第156回 四方赤良について
車いすテニスの小田凱人選手が、前週の全米オープンを制し、4大大会とパラ
リンピック全てを制する生涯ゴールデンスラム(GS)を史上最年少の19歳で
達成されました。会見の中で「障害がない人でも、車いすテニスを競技として
できるよう普及していきたい」と話されていたのが、とても印象的でした。
今月末は、有明コロシアムで行われるジャパン・オープンが予定されています。
ジャパン・オープンでも、小田凱人選手のご活躍がとても楽しみです。
今回は、『四方赤良について』をお届け致します。
今、放映しているNHK大河ドラマ「べらぼう」では、蔦屋重三郎が主人公となり
江戸時代中期の文化と政治について描かれている。今月は、そのドラマにも
登場している大田 南畝(おおた なんぽ)についてである。
太田南畝の筆名の一つが四方赤良(よものあから)である。寛延2年〈1749年〉
-文政6年〈1823年〉。天明期を代表する文人・狂歌師であり、御家人であった。
幾つもの筆名があり、太田蜀山人とも寝惚(ねとぼけ)先生とも名乗った。
四方赤良を始終赤い顔(赤ら顔)をしている(酔っぱらっている)と言う意味も
あるが、もう一つ、四方(よも)の赤が良いと言う意味もあることを知った。
この四方とは、その当時(江戸中期)の江戸にあった酒屋と味噌屋を兼ねた
四方(よも)と呼ばれる店舗の事で、新和泉町の四方久兵衛のことである。
なお、四方の所在地を和泉町としている情報を幾つか見たので申し上げるが、
和泉町は神田にあり、現在の秋葉原駅周辺である。
新和泉町は、現在の日本橋人形町にあたるので、地下鉄の駅でも2つ離れている。
念のため。以降は蛇足である、江戸時代は、神田と日本橋の区別が微妙だった
ようである。
今では、日本橋人形町とか神田須田町とか言っており、住所の表示も、その
ようになっているし、日本橋は中央区、神田は千代田区となっているが、
江戸時代は、町名の前に神田や日本橋の地域名を付けることは、無かった
ようである。八丁堀も現在は日本橋であるが、神田と呼ばれ、京橋と呼ばれて
いたこともあった。1丁は約109mなので、その8倍の長さになれば、それなりの
サイズの堀であったようなので、むべなるかなの感もある。
以降、四方の味噌の話になる。
興津要の「江戸食べもの誌」にも、四方の上白が出て来る。角力の番付に例えて
四方の上白を一番強いと言っている。ここで興津要氏は、四方の上白(赤味噌)
と言っていることである。これは、その当時の上白とは、良く精米した米を
表しており、その米を原料として仕込んだ赤味噌のこととしている。
江戸落語の「味噌蔵」の中でも、店の者が食べる味噌が無くなったときの御隠居と
奉公人の会話にも、
奉公人:「隠居さま、そろそろ味噌もございませんでございます」
隠居:「なに、味噌など買わずとも仕込めばよい」
奉公人:「しかし、お正月も近うございますし、せめて四方(よも)の上白を
一樽お取り寄せになっては……」
隠居:「贅沢を申すな。味噌に金をかけてどうする。うちで仕込んだ味噌で十分じゃ」
この場面で、奉公人は「せめて四方の上白(=一番上等な銘柄)を買いましょう」
と勧めている。つまり、四方の上白は「上等の味噌の代名詞」であり、高級品を
買うことで体裁を整えたい(特に年末年始や祝いの支度)という気持ちと高級な
味噌を自ら口にしたい気持ちが表れている。
隠居はそれすらも「もったいない」と拒絶し、結局自分で味噌を仕込む。
その強欲・倹約が行きすぎて、食べごろを失して、味噌蔵で腐らせてしまう。
一方、四方の酒だが、歌川貞房の浮世絵の風流酒屋五節句には、四方のしょうぶ
酒として、端午の節句に描かれている。
また、歌川国芳の浮世絵「呑みくらべ 角力取組之図」でも、当時の全国各地の
名酒の一つとして、四方の瀧水が登場している。
さらに、講談の「赤垣源蔵 徳利の別れ」で赤垣源蔵が、兄・塩山伊左衛門に
別れを告げにやってきて、女中のお杉に、これから長の旅に出る。
帰ってきたときには、四方の瀧水を用意してくれと言う。ただ、この講談は、
討ち入りより百三十年後の天保年間に作られたとされる。
このように酒と味噌を扱う四方は、店舗として実存し名を馳せていたことが
わかるが、それだけでなく、四方には、四方八方という四字熟語もあるように
シンプルに「シホウ」という読み方もある。四方の意味としては、東西南北の
四方向を表しており、全ての方角のことである。
前出の興津要氏の文章でも「四方の上白、五方の極上、白味噌これに勝るものなし」
とあるが、これの「四方」は店の四方(よも)、次の「五方」は、四方(しほう)に
続いての五方と言うことであろう。
もちろん「五方の極上」という名前の白味噌は、存在しない。
このように、四方は、酒と味噌で当時の江戸では有名店であったことは、間違いない。
今月は、四方赤良からの四方久兵衛の味噌と酒の話でしたが、来月は、四方赤良、
その人について申し上げます。
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