山の初冠雪の便り
が届きました。向こう一週間は、師走らしい寒さの日が多くなりそうです。
今回は、『塩慣れについて』をお届けします。
味噌業界では、発酵の充分でない味噌の評価基準の一つとして、「塩慣れして
いない。」「塩角(しおかど)がある。」と言う表現を使います。
味覚的なイメージとしたら、味噌を嘗めた時に、舌の上で塩味がピリピリする
ような感じです。
今回の話は、第13回みそソムリエ講座にて、「みその原料」と「みその仕込」
について担当し、付け焼刃で講義の内容を見直す機会があり、改めて、みその
熟成について考えた際に思いついた話題です。
なぜ、未熟成の味噌は、塩慣れしていなくて、熟成した味噌は、塩慣れして
いるのかの根拠を考えましたので、以下に申し上げます。
まず、味噌を嘗めた時に刺激的な塩味が来る原因は、単純に塩分が強いから
です。
もちろん、発酵熟成をして居ようが、居まいが、味噌の中の食塩重量は、
変わりません。
時間が経つにつれて、多少、水分が蒸発するので、塩分は、ほんの少しですが
上がります。全体としての塩分は、シンプルに食塩重量/総重量です。
しかし、仕込んで直ぐの米味噌は、砕かれた蒸煮大豆と米麹の表面に食塩が
まぶしてある状態にあります。蒸煮大豆と米麹は、当然ながら、塩分ゼロです。
仕込んで直ぐの状態での水分については、蒸煮大豆は、60%~70%です。
ちなみに、乾燥大豆は、水分15%程度です。米麹は、水分24~28%、食塩の
水分は、ほぼゼロです。
ここで、少し横道に逸れます。水分活性と言う基準というか、評価の方法が
あります。ゼロから1で表されていて、数値がゼロに近いほど、微生物が繁殖
しにくいとされています。水分活性の内容は、どれだけの水が、自由に活動
できるかです。
ざっくり説明すると、飽和食塩水は、水分活性ゼロです。それが、砂糖水でも
飽和して居れば、ゼロです。微生物が活動するために必要な水が全く無いので
微生物が、繁殖しにくい。
しかし、それが薄くなって行くと、水分活性が高くなってきて、微生物が増殖
します。
味噌の水分活性は0.7なので、微生物が比較的繁殖・活動しにくいと言えます。
ここで、味噌を仕込んで直ぐの水分活性を考えて見ると、蒸煮大豆の水分も、
米麹の水分も、それぞれの細胞に取り込まれている水分です。それは、何かと
結合している水なので、水分活性は低くなります。従って、仕込み直後味噌の
うちで、水分活性の高いところは、種水くらいです。
もちろん、種水にも食塩が溶けていますが、飽和するほどは溶けていないので
そこの差引の部分になります。
しかし、発酵熟成が進むに従って、酵素分解によって、水が作られて行きます。
その水には、ざっくりとした説明ですが、エキス分が溶けています。
次に、表面にまぶされていた食塩が溶けます。辛口味噌で仕込んだ場合、食塩
の量は、全体の12%なので、5㎏の味噌を仕込むと600gの食塩があります。
飽和食塩水の塩分パーセントは、約26%なので、全部溶けるのに2リットル以上
の水が必要となります。したがって、仕込み直後の味噌は、塩分のほとんどが、
完全に水に溶けていない状態になっています。
その後、米麹や蒸煮大豆が酵素分解されて、水分が増えて、その増えた水分に
食塩が溶ける。さらに、浸透膜作用で蒸煮大豆や米麹の破片に塩分が浸透して
徐々に味噌全体に塩分が行き渡ることになります。
さらに、酵素分解も進んで行き、大豆も麹も溶けて行きます。
少し話は逸れますが、岩塩は、塩味がまろやかだと言われています。
その理由は、二つあります。一つは、塩化ナトリウム以外のミネラル分が多く
含まれているために、単純に食塩分が少ないこと。
もう一つは、結晶が大きいために溶けるスピードが遅くなるので、ゆっくり
塩分を感じることになるためです。
発酵熟成が進むに従って、味噌全体が均一の水分となります。それに伴って、
塩分も均一になります。
どの部分を味見しても、同じ12%程度の塩分となります。
全体の水分としては、45~48%となります。
この時点で、塩慣れが完成したことになります。
★第124回 味噌の仕込みについて ★
皆様、新年あけましておめでとうございます。
昨年は、ご愛読いただきましてありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
今回は、『味噌の仕込みについて』をお届けします。
先月のメルマガで、第13回みそソムリエ講座で、「みその原料」と「みその
