第151回  減塩味噌について その1

横浜市有数の桜の名所として人気の大岡川では、今週に入りほぼ満開になり
昨日あたりからは、葉が出ている木もだいぶ多くなってきました。
花粉症の私は、外でのんびりとお花見を楽しむことは出来ませんが、近所の
公園に咲いている桜をほんの少し眺めるだけでお花見気分を味わっています。

今回は、『減塩味噌について その1』をお届け致します。

まず、減塩味噌について色々と申し上げる前に、減塩味噌の規格を書きます。
最終改正 令和7年1月23日消食表第77号として、消費者庁から出された
「食品表示基準について」の(加工食品)4(2)③エにあります。
以下に転記します。

『食品表示基準第7条の表の栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の項の
3の「ナトリウムの含有量を二十五パーセント以上低減することにより、当該
食品の保存性及び品質を保つことが著しく困難な食品」については、以下の
ものをいう。
・みそ ・しょうゆ
なお、これらの食品についてナトリウムの適切な摂取ができる旨の表示をする
場合は、他の食品に比べて低減されたナトリウムの含有量の割合が以下に定め
る割合以上である場合に行うものとする。
みそ 15%  しょうゆ 20%』となっています。

この項のポイントは、減塩と言うには、本来は同じような製品の塩分を25%
少なくしなければ、ならないが、みそとしょうゆは、そこまで塩分を減らすと
保存が難しくなり、品質が安定しなくなるので、みそは15%、しょうゆは20%
でも、減塩として良い。ということです。

ご存知のように味噌の中には甘味噌のジャンルがあり、甘味噌は塩分5~6%で
辛口味噌の12%程度に比べて、塩分で比較したら50%の減塩になります。
しかし、甘味噌と辛口味噌は、明らかに違う味噌なので、甘味噌は、辛口味噌
の50%減塩味噌にはならない。

さらに、甘味噌と辛口味噌を合わせて、塩分12%の味噌の塩分を15%マイナス
になる塩分10.2%の合わせ味噌を作ったとして、減塩味噌とは言えないことに
なります。

味噌と醤油にこのような特例が設けられている理由は、この歴史のある2つの
調味料にとって、食塩が原料であって、添加物(厳密な意味ではなく)では
ないことによると思います。塩分を減らすと保存性は明らかに落ちます。

しかし、保存性だけを落とさない方法は他にあります。シンプルに保存料と
呼ばれる添加物を使えば良いのですが、そこを攻めると品質が別物になって
しまうことになります。その訳は、食塩が原料の一つだからです。

味噌とは、大豆と麹と塩のバランスの上に立って、麹菌、乳酸菌、酵母が活動
する発酵食品だとも言えます。塩だけを減らすとバランスが崩れます。
うまく発酵しない可能性が出て来ます。

それを判断する基準として、対水食塩量と水分活性が使われます。
対水食塩量は辛口味噌に使われ、水分活性は甘味噌に主に使われます。
その理由は、対水食塩量を計算する方が水分活性を測るより簡単で辛口味噌
ではそれで十分だからです。(長年の経験に基づくものです。)

甘味噌は水分活性まで計測しないと判断が難しいからです。
対水食塩量は、塩分と水分の数値があれば、計算できます。水分活性は、
それ専用の機械でしか計測できません。

対水食塩量の計算式は、食塩%/(水分%+食塩%)×100 となります。%で
表わされます。
適正範囲は、麹歩合5~7では21~22%。麹歩合8~10では20~21%とされて
います。

適正範囲より低い場合は、異常発酵(酸敗)の危険性があり、高い場合は
発酵不良(微生物の活動を阻害)が起きやすい。
具体的な数字で計算して見ると、塩分12%で水分47%の標準的な辛口味噌の
場合、20.33%となります。

ここから塩分を落として行くと、適正範囲より数字が低くなり、異常発酵の
可能性が高くなっていきます。
ここから、15%塩分を落として、対水食塩量を計算すると17.82%となり、
これは随分攻めた数字になります。

このように15%の減塩でも、味噌の製造が一気に難しくなります。味噌は、
原料の処理さえ間違っていなければ、ずぶの素人が教わりながら仕込める
安全な調味料です。それが塩の量が少し減るだけで、異常発酵の可能性が
ゼロに近かったのに、相当な可能性が発生することになります。

今月は、このくらいでさせていただきます。次回は、減塩味噌について
考えていることを申し上げます。

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