第154回 麹菌について その2

環境省と気象庁は、今日7月8日 熱中症警戒アラートを北海道から九州の28都
道県に発表しました。積極的な熱中症対策が必要な日が続いています。
熱中症対策グッズで最近気になっているのが、「持ち運ぶ氷のう」です。
魔法瓶構造のケースに入れて持ち運べるので、最大で16時間 0℃を保持できる
商品もあるそうです。更に厳しくなる暑さに備え、一度試してみたいと思います。

今回は、『麹菌について その2』をお届け致します。

先月は、有塩下の発酵食品には様々な種類と可能性があるのに、味噌の原料は、
大豆と塩と麹とする米、大麦(醤油は小麦)に収斂されたのかという疑問の前に、
味噌と醤油の共通点と相違点を申し上げました。

更に、中国や韓国の有塩下の発酵による調味料を調べてみると、日本の有塩下
発酵による調味料と違う点があります。
それは、日本の調味料(醤油と味噌)は、麹菌を利用していることです。

麹菌は日本の国菌である。という話を聞いた時には、日本酒も味噌も醤油も
麹菌が関係しているから、一つ選ぶとしたら、麹菌なのだろう。とシンプルに
思っていました。

しかし、色々と調べてみると、奥が深いことがわかりました。
まず、韓国の調味料テンジャンについてです。この調味料は、原料は大豆と塩
だけで、日本の豆味噌と同じです。作り方は、違います。大豆を蒸して潰した
ものを一辺20㎝くらいの立方体に固めて乾燥させる(これをメジュと呼ぶ。)
藁に包み、室内でカビが生えるまで放置して、瓶に塩水と共に仕込んで、
2か月くらいで完成。韓国各地で作り方は違うようですが、これが基本的な
作り方のようです。

味噌との違いは、利用している微生物が違うことです。たぶん、テンジャンは、
藁で包むところからバチルス菌(納豆菌)を発酵に使っていると思いますが、
豆味噌は、麹菌、乳酸菌、酵母です。

豆味噌の作り方は、蒸し大豆を軽く潰して、直径2㎝、長さ5~6cmに固めて、
麹菌を振りかけ麹室に3日間入れ、塩水と混合して仕込みます。
短くて6ヶ月で味噌になります。

味噌の歴史を振り返ってみると、日本で作られた初期の味噌は、韓国での
テンジャンのように空気中の微生物や土壌細菌を使っての発酵を行っていたと
想像されます。
その後、日本酒が米麹で造られるようになって(最初の酒は口噛み酒)、それを
味噌に使って見たら、良い味となったので、麹を使った味噌が鎌倉、室町、
江戸時代と時間をかけて広まったのです。

麹菌の特徴は、他の細菌に比べて圧倒的にアミラーゼとプロテアーゼを生成
することにあります。もちろん、アミラーゼは人の唾液にも含まれていて、
口がみ酒の仕組みは、唾液のアミラーゼによって米のデンプンを分解して、
それを材料に酵母がアルコール発酵をすることにより、酒が出来ます。
ただ、麹菌を利用すれば、すごく効率よく大量にアミラーゼができます。

恐ろしいことに、麹菌には近縁種としてアフラトキシンを生成する菌も居ます。
しかし、麹菌をDNA分析すると、アフラトキシンを生成できない二重三重の
縛りがされていることがわかっています。
(ちょっとした突然変異でアフラトキシンを生成するようにはならない仕組み
です。)

これは、平安時代から連綿と続く麹菌の歴史により、そのようになったと
思われます。これは、友種法を利用したからの結果でしょう。友種法とは、
良かった麹を取って置いて、それをまた増やして行くという品種改良のやり方
です。これにより、日本の麹菌は洗練されてきたと言うか、アフラトキシンを
生成する近縁種とは完全に隔絶されました。

麹菌を使うことによって、日本の酒、味噌醤油は、源流である中国や朝鮮半島
とは、全く別の発酵食品と言えることになったと言えます。
酵母菌が味噌の味を始めとする風味を決めます。
酵母菌もデンプンやタンパク質を分解する酵素を作ることが出来、それを利用
して、自らの増殖を図ることが出来ます。酵母菌には、3,000種類があると
されています。

その中には、大きな化合物から分解する酵母菌もあり、麹菌の酵素が効率よく
デンプンやタンパク質を分解してくれた後に、活動する酵母菌もあります。

味噌や醤油の味を決めている酵母菌は、麹菌の酵素がデンプンやタンパク質の
大きな化合物をある程度小さく分解したデキストリンやブドウ糖、ペプチドや
アミノ酸などの比較的小さな化合物を利用する酵母菌ではないかと思います。
また、中国や韓国の酵母菌は、分子構造の大きな化合物を分解する酵母菌では
ないかと思います。

酵母菌の種類が違うので、中国や韓国の発酵食品とは、風味が違うのでしょう。

日本の味噌と醤油の酵母菌は、それぞれ明らかに違いますが、同じような環境
(この場合の環境は、温度帯や寒暖差だけでなく、塩分や原材料の分解具合など)
なので、それぞれが入れ替わっても、増殖して味噌臭い醤油や、醤油臭い味噌が
出来てしまいます。
味噌や醤油の製造者は、味噌には味噌の酵母菌、醤油には醤油の酵母菌が増殖
するように注意しなければなりません。

話が横道に逸れましたが、麹菌が日本の国菌である理由は、まず、それを利用
する発酵食品が多いことが挙げられます。それに続いて、麹菌の酵素による
分解機能によって、その後に続く酵母菌の種類をある程度、絞り込むことに
なります。種類が限定された酵母菌により、日本独特の風味を持って発酵食品が
作られることになります。

今月は、一応の区切りがついたので、このくらいで失礼します。
来月は、もう少し麹について、申し上げます。

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