仕込み」の講座を担当したことを申し上げました。
今回は、フルリモートの講座にてオンラインで事前に録画をした講義を見て
もらい、テキストと共に勉強して、オンライン試験に臨んでもらうシステム
で講座を行いました。
録画した講座とテキストを合わせると理解が出来るように、内容を工夫した
つもりですが、幾つか齟齬が出てしまい、質問を頂くことになりました。
数名の方にいただいた質問は、「大豆を細かく擂り潰し過ぎると、発酵が
遅れる傾向が見られる。」とテキストに書いたことについてです。
まず、なぜ、蒸煮大豆を潰すかと言うと、大豆を小さく潰すことによって、
大豆の組織を露出させて、表面積を拡大して、酵素や微生物の作用を受け
やすくするためです。
ここまでは、テキストに書いてありますし、納得できる説明です。
しかし、そのあとの文章で、大豆を細かく潰し過ぎると、発酵が遅れること
になると、理由もなく、ただ書いてあることに理解しがたいのも、納得でき
ることです。説明不足でした。
本来なら、録画の講座でその説明するか、テキストにその理由を書いておく
べきでした。
なぜ、大豆を細かく潰し過ぎると発酵が遅くなるのかと言う疑問の答えは、
大豆を細かくし過ぎると、たとえば、フードプロセッサーを使ってペースト
状にまでしてしまうと、粘りが出てしまい、却って大豆と塩切麹が混ざり
にくくなってしまうからです。
また、大豆を潰す理由も追加すると、米麹を混ざりやすい大きさにすること
です。米麹と蒸煮大豆の大きさを比べると、大豆の方が圧倒的に大きいです。
大豆を潰すことによって、米麹と同じくらいの大きさにすることによって、
混ざりやすくすることも、大豆を潰す理由の一つに挙げられます。
このことも書いておかないと、大豆の組織を露出させるだの、表面積を大き
くするだのを言う前に、大豆、麹、食塩が、均等に混ざっていることが、
味噌を良く発酵させる第一条件であることを説明する必要があります。
また、手作り味噌の混合の順番も、まず、塩切麹を作り(米麹と食塩は、サ
イズは全く違いますが、量の比率からも、米麹の表面に食塩がコーティング
されるくらいの混合状態です。)、続いて、潰した大豆と塩切麹を混ぜて、
さらに、そこに種水や種味噌を入れて混ぜる。と言う、3段階にわたる混合
を行います。
目的は、大豆と麹と食塩が、どこの部分でも均一に入っていることです。
手段は、混合を何回か、重ねることです。
この混合の際には、潰した大豆と塩切麹を混ぜるときは、練らないように
混ぜて、そこに種水や種味噌を入れて混ぜるときは、練るように混ぜると
説明をしています。この説明も、質問が多い説明です。
その解説をすると、潰した大豆と塩切麹を混ぜるときに練るように混ぜると
部分的には混ざっているが、全体を見ると大豆の多いところと塩切麹の多い
ところが出て来てしまうことになるからです。
練るように混ぜるとその時点で粘るために、大豆や麹の移動可能距離が
少なくなってしまうので、部分的には混ざっていても、全体的にはムラが
ある混ざり方になるからです。
練らずに比較的パラパラな状態で混ぜていれば、大豆や麹の多少の塊りは、
あっても全体的に同じ割合で大豆と麹が混ざっていることになります。
続いて、その状態に、種水や種味噌を混ぜると、水分が多くなり、パラパラ
と言う感じでは混ぜられなくなるし、大豆や麹の塊りを崩すように混ぜる
ことが、練ると言う表現になります。
順番としては、大豆と塩切麹をパラパラと混ぜて、全体的に割合が同じよう
にして、次に種水と種味噌を混ぜて、練るように混ぜて、部分的にも均一に
なるようにする。
さらに、仕込み後、発酵が進んでタマリが上がって来たときも、切り返しを
しますが、これにより、さらに混合が促進されます。
以前にも申し上げたと思いますが、手作り味噌教室でお話しする、おいしい
味噌を造るための五つの条件を順に、
①良い大豆が、ふっくらと炊き上がっていること
②麹が良く出来ていること
③全ての原料が、正確に計量されていること
④大豆、麹、食塩が、均一に混ざっていること
⑤発酵熟成が、良い環境で行われること と説明しています。
これは、経験に基づくものです。条件④にあるように、均一な混合が出来て
いれば、安定した発酵につながります。弊社で使っている混合機は、二つの
羽根が上下で逆に回っている仕組みです。これによって、練れずに素早く
全ての原料が均一に混合されるようになっています。
混合について、一言で言えば「大豆と麹と塩を均一に混ぜる。」となります
