第165回 メイラード反応について

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★第165回         メイラード反応について          ★

先日、近所の中学校で体育祭が開催されていました。最近では、春に体育祭を
行う学校が増えていて、秋に体育祭を行う学校はあまり聞かなくなりました。
9月でも真夏日になる日が多いため、その暑さも理由のひとつと思います。
また、今年もここ数年のように猛暑が続くおそれがあるそうです。
「酷暑日」となる日も増えそうです。熱中症には十分に備えてお過ごし下さい。

今回は、『メイラード反応について』をお届けいたします。

前回、酵母菌について申し上げましたが、今回は味噌の風味に影響を与える
メイラード反応についてお話したいと思います。

メイラード反応とは、糖とアミノ酸が化合するだけの反応です。
アミノカルボニル反応とも言います。その反応で生成される物質は強い特徴を
持つ物質が数多く生成されます。

反応の必要条件としては、還元糖とアミノ酸の材料以外は、適度な水分
(醤油と味噌で起こるので範囲は広い)と温度(20℃~120℃)と時間という
ありふれたものです。

反応の結果としては、ピラジン、フラノン、メラノイジンなどを始めとする
数百種類の香気成分を生成します。それも、酵素の助けを全く借りずに行います。

味噌や醤油の場合、麹菌の酵素が米・小麦や大豆のデンプンやタンパク質を
分解して、より小さな分子の還元糖やアミノ酸となり、メイラード反応を
起こします。
酵素分解が進んだ発酵後期に材料(還元糖、アミノ酸)が増えるために
メイラード反応は進みます。

原料を高温で加工した場合には、メイラード反応とカラメル反応が同時に
進みます。カラメル反応は高温時(160℃以上)しか反応しません。

さらに、カラメル反応は単純な熱分解反応なので、糖が加熱されて脱水します。
アミノ酸は関係ありません。色も褐色になりますが、カラメル色素が生成される
のみです。メイラード反応により出来るメラノイジンとは違います。
香りも、いわゆる焦げ臭で苦味を伴う香りです。

カラメル反応が高温でしか進まないことに対して、メイラード反応は低温から
高温(20℃~120℃)まで起こります。糖の熱分解であるカラメル反応に比べて、
糖とアミノ酸のメイラード反応は、アミノ酸に含まれる窒素が関係して来る
ために、大きく違う結果が出て来ます。
料理で例えると、米と野菜が材料の料理と米、野菜に肉や魚が加わった料理位、
バリエーションの幅が違います。

メイラード反応は、大きく3つの段階に分かれて進みます。
初期段階は、シッフ塩基とアマドリ化合物が生成されますが、次の段階での
原料となる物が出来るだけです。

第2段階が初期段階で出来た原料が分解されて、メイラード反応の中心となる
物質が出来上がります。主な物質とその特徴は以下の通りです。

この段階の物質の共通する特徴は、強い香りを持って居ることです。
フラノン類 甘い香り、キャラメルのような、熟成感
ピラジン類 ナッツのような、焙煎香、香ばしさ
ストレッカー分解生成物 煮た大豆のような、スープのような
アルデヒド類 青臭さ〜甘い香りまで幅広い
ケトン類 甘い・乳のような
この後、最終段階に進むわけですが、第2段階で出来た物質は、香りなので
揮発してしまい、ほとんど残って居ません。

それでも残った物質が今度は結合して、メラノイジンとなりこれが最終段階です。
メラノイジンの特徴は、褐色で高分子構造の非揮発性の抗酸化性物質です。
これが味噌の色を濃くします。
メラノイジンについては、健康にプラスの作用があるなど色々と言われております。

このように、メイラード反応は、多くの揮発性物質を作り出し、味噌の香りに
大きな影響を与えます。

もちろん、すべての糖とアミノ酸がメイラード反応を起こすわけではなく、
限られた条件に当てはまる物質が段階を経て、味噌の香りとなり揮発し、残った
物質が味噌の色を着けることとなります。ほとんどの糖やアミノ酸は、そのまま
味噌の中に留まります。

酵母菌を調べ直していて、メイラード反応の影響を改めて認識しました。
メラノイジンが抗酸化物質であり、味噌の色に大きな影響をあたえることは
味噌屋の常識として知っていましたが、メイラード反応の過程で味噌の香りに
影響を与える物質を作り出すとは思いませんでした。

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