第161回 発酵と熟成について

本日2月3日は、節分です。地域ごとのさまざまな風習がある年中行事ですが
豆まきの「豆」にも違いがあるそうですね。北海道、東北、新潟県や宮崎県、
鹿児島県などでは、煎った大豆ではなく、落花生をまく地域も多いそうです。
今年は、既に煎り大豆を用意してしまったので、来年の豆まきに「落花生」を
試してみたいと思います。

今回は、『発酵と熟成について』をお届けします。

かつて味噌業界の技術系の集まりの際に味噌の発酵熟成について、どこまでが
発酵でどこからが熟成かという線引きについて、個人の見解を聞いていた人が
居ました。興味ある話題だったので、その人に付いてまわって業界の匠たちの
見解を耳にしました。今にして思うと、私が20代で業界新入生だったので、
その人が親切心で紹介がてら連れまわしてくれたような気もします。

その時に匠たちのお答えは、誰が何を話したかは完全に忘れました。ほとんどが
モヤモヤしているお答えだったように思えます。今は、明確な線引きが出来ない
ことと考えて居ますが、その当時は匠たちの見解を聞いて、ハッキリしないとか
奥が深いとか、思っていました。それ以降、時々思い出して考えて居ました。

もし同じ質問をされたならば、発酵と熟成の線引きは、味噌の場合は、はっきり
しないと答えます。もちろん、匠(巨匠)たちの答えを踏襲するという姑息な
回答です。ただ、以前に麹菌のコラムで申し上げたように味噌醤油日本酒は、
並行複発酵なので、発酵と発酵熟成と熟成の三段階に分かれて、その境界線も
はっきりしないと言う答えになります。

なぜ、そのような答えになるかと言えば、味噌の発酵熟成は、繰り返しになり
ますが、麹菌の酵素による発酵熟成と酵母菌による発酵熟成が並行して起こって
いるからです。
では、発酵では、どのようなことが起きて、熟成では、どのようなことが起きる
のでしょう。

まず、わかりやすいのは、微生物の数の増減です。増加している時が発酵で、
減少している時が熟成になります。
別の言い方で言うと微生物の活動が活発なのが発酵で、緩慢なのが熟成とも
言えます。

それを味噌に当てはめると、麹菌の場合は、麹室の中で発酵状態となって菌が
著しく増殖し、味噌として仕込まれた時点からは、熟成状態となると言えます。
しかし、味噌の発酵は、味噌を仕込んだ時点で塩分により麹菌が死滅して酵素
だけが残って始まると、考えられます。

そうすると、微生物が作り出した酵素の活動は、発酵と捉えるべきでしょう。
酵母菌については、同じく仕込まれた時点が発酵のスタートとなり、それ以降
菌数がgあたり10の8乗くらいまで増加する期間が発酵で、それ以降は熟成と
言えます。

さらに、味噌三大微生物(独断)の残りの乳酸菌は、仕込みとともに増殖を
開始し、自らの作った乳酸によって死滅すると言う経緯を辿ります。味噌に
与える効果は、つくりだした乳酸によって、酵母菌以外の雑菌を減菌すること
味に締まりを出すこと、色味をスッキリとすることになります。

少し話が逸れますが、麹菌は食塩で死滅し、乳酸菌は自らの作り出した乳酸に
よって大きく生菌数を減らす(全滅はしません)。と言う結果で、麹菌は酵素を
残し、乳酸菌は乳酸を残す。ということになります。

酵素によって、デンプンやタンパク質を分解して、特定の酵母菌が吸収し易い
ようにする。
乳酸菌によって、酵母菌以外の菌を減らす。酵母菌向きの環境に整える。
全ては(特定の)酵母菌のために2つの微生物が太刀持ち、露払いをしている
ように感じました。

さらに、話は逸れますが、魚を干物にすると美味しくなります。これは発酵の
効果ではありません。クサヤは発酵品ですが、干物は違います。
美味しくなる仕組みは、シンプルに魚が本来持って居る酵素によって、自らの
タンパク質を分解してアミノ酸を作り出しているからです。

もちろん、干物は水分が飛んで旨味は凝縮されます。自らの持つ酵素の働きは
バナナなどの果実が追熟で甘くなることと同様の作用です。

今月は、このくらいにしておきます。色々と派生して考えることがあるので、
来月に続きます。

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通常1kgあたり748円のところ、680円で限定販売しております。
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日本味噌株式会社
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