が、具体的に考えると、沢山の説明が必要となることに今回気付きました。
★第125回 酵素について ★
本日 2月3日は「節分」です。昨年2月のメルマガも、節分の3日に配信させて
いただいておりました。昨年は、勤務後に「恵方巻き」を購入しようと思い、
スーパーを3軒回りましたが、どこの店舗も売り切れてしまっておりました。
今年は購入をあきらめ、「恵方巻き」を自宅で作る事にいたしました。
何年かぶり(?)に、巻き簾の出番です。
今回は、『酵素について』をお届け致します。
味噌の発酵は、大きく二つに分けられます。麹菌の作った、酵素による分解
作用と、乳酸菌や酵母などの微生物の分解作用や結合作用です。
どちらも、酵素の作用によるものです。
と言うのも、前半の麹菌の作った酵素によると言うのは、麹菌自体は、
死滅していますが、麹菌が自らのために作った(例えば、麹菌はデンプンを
そのまま吸収できないので、分解してブドウ糖にして吸収するために、酵素
を使う。)麹菌が作った酵素が、物質として残って、その後もデンプンや
タンパク質を分解し続ける作用であり、後半は、乳酸菌や酵母が自ら吸収
するために、自ら作り出した酵素を利用することと、呼吸によって、二酸化
炭素と水をつくり出すことです。
(光合成の逆の作用。光合成は、水と二酸化炭素を日光のエネルギーで、
酸素とブドウ糖を作る働きです。)
酵素は、ほぼ触媒と同じ働きをします。と解説書に書いてありますが、私は
触媒より先に酵素に出会ったので、その説明は、スルーしました。
また、仕事柄、酵素の知識は必要ですが、触媒については、ほぼ出くわさな
いので、酵素関係の本を読むたびに、触媒の話が出て来るので、世の中では
触媒の方がポピュラーな現象なのだと、不思議に思っています。
それとも、あるあるなのでしょうか。
酵素と同じ働きをRNA(遺伝子関係で目にします。)も、出来るようです。
酵素はタンパク質で、RNAは核酸(塩基がリン酸と糖でつながっているもの)
なので、それが同じような働きをするとは、不思議な気がします。
ただ、この発見者は、ノーベル化学賞を受賞したので、大切な発見と評価
されたのでしょう。素人考えでは、分子が、ものすごくたくさんつながると
特別なことが出来るようになると言う感想になりますが、このような考えは
短絡的な考えであり、誤解や都市伝説の素になります。
この話に関連して話は飛びますが、地球最初の生物は、タンパク質はもち
ろんですが、タンパク質の中でも、酵素を持って誕生したと考えられてい
ました。
しかし、タンパク質の設計図となるRNAが、酵素の働きも出来るようなら、
一段階短縮されるように思えます。RNAは、自己複製も出来て、物質の分解
や結合と言った酵素の働きも出来るとなると、RNAそれだけで生命誕生と
言えるのではないかと思います。
原始地球の海中では、様々な材料がくっついて、高分子化合物が出来ていた
ようです。それが、様々な組合せを持って、生命誕生に至ったのでしょう。
私は、他の天体から生命が来たと言う説は、生命の材料は、宇宙空間から
来た物も、あるとは思いますが、生命本体が、宇宙から来たと言う説には、
賛同できません。
少なくとも、地球以上に生命の誕生しやすい天体が、近隣にあるとは思え
ないし、その星から、生きたまま地球に運ばれて来るなんて、生命が誕生
する確率より低いと思います。
これ系の話は、マイブームとなっているので止まりません。失礼しました。
酵素には、反応によって、大きく7種類に分類されます。ただ、一種類の
酵素は、たった一つの働きしかできません。たとえば、味噌に関連する
酵素の働きとして良く見られる、加水分解すると言う働きについても、
1種類の組合せにしか、対応しません。
ABとくっついていた物質をAとBに分けることは出来ても、CDをCとDには
分けられません。加水分解(水を使った分解)なので、AとBには、
どちらかにHが付き、もう片方にはOHが付くことになります。
また、分解することによって、エネルギーが発生します。私の知る限りは、
麹菌の作る酵素(味噌の関連する酵素)は、全て加水分解酵素です。
しかし、3,000種類あると言われる酵素には、「酸化還元酵素反応」
「転移酵素」「加水分解酵素」「除去付加酵素」「異性化酵素」
「合成酵素」「ABC輸送体」(前述の7種類)に反応(働き)によって
分けられています。
ちなみに最後に上げた「ABC輸送体」については、これから勉強します。
酵素についての話は、簡単にまとめにくく長文になります。
今月は、このくらいで失礼します。
★第126回 なぜ、味噌は、発酵が進むとしっとりして来るのか ★
先月28日 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が選考を進めていた、14年
ぶりとなる日本人宇宙飛行士の候補者に、男女お二人の方が選ばれました。
今後は、月探査の「アルテミス計画」に参加され、日本人で初めて月面に降り
立つ可能性もあるようです。お二人のご活躍が、今からとても楽しみです。
今回は、『なぜ、味噌は、発酵が進むとしっとりして来るのか』をお届け致し
ます。
先月のメルマガにて、ざっくりと酵素の働きについて、説明をしました。それ
に関して、私自身が読んでも、取り留めのない文章だと反省しております。
そこで、酵素の働きが具体的にこんな効果を及ぼすかを説明してみたいと思い
ます。
仕込み直後の味噌は、少しパサついているのに、発酵が進んだ味噌は、しっと
りしてきます。その理由について、説明します。
まず、一般的に考えられるしっとりとしてくる理由は、水分が増えることを
考えます。
しかし、味噌の場合は、水分は、微生物の呼吸によって、水が合成されますが
その量は微々たるもので、全体から見るとゼロに等しい量なので、水分は増え
ません。
それに、仕込んだ直後の味噌に水を足しても、水っぽくは、なっても、しっと
りとは、してきません。
続いて、考えられることは、大豆を潰すことで物理的に破壊され、細胞内の
水分が染み出して、しっとりすることです。
まず、大豆は、乾燥状態から水を吸って2倍以上の重量になります。
しかし、吸水した大豆を潰しても、水は出て来ません。
米麹も、同様に、潰しても水は出て来ません。
さらに、原料の米麹や蒸煮大豆の細胞膜が、酵素によって分解されて、水が出
て来る。ということも、ありません。細胞膜が無くなっても、その中の細胞本
体は、ゲル状(ゼラチンやスライムみたいなもの)なので、水は出て来ません。
なぜ、発酵が進むと味噌がしっとりするか、と言うとそれは、分解酵素の働き
によるものです。
先月の繰り返しになりますが、分解酵素によって、でんぷんは、最終的にグル
コース(ブドウ糖)になり、たんぱく質は、アミノ酸になります。
この作用は、時間経過に従って徐々に進んで行きます。別の言い方をすると、
デンプンは、沢山のブドウ糖が集まって出来たもので、酵素によって分解され
て、沢山のブドウ糖になるということです。タンパク質は、沢山のアミノ酸が
集まったもので、分解されて、沢山のアミノ酸になるということです。
これが、なぜ、味噌がしっとりして来るかに関係するかと言うと、デンプンや
タンパク質は、分子量が大きい(沢山のブドウ糖やアミノ酸が集まっているた
め)ので、水に溶けません。しかし、分解されて、分子量が小さくなると水に
溶けるようになります。(水溶性については、他にも条件があるようですが、
そこは、片目をつぶってください。)
たとえば、水に砂糖を溶かすと、単純に重量は、溶かした分だけ増えます。
体積も、溶かした分の砂糖の体積が計測しにくいですが、それなりに増えます。
それも、砂糖水なので、ねっとりとしています。(砂糖は、ブドウ糖と果糖が
1対1でつながったものです。)ブドウ糖の水溶液も、ねっとりしています。
アミノ酸の水溶液は、透明に近い醤油をイメージしてください。(ざっくりし
過ぎかもしれません。)
このように、水ではなく、濃い液体の量が増えることによって、味噌がしっと
りします。
従って、分解酵素の働きによって味噌がしっとりするということになります。
今月は、以上です。
★第127回 味覚の歴史について ★
入学式シーズンになりました。今日は、近所の小学校でも入学式がありますが
あいにくのお天気になってしまいました。今朝は、必死に傘を差しながら、
新しいランドセルを背負い、ご両親と入学式に向かう一年生に出会いました。
毎年この時期のランドセル姿は、何度見ても笑顔になる光景です。
今回は、『味覚の歴史について』をお届け致します。
昨年は、3年ぶりにみそソムリエ講座が、復活しました。その反省会が、先日
行われて、今年もまた、10月にオンラインでみそソムリエ講座を行うことに
決まりました。
それに伴って、私の担当ではない味噌の歴史について、考えて見ました。
というのも、味噌は、紀元前700年の中国の周の時代にルーツがあるとか、
飛鳥時代の大宝律令に記載があったとされていますが、その当時の現物が
残っている訳では、もちろんありません。
陶器や絵画や文字の書かれた竹簡やパピルスは、保存状態は、ともかくとして
はるか昔から残っていて、製作当時の面影を多少なりとも、残しています。
食に関しては、貝塚(当時は、ゴミ捨て場?)から、米の炭化した破片が見つ
かったので、稲作との関係が、考えられています。
話は飛びますが、以前に、卑弥呼の住居と思われる古墳から、大量の桃の種が
見つかったと言う話をテレビで見た時に、イザナギが黄泉の国から逃げ帰る時
に、追って来る魔物に桃を投げつけて、追い払ったと言う話とリンクして、
桃には、魔を破る力があるとそのあたりの時代では信じられていたのだと思い
それが、桃太郎につながっていれば、桃三題噺になるなと思いました。
でも、魔を破る力があるのは、桃の実なのか、桃の種なのか、よくわかりませ
ん。桃太郎も、桃を割ったら出て来るので、やはり種なのでしょうか。
味については、記録と感覚の誤差は、どうなのでしょう。「甘い」と書かれて
あったら、他の四味ではなく、「甘味」が強い味であるとは、わかりますが、
それがどのくらいの強さ(甘さ)であるかは、わかりません。
特に、砂糖や人工甘味料が、簡単に大量に手に入る現代と、砂糖が貴重品だっ
た時代とは、甘いと言う味覚が明らかに違ったと思います。
以前調べたのですが、日本で砂糖が使われるようになったのは、台湾を植民地
にしたとき以来のようです。それまでは、砂糖は貴重品でした。
日本は、海に囲まれた国なので、塩は比較的手に入りやすいと思われますが、
塩分についても、地方差は、あります。これもテレビからの知識で恐縮ですが
関東の塩味が濃いのは、徳川家康の原因があるとされていましたが、私は、
その説は、因果関係が薄いと思います。
私の勝手な解釈は、なぜ関東の塩分が濃くなったかと言えば、家康の政策の
せいではなく、単純に元々濃かったのではないかと思います。
まず、江戸は、家康が来るまでは、小田原や鎌倉よりも小さな漁村だったこと
が、定説です。人がほとんどいないのだから、塩味が濃いとかは、関係ありま
せん。
元々、人が居ないところに都市が出来たのですから、住人たちは、どこかから
移住して来たのですから。
その移住して来た人たちが、濃い塩味の習慣を持っていたのだと思っています。
江戸時代以前の製塩技術は、拙いもので、出来上がった塩は、ニガリが含まれ
ていて、湿っぽい塩で、さらにカマスに詰められて保管運搬されていたために
置いておくと湿気を含み、運搬や保存に適して居ませんでした。
現代では、食塩、砂糖は、数少ない賞味期限の無い食品です。
それは、保存方法さえ良ければ、経年劣化をしないとされているからです。
しかし、江戸時代では、食塩を結晶として、保存しておくことは、容易では
ありませんでした。そのために、塩は、魚の塩漬けや、野菜の漬物と言った
塩分の高い食品を食べることで、摂取していました。
特に、雪が積もる北関東や東北では、塩味の濃い食品が保存食として、
食べられていました。
そのような食習慣を持った北関東から東北にて、生活していた人たちが、
江戸に移住して来たから、関東は塩味が濃くなったと言う説が、私の説です。
徳川家康が関係するとしたら、平和になって、農業が振興されて、関東ローム
層にも田んぼが出来て、米が多く取れるようになったことが関係して来ると思
います。
初期から中期の江戸の街の男女の人口構成は、圧倒的に若い男性が多かったそ
うです。
そこで、生活パターンとしては、米だけを炊いて、おかずは行商人から買う
食事となり、数日ごとにしか来ない行商人のために、保存の面からも、塩分が
高かったと思います。
このような環境もあって、塩分の高いおかずを食べていたために、塩味が濃く
なったと思います。
今月は、切りの良いところで、このくらいにさせていただきます。
★第128回 味噌ラーメンについて ★
5月1日と2日に休みを取る事が出来る方は、最大で9連休の長期休暇に
なりやすい日並びとなる、今年のゴールデンウィークですね。
ゴールデンウィーク中盤は広く晴れて、所々で夏日となりそうです。
まだ体が暑さに慣れていない時期ですので、こまめな水分補給を心がけて
残りの連休を楽しみたいと思います。
今回は、『味噌ラーメンについて』をお届け致します。
コロナ禍の影響で、外食関係は、大きな打撃を受けました。
しかし、昨年には、もう外食でも、コロナ禍以前の賑わいにまで戻った業界が
あります。その一つが、ラーメン業界です。
もちろん戻ったと言っても、100%戻った訳では、ありません。深夜の営業を
禁止されていたので、その部分の売上げは、減っているのですが。
昼の営業に関しては、戻ったと言っても、良いようです。
まず、ラーメンの分野も細分化されています。味で分類すれば、味噌、醤油、
塩となり、スープ、麺の違いがあり、それ以外にも、つけ麺、油そばなどの
スタイルや、トッピングに至っては、ありとあらゆる組合せが思いつきます。
コロナ禍で、分類によっての売れ行きの優劣が、変わってはいないようです。
今までは、つけ麺ブームが来たり、煮干しブームが来たりと、時間の流れに
合わせて、様々なラーメンが栄枯盛衰を繰り返してきましたが、コロナ禍が、
それに影響を与えたことは、無いようです。
ラーメン業界の流れについては、このくらいにして、味噌ラーメンについて
お話します。
味噌ラーメンが、他のラーメンとのちがいを挙げるとしたら、それは、味噌の
持つマスキング効果が風味に影響していることです。
味噌のマスキング効果とは、他の食材や調味料の香りや味を和らげ、調和させ
る働きのことです。具体的には、豚骨や鶏ガラなどの動物性のスープの臭みや
クセを和らげ、調和させる効果があります。
味噌ラーメンの味わいは、味噌の風味や旨味が主張しつつも、豚骨や鶏ガラの
うま味と調和し、深みのある味わいとなります。また、味噌ラーメンには、
野菜や豚肉、メンマ、もやし、ネギなどのトッピングが多く使われることが
特徴的です。
味噌のマスキング効果には、科学的な根拠があります。味噌に含まれる成分の
中で、主要なものには以下のようなものがあります。
・アミノ酸
味噌には、グルタミン酸やアスパラギン酸などのアミノ酸が豊富に含まれて
います。
これらのアミノ酸は、食品に含まれる旨味成分の中でも重要なもので、
うま味を感じるのに重要な役割を果たしています。
・糖質
味噌には、糖質が含まれており、その中にはグルコースやマルトースなどが
含まれています。これらの糖質は、食品の甘味を引き立てる役割を果たして
います。
・香り成分
味噌には、酵母菌や乳酸菌による発酵の過程で生成される香り成分が含まれ
ています。これらの香り成分は、スープに含まれる他の食材や調味料の臭みや
クセを和らげる働きがあります。
このように味噌には、うま味や甘味、香り成分が含まれており、これらの成分
がスープに含まれる他の食材や調味料のクセを和らげ、調和させる効果があり
ます。
以上のことを踏まえて、独断で申し上げると、
塩ラーメンは、だしの風味を味わう。
醤油ラーメンは、だしと醤油の風味を味わう。
味噌ラーメンは、だしと味噌の調和を味わうラーメンだと言えます。
★第129回 日本全国各地の味噌の特徴(前提) ★
6月2日・3日は、新型コロナウィルス感染拡大以降初めて、行動制限の無い
「横浜開港祭」が開催されました。2日は台風2号の影響で、ごく一部の
イベントのみの開催となってしまいました。
毎回見応えのある、打ち上げ花火「ビームスペクタクルinハーバー」も
中止となってしまい、とても残念でした。
次回こそは、規模縮小や開催中止等なく、「横浜開港祭」を盛大にお祝い
したいと思います。
今回は、『日本全国各地の味噌の特徴(前提)』をお届け致します。
本年も、昨年に続きみそソムリエ講座の開催が決まり、日本全国各地の味噌に
ついて、より詳しい説明が必要ということになり、講座の中で使用する資料を
手直しすることとなりました。講師それぞれが、原稿を書き、協議をして、
形にしていきます。
以下の説明は、叩き台であり、私の個人的な感想となります。
全国各地の味噌の特徴を説明する前に、幾つか前提と、現在の全体の状況を
ご説明します。
味噌の分類方法には、様々な切り口があります。農水省の規格である日本農林
規格では、味噌を作る際に何を麹にするかによって、分類されています。
米を麹にして仕込む米味噌、大麦を麹にして仕込む麦味噌、大豆を麹にして
仕込む豆味噌です。
この3種類を合わせた味噌や、この3種類以外の穀物を麹にして仕込んだ味噌
は、調合味噌となります。この他の分類方法としては、漉し味噌、粒味噌の
形状や、甘味噌や辛口味噌の塩分や色があります。
さらに、今回、北から順番に取り上げようとしている産地による分類となり
ます。
全国各地の味噌の特徴を申し上げる前に、現在の全国の味噌事情を申し上げ
ます。味噌の麹の種類による分類での生産量は、米味噌が80%、麦みそが5%
豆味噌が5%、米と大麦の調合味噌が5%、米と豆の調合味噌5%となっており
ます。
したがって、米味噌の入っている味噌が90%を占めると言うことになります。
2021年の生産量は、約40万t。そのうちの約20万tを長野県で生産しています。
また、麹原料による違いは、地域の違いとリンクしています。麦味噌は、
九州と四国の一部(愛媛)、豆味噌は、東海地方の愛知、岐阜、三重が中心と
なっています。
何事にも例外があるように、関東地方でも周辺部(国道16号線の外側)では、
かつては麦味噌が散見されました。また、豆味噌も、徳島の一部では古くから
製造を行っているとされています。
これは、江戸時代、徳島は蜂須賀家の所領であったことに由来するとされてい
ます。
しかし、このような例外は、あると言うだけで、量的には多くても年間数tと
されます。
したがって、国内産の味噌の総量を40万tとすると、その5%は、2万tであり、
麦味噌と米麦合わせの4万tは、ほぼ九州と愛媛で生産され、豆味噌と米豆合わ
せの4万tは、愛知、岐阜、三重で生産されていると考えられます。
残りの米味噌が32万tとなり、そのうちの20万tが、繰り返しになりますが、
長野県で生産されています。
上記のように、麹の種類別生産量は、なります。
全国各地の味噌の特徴は、歴史の中での変遷を経て来た結果であり、需給関係
によって各地のメーカーも、伝統の味噌を大切にすることと、消費者の好む
味噌を提供する品揃えをすることを合わせて、行っています。
ストレートな言い方をすると、消費者の好みに合わせて、売れる種類の味噌を
多く生産して、販売をして行くことになり、各メーカーの品揃えが変って行く
ことになります。
販売のデータを見ると、近年では日本各地で長野県のメーカーの作った味噌が
地元のメーカーの味噌と並んで、販売額のベスト10に入るような業績を上げ
ています。このことは、淡色辛口味噌が、日本各地に時間を掛けて普及し、
地元の味噌と競合していることを示しています。
次回より、全国各地の味噌の特徴を順に説明をします。その分類については、
みそ健康づくり委員会より発行された、『新みそを知る』の分類に基づいての
分類となります。
その分類は、①北海道みそ ②津軽みそ ③秋田みそ ④仙台みそ ⑤会津みそ
⑥越後みそ ⑦加賀みそ ⑧江戸甘みそ ⑨信州みそ ⑩東海豆みそ(愛知・
三重・岐阜)⑪関西白みそ ⑫府中・広島みそ ⑬瀬戸内麦みそ(愛媛・山口・
広島) ⑭御膳みそ ⑮讃岐みそ ⑯九州麦みそ
以上の16種類について、順に説明して行きます。
なお、参考文献として、様々な資料を参考にしますが、筆頭に『みそ文化誌』
を挙げます。
話は飛びますが、4月のメルマガにて、桃について、勝手な憶測を書き連ねて
お目を汚しましたが、「桃太郎の誕生」柳田国男 著を現在読んでおります。
昭和初期に書かれたものですので、読み進むのに苦労しております。私なりの
理解ができましたら、ご報告します。
★第130回 全国の味噌「北海道味噌」「津軽味噌」 ★
あす7日は七夕ですね。例年の七夕は、九州から東北では梅雨の最盛期なので
すっきり晴れた夜空に天の川が見える事は少ないそうです。
今年の7月7日の夜は、太平洋側を中心に見られるチャンスがあるようなので
晴れる所では、是非、星空を眺めてみてください。
今回は、『全国の味噌「北海道味噌」「津軽味噌」』をお届け致します。
今月から、全国の味噌を地域別に説明をして行きます。基本となる資料は、
「みそ文化誌」、各県味噌組合のHP、地域団体登録商標のページ(特許庁)を
使用しています。北から順に16種類の味噌を説明します。
① 北海道味噌
北海道にて、消費量の多い味噌は、淡色辛口米味噌となっています。しかし、
切り口によっては、別の味噌がクローズアップされて来ます。その切り口は、
二つあります。一つは、北前船であり、もう一つは、札幌味噌ラーメンです。
まず、最初の北前船に関してですが、明治期より本格的に北海道への入植は
始まりましたが、それ以前にも、日本海を列島伝いに北海道まで北上する
北前船の伝統がありました。
港々で各地の物産を交換しながら進み、北海道では身欠き鰊や昆布を積んで、
その代わりとして、当時、北海道では取れなかった米を始めとして酒や塩など
の食品を渡していた。その食品の中に味噌が含まれており、その味噌の産地は
北陸、新潟、佐渡となっていました。
また、明治以降、北海道全土に入植が行われた際には、その地方からの入植者
も数多く居たために、その出身地の習慣が残されており、味噌の好みも引き継
がれたものと思われます。その傾向は、赤色系の米味噌の粒とされます。
続いて、札幌味噌ラーメンに関しての話です。
札幌味噌ラーメンの歴史は、1955年「味の三平」の大宮守人が味噌ラーメンを
開発すると同年「味の三平」を訪れた「暮しの手帖」元編集長花森安治に、
大宮が味噌ラーメンを出した所、花森はそのことを「暮しの手帖」に執筆した
ので、その名が全国に知られることになったと言われています。
札幌味噌ラーメンの特徴としては、現在は、バリエーションが豊富ですが、
スタート当時は、ラードが沢山浮いたスープにひき肉と野菜を炒めた具と、
北海道を象徴するようにコーンとバターが載っている。味噌味のスープに
中太縮れ麺と言うパターンがオーソドックスなスタイルでした。
その後、札幌味噌ラーメンが全国に広まった訳は、1960年代後半にほぼ同時
進行となった、インスタントラーメンの「サッポロ一番みそラーメン」と、
どさん子ラーメンチェーンの全国展開によってです。
どちらも味噌ラーメンのスープに使われた味噌は、赤色の漉しの米味噌でした。
(もちろん、インスタントラーメンのスープは、生ではなくスプレードライに
されていました。)
なぜ、赤味噌が使われていたかは、試行錯誤の結果で採用されたようです。
ラードやひき肉が具に使われて、さらに、コショウではなく、七味唐辛子が
香辛料に使われていたために、しっかりとした味、もしくは、しつこい味に
なっていたために、さっぱりとした味に合う淡色系の味噌より、しっかりと
した味に合う赤味噌が、その当時のスタイルの味噌ラーメンには、適していた
と思われます。
赤味噌が、サッポロラーメンに使われていたために、北海道の味噌は北海道
以外では、赤味噌と思われていました。
さらに、北海道を代表する味噌メーカーの一つである岩田醸造が、「紅一点」
と言う命名で、東北以南のスーパーにて、販売をしたために、北海道の味噌は
赤色辛口米味噌と言うイメージが定着したと思われます。
北海道味噌醤油組合のホームページには、「北海道味噌とは」として以下の
ように記されています。
「北海道の自然環境が誰にでも好かれる北海道らしい味をつくりました。
北海道のみその製法は来道した杜氏による移入技術で始まりました。
しかし、本州と同じ造り方では良い味噌にならず、 苦労に苦労を重ねて
北海道独自のみそ造りをしてきました。
そして、その造り方に北海道の気温・湿度、水などの自然条件が大きくかか
わって、 北海道らしい高品質なみそが造られてきました。半年が氷温に近く
盛夏でも平均気温22℃にしかならない冷涼な地であるため、長期の熟成や
切返しを要し、すっきりとした芳香の温和な味が生み出されるのです。
このようにして造られる北海道味噌は、
①辛口の米みそ
②麹歩合はやや高く塩分は控えめ
③すっきりした芳香温和な味
(気候が冷涼なので長期の熟成と切返しを要するため)
料理に使われる素材の味を活かし、くせのない万人向きの味が特徴です。
以上を見る限りは、北海道味噌が、淡色か赤色かは、記載されていないため、
どちらでも北海道味噌であるようです。
北海道味噌は、地域団体商標に登録されています。
② 津軽味噌
津軽味噌は、赤色系の米味噌です。
江戸時代、現在の青森県は、県の西部の弘前を中心とする津軽藩と現在の
岩手県の盛岡を中心とする南部藩に分かれていました。
歴史的には、対立関係にあった両藩でしたが、明治4年に県庁が弘前町から
青森町に移されて以来、青森県となっています。
青森市は、かつての津軽藩の領地に属しているが北東部であり、青森県の
ほぼ中央に位置しています。
津軽地方において古くから味噌の生産があったことは、文献に残っています。
17世紀中期の慶安年間の津軽藩律の中に藩に味噌を納入する御用達商人に
原料配合を定めた項目があり、大豆1升に対して6合麹、5合塩としています。
これは、米麹を使った米味噌です。
津軽味噌の名前は、大正時代以降に称されるようになったとされています。
特に、北海道に青森県より移住した開拓民が、郷里を懐かしんで、津軽味噌
と持て囃したことに起因するようです。
また、大正・昭和期には、青森県を代表する味噌メーカー2社が、青森市に
所在し、北海道を始め県外にも、津軽味噌として、味噌を出荷したことが
津軽味噌の名を広めることにも、つながったようです。
来月は、秋田味噌、仙台味噌を説明します